『バンドやろうぜ!』制作チームが8年間の思いを語る“10,000字インタビュー”②
2024.10.13
アニプレックス(以下、ANX)が主体となって企画、運営されたスマートフォン向けリズムゲーム『バンドやろうぜ!』(以下、バンやろ)。2019年にサービスは終了となったが、今なお多くのファンに愛され、2024年8月に渋谷のSpotify O-EASTで開催されたライブイベント『Dream Match Cover GIG 2024 Ragna-Rock』は、満員御礼となった。
サービス終了から既に5年以上が経過しているにも関わらず、そのファンダムは衰え知らず。なぜ、このような状況がつづいているのか? チームスタッフ3人が、イベントを振り返りながら、その背景と『バンやろ』を支えつづけるファンへの想いを語る。
足立和紀
Adachi Kazuki
アニプレックス
『バンドやろうぜ!』プロデューサー/ダチピー
安谷屋光生
Adaniya Mitsuo
アニプレックス
『バンドやろうぜ!』音楽ディレクター/アダニー
齋藤亜希子
Saito Akiko
アニプレックス
『バンドやろうぜ!』国内ライセンス担当
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記事の後編はこちら:『バンドやろうぜ!』制作チームが8年間の思いを語る“10,000字インタビュー”③
――8月に開催された『バンやろ』のライブイベント『Dream Match Cover GIG 2024 Ragna-Rock』。会場は2階席までみっちり満員で、ファンの皆さんは大いに盛り上がっていました。このイベントの企画、運営、そして皆さんの『バンやろ』での役割を教えてください。
足立:私はANXの企画制作部に所属していて、主にアニメ作品の企画、制作を行なっています。代表作はゲーム原作である『ペルソナ』シリーズで、最近では、昨年オンエアされたTVアニメ『白聖女と黒牧師』ではプロデューサーとして、TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』では音楽プロデューサーとして携わっています。ゲーム『バンやろ』では原案とプロデューサーを担当しました、通称ダチピーです(笑)。
安谷屋:私はANXが関わる、映像作品の音楽制作全般を担当しています。今、足立さんが名前を挙げたTVアニメ『白聖女と黒牧師』では、劇伴作家の提案から発注までのディレクター業務を行なっていて、ほかの作品では劇中歌を制作することもあります。ANXは社内にエンジニアやギタリスト、ベーシスト、作曲、編曲、作詞ができるスタッフがいるので社内完結で楽曲を作ることができ、そこで自分たちで音楽を作ることもありますね。『バンやろ』では音楽ディレクターを務めました、アダニーです。
齋藤:私は国内ライセンス部で、自社IPを使った企業とのタイアップ企画や、メーカー各社とライセンス契約を交わして商品を作ってもらったり、作品の二次利用に携わっています。
直近『バンやろ』では、「カラオケの鉄人」や「ばくだん焼本舗」といった企業の皆様とタイアップをさせていただくなど、さまざまな施策を行なっています。また、本編のゲームでは、キャラクターのペルソナの部分や、衣装、アクセサリーを開発メンバーと話し合いながら決めていました。ライブやイベントが開催されるときは、いつも裏方としてサポートをしています。
――我々もあえてダチピーさん、アダニーさんと呼ばせてもらいますが(笑)、ふたりが出演したライブイベントは、『バンやろ』に楽曲を提供してきた作曲家陣、いわば裏方の皆さんが出演するライブ構成で、1曲ごとに大歓声が上がっていました。ステージにいたダチピーさん、アダニーさんからは会場の雰囲気がどのように見えましたか?
足立:最初は緊張してあんまり回りを見てる余裕はなく、終わってみると一瞬のできごとのようで、もうよく思い出せず……あれは夢だったのかもしれません(笑)。
安谷屋:自分は、仕事半分、プライベート半分で50人くらいの小さなライブハウスに出演したことはあるんですが、O-EASTみたいな1,000人規模のライブ会場のステージに立てるとは思ってもいませんでしたからね。一生の思い出です!
――オープニングでダチピーさん、アダニーさんがステージに呼び込まれたときに、どよめきのようなものが上がっていました。ステージに臨む気持ちはどんなものでしたか。
足立:このイベントの内容は当日まで発表しないようにしていたんです。だから、お客さんたちも何が起きるかわからなかったんですね。ただ、我々としては「『バンやろ』のファンの皆さんなら、絶対に楽しんでもらえるはず」という自信はあったので、実は内容に関する不安はありませんでした。唯一不安だったのは自分のベースの腕前くらいです……(笑)。
一同:(笑)
足立:それ以外は、パーフェクトだったと思います!
――そもそも『Dream Match Cover GIG 2024 Ragna-Rock』はどのような経緯で成立したのでしょうか。
足立:去年の秋ぐらいにアダニーがプライベートでやっている歌謡曲のカバーライブを観に行ったんです。そのライブには、今回出演してくれた演者もプライベートで出演していて、楽しそうにカバー曲を演奏していたんですね。
安谷屋:そのカバーライブは、いつも飲み仲間や知り合いで不定期にやっているライブだったんです。完全にプライベートだったのですが、ダチピーさんをそのライブに誘ったら、喜んでくれたんですよ。
足立:それで、そのライブのなかで普段はギターをやっているメンバーが1曲だけ歌を披露したんです。その歌声がすごく良くて、これは企画として成立するかもと。普段は演奏をしているメンバーが『バンやろ』の曲を歌ったら、ファンの皆さんもめちゃくちゃ喜んでくれるんじゃないかと閃いたんです。
――それで『バンやろ』のカバーライブが企画されたわけですね。
足立:はい。それと『バンやろ』はライブやイベントを開催するたびにハードルが上がっている感じがあって。ひとつの企画が終わると、次は何で驚かそう、どうやって喜んでもらおうと考えてきたんですが、それも本当に大変になってきていて。何せゲームのサービスはとうの昔に終了していますから(苦笑)。
なので、高まりまくったハードルを一度下げたいという気持ちもあって、普段ギター弾いてる人が歌ったり、作家陣やなんならプロデューサーがベース弾いても笑って許してもらえるくらいのライトなカバーライブをやりたいんだよねってアダニーに相談したんです。
安谷屋:ダチピーさんから相談を受けて、その後、決起集会じゃないけど、みんなで集まって話そうとなり、今回の出演者となるみんなで飲んだんです。そうしたらもうその場で、すごく盛り上がって、堀江晶太くん(『バンやろ!』ではBLAST楽曲の作詞・作曲・編曲を担当)が「歌いたい!」と真っ先に言ってくれて。「いいじゃん、いいじゃん!」と。
そこからはもう、みんなから「ギター弾きたい!」「これ歌いたい!」とメモが追いつかないくらいにいろいろなアイデアが出たので、それを一度持ち帰って。また、そこから何度もやり取りをしてイベントの内容を詰めていきました。
――草野(華余子)さん(Fairy Aprilの楽曲「スリルを頂戴」「WHIZ」「雨音Valentine」作曲・編曲を担当)はステージ上で「最初は歌うのは2曲ぐらいと言われてたから、軽い気持ちで出演をOKした」とおっしゃっていましたね。
足立:そうですね(笑)、最初はそれくらいの軽い気持ちだったんです。
安谷屋:みんなのアイデアを数えてみたら、あれ? 思っていたより曲数が多いなって感じでした。
足立:以前、今回と同じO-EASTでイベント『バン!ジャム~「バンドやろうぜ!」COMPLETE DUEL GIGS BOX発売記念SHOW~』を開催したときは、作家の方々が各楽曲をどのように作ったかを語るトークを8割、ライブを2割というかたちで実施したんです。
でも今回それと同じことをやっても、結局昔話ばかりになってしまうので、トークのコーナーは全部やめて、基本的にライブにしようと。話し合っていくうちに、いつの間にか演奏する楽曲が増えてしまいました(笑)。
――齋藤さんはこの企画の過程は知っていましたか?
齋藤:初耳でした。私が今回の企画を知ったときには、ほぼほぼ内容が固まっていましたね。しかも、当日まで私たちスタッフにも内容は全部明かさないと言われていて、イベントの数日前に話をしたときも、ダチピーさんが「ベースの練習をしているんだ」と言っていたので、一体何をやるんだろうと(笑)。結局、9曲くらい演奏していましたよね。
――ベースはかなり練習をしたのでしょうか。
足立:そうですね(苦笑)。弾くということが決まってから、家で10年以上眠っていたベースを引っ張り出してきて、リハビリに励みました。今年の春ごろに先ほど触れたアダニー主催の歌謡曲カバーライブに、予行練習的に出演させてもらったりもして。
そのライブには、一部の『バンやろ』ファンの方もいらしていたので、勘の良い方なら、我々が出演することに気がついたかもしれませんね。
――久しぶりの演奏と言う割には、ステージ上で5弦ベースも披露するなど、かなり活躍していましたよね。
足立:そもそも5曲は5弦ベースじゃないと弾けなくて。しかたがないので堀江晶太くんに5弦ベースを借りました(笑)。あれ堀江くんのベースなんですよ。
――アダニーさんもステージ上で、出演者たちによるギターバトルに参加していましたね。
安谷屋:ライブイベントをやることが決まってから、ずっと温めていた企画が、“出演者同士のギターバトル”だったんです。『バンやろ』とあんまり関係ないんですが、ステージ上で、みんなからどんな演奏が出てくるかわからない、みたいなことをやってみたかったんですよね。
足立:アダニーはステージ慣れしてましたよね。緊張してなかったし。
安谷屋:いや、もちろんO-EASTみたいな大きいステージに立つことなんてないので、プレッシャーはありましたよ。でも、ダチピーさんや堀江晶太くん、生田鷹司くん(BLASTボーカル・東雲大和役)、大塚剛毅さん(OSIRISの作曲・編曲担当)と一緒のステージに立てるという楽しみのほうが勝っていたのは事実です!
――ダチピーさんはこの企画を立てるにあたって、“ファンが喜んでくれる”と確信していたということでしたが、その自信の源を教えてください。
足立:『バンやろ』というタイトルに関しては、ファンの皆さんが求めているものは理解できていると思っています。これは理屈じゃなくて、ファンとの共通認識というか。
例えば、打ち合わせのときに堀江くんが「BLASTの『songwriter』を歌いたい」って最初に言ったんですよ。それを聞いた瞬間に「ああ、絶対ファンは泣いてしまうやつだ!」って思ったんですよね。
あと、小林正典くん(OSIRISのボーカル・高良京役)がギターを練習していることは聞いていたから、彼がステージでギターを弾いてくれたら、めちゃめちゃ盛り上がるだろうなとか。そういう感覚は私たちだけでなく作家陣、ファンの皆さん全員で共有できているものだと思います。
サービスを終了して5年以上が経ちましたが、「『バンやろ』とファンの皆さんは一心同体だ」といまだに思っています。『バンやろ』のサービスが終わってからここまで、どのイベントも我々だけで作れるものではなくて、ファンの皆さんと一緒作ってきたものなんです。だからイベントを企画するときも、皆さんが喜ぶものを第一に考えて作っていますし、そこに迷いはないですね。
1階フロアはオールスタンディングのファンで満員。2019年にサービスを終了したゲームのイベントとは思えない、ファンの熱気が立ち込める。やがて『バンやろ』ファンにはおなじみのインストゥルメンタル『Sure Shot』でライブの幕が上がった。
中編では、ゲーム開発の経緯と『バンやろ』の魅力を紐解いていく。
記事の中編はこちら:『バンドやろうぜ!』制作チームが8年間の思いを語る“10,000字インタビュー”②
記事の後編はこちら:『バンドやろうぜ!』制作チームが8年間の思いを語る“10,000字インタビュー”③
文・取材:志田英邦
撮影:干川 修(インタビュー/ライブ)
©BANYARO PROJECT
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