米大学への寄付8兆円、日本の30倍 研究促進・圧力も
米国の主要大学が集めた寄付金は年間で約8兆円を超え、日本の30倍以上に上ることが分かった。高度な理数系の研究で知られるプリンストン大学は収入の7割を寄付金が占める。寄付収入の差が日米の研究力の違いに表れている可能性がある。大口寄付者がトップ人事で圧力をかける例もあり、大学運営の自由度を狭めるとの指摘もある。
「寄付のおかげで米国の大学は1人当たりの使える支出が格段に異なる。最先端の研究を支える柱...
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(更新)- 大湾秀雄早稲田大学 教授ひとこと解説
日米の寄付金の違いが研究力に与える影響の中で、最も重要な経路が大学院生への支援である。アメリカのトップスクールの大学院生(専門職大学院など修士課程のみで終わるプログラムは除く)は1年目から充分な生活費が支給される。日本では、修士学生への支援は限られ博士課程に進んで漸く奨学金が出るが、授業料をカバーする金額しか支給されず、別途外部奨学金に応募するか潤沢な外部資金を持つ研究室に入らないと生活費が得られない。採用市場が好調な中では、物好きな学生しか大学院に進学しない。大学院に学生が来なければ当然優秀な研究者は増えない。どうして、官民共に人材育成に出資しないのか、大学人としていつも嘆いている。
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(更新) - 福井健策骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士分析・考察
一応、コロンビア大OBなので寄付のお願いメールは日常風景です。学部長から来ます。大学に限らず、米国は超寄付大国。理由は明瞭で、①手厚い寄付税制(税金がその分下がる)、②記事にもある名誉や参加意識、でしょう。施設、部屋、教授の肩書(!)まであらゆるものに寄付者の名前が尽きます。高額なら理事、評議員。つまりステークホルダーになれる。そりゃあ増えますね。 対して日本の寄付は、匿名の「伊達直人(タイガーマスク)」が理想。私はそうした無私の行為を愛しますが、まあ数万~数十万になるなとは思います。ふるさと納税のように返礼品競争になるなら、名誉と参加感の「払いがい」で競争する方が、まだずっと健全ですよね。
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(更新) - 鈴木智子一橋大学 教授分析・考察
私が所属しているMBAプログラムでも、かなり積極的に卒業生に寄付をお願いしていますが、なかなか難しい状況です。9割が外国人なので、寄付文化の中で育っていると思いますが、寄付の動機は複雑です。善意だけに頼っていては、寄付は集まりません。(1)魅力的な税金控除、(2)成功した卒業生は寄付をし認知されているという組織内文化(ピアプレッシャー)などのメカニズムが重要だと痛感しています。 プログラム運営側からすると、寄付を第三の収入源(運営交付金、学生からの売上=授業料に続く)に育てることは、安定した運営—すなわち研究力と教育力の質を高めるために—、重要性が日に日に増しています。
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(更新) - 青木慎一日本経済新聞社 編集委員・論説委員別の視点
米国の有力大学に資金力があるのは、寄付が多いのはもちろん、集まった資金を運用して増やせる人材を雇えることにもあります。米国の有力大学はヘッジファンドが高等教育機関を回しているようなものです。 ノーベル賞も財団が優秀なファンドマネージャーを雇っているから続いています。ノーベルの遺産を増やしているから、高額の賞金を支払い、時間と金をかけた丁寧な調査、豪華な授与式ができるわけです。
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(更新) - 植木安弘上智大学特任教授ひとこと解説
米国の大学への寄付金が多いのには幾つもの理由がある。個人が起業して大きく成功する人が多い。大企業の場合役員報酬が極めて多額。どちらの場合も、税金を納めるよりは大学に寄付した方が色々な意味で得。税制は寄付者に有利となる。企業も大学の研究を通じて将来的な利益を狙う。卒業生への寄付金アピールも大々的。また、忘れてならないのは、ペンタゴンや軍需産業による大学研究への寄付もある。さらに、大学の営業収入も大きい。ビルや不動産の貸し出し、アパートや寮からの賃貸収入。株式や金融資産の活用。まさに多角的経営。授業料の値上げだけでは到底間に合わない。
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(更新) - 小泉悠東京大学先端科学技術研究センター 准教授別の視点
公的に得られる研究費というのは限られているので大規模な研究プロジェクトをやろうと思うと資金集めに奔走することになります。しかし、研究者が資金集めばかりしているのも本末転倒な気がしますね。 こういう時に大規模な寄付金の裏打ちがあるというのはありがたいことでしょう。ただ、日本にその文化が薄いというのなら(そういえば私も母校に寄付したことはほとんどない)、国がまた基礎研究費を広く薄く配分してくれるようにしてはどうかと思うのですが。
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(更新) - 蛯原健リブライトパートナーズ 代表パートナー別の視点
なぜ寄付が集まるのか、について、米国のいわゆるアイビーリーグと呼ばれる有名大学は米国のトップではなく世界のトップであるため世界中から学生が集まる事、そして学費が高騰しておりまた受かるための塾やコンサルやボーディングスクールなどにも費用がかさむため、そもそも受験者が世界中の富裕層である事、という点が大きいでしょう。そしてその学歴というチケットを手にする事により卒業生も富裕層の仲間入りを果たし将来の寄付に繋がるという拡大再生産でしょう。これは日米の比較というよりも、米国及び英国とそれ以外、の差がどうしようもなく圧倒的です。
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(更新) - 石原純インペリアルカレッジロンドン 講師ひとこと解説
寄付をしたいと思えるほど、大学を誇りに思うように日本の大学の価値を上げる必要があります。大学の価値は単に知識だけではなく、若者のキャリアアップやネットワーキングという価値を提供することです。 アメリカの大学は綺麗な学生寮、レストランを建て、学生や親の満足度を上げる工夫をしています。 イギリスの大学でもアメリカの仕組みを取り入れることで生き残りを図っています。
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(更新) - 柯 隆東京財団政策研究所 主席研究員ひとこと解説
もともと日本には寄付の文化があまりないのは原因の一つである。もう一つは日本の大学が閉鎖的というか、内向きであることも問題である。アメリカの大学は授業などをかなりYouTubeにアップされているが、日本でシンポジウムなどを録画してYouTubeにアップしようとすると、それを嫌がる大学の先生が多い。アメリカ大学の理事長や学長の重要な仕事はfund raising(寄付を集める)である。日本の大学の理事長や学長がエンドレスの教授会に参加して「忙殺」されることが多い。こうした状況のなかで思いついたのは授業料の値上げである
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