田んぼで男性死亡 シカに角で突かれ死亡か 福知山
9日、福知山市の田んぼで胸から血を流して死亡していた男性について、警察が詳しく調べたところ、棒のようなものが刺さった傷が死因だとわかりました。
現場では角の生えたオスのシカが目撃されていて、警察は、男性がシカに襲われ角で突かれたとみています。
9日午後8時すぎ、福知山市下天津の田んぼで近くに住む60代の男性が胸から血を流して死亡しているのが見つかりました。
警察が死因を詳しく調べたところ、棒のようなものが胸に数センチ刺さり、心臓近くまで達したことによる傷で亡くなっていたことがわかったということです。
男性を見つけたのは、草刈りから帰らないという通報を受けて捜索していた消防署員で、発見した際、田んぼに角の生えたオスのシカが1頭いるのを目撃しているということです。
田んぼにはシカよけのフェンスもありましたが、作業のため一部は出入りできる状態で、男性の周辺にはシカのものとみられる足跡も多数残されていたということです。
警察は遺体や現場の状況から草刈りをしていた男性がシカに襲われ、角で突かれたとみています。
【近所に住む人は】
近所に住む70代の男性は、男性が亡くなったことについて、「地域で過疎化や高齢化が進むなか、大事な人を失うことになり本当に残念です」と話していました。
一方、シカについては、ふだんからよく見かけ、農作物への被害もあり、対策に苦労しているとしたうえで、「シカは見るのにはかわいいですが、共生するのは難しいと思います」と話していました。
【専門家“動かないで”】
男性がシカに襲われたとみられることについて、動物行動学が専門の公立鳥取環境大学の学長、小林朋道さんは、9月から11月はシカの繁殖時期とされ、オスジカの攻撃性が高まるので注意が必要だと指摘しています。
そのうえで、対策としては、まず、まわりにシカがいないか注意し、シカを近くで見つけた場合はじっと動かずにシカを驚かせないようにし、シカがいなくなるのを待ち、万が一、シカに襲われた場合は、人間ほど機敏には動けないため、素早くシカの横に回り込み、距離をとることなどを挙げています。
小林さんは「飼育していたシカや奈良公園のシカでは事例があるが、野生のシカによる被害だとすれば、これまで聞いたことがない。各地で人里への出没が増加しており、地域全体で生息状況などを把握して、警戒していく必要があるのではないか」と話しています。