ハマスによるイスラエル急襲から1年が経ち、ホワイトハウスでの犠牲者追悼式でロウソクに火を灯すジョー・バイデン米大統領 Photo: Kevin Dietsch / Getty Images

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アルジャジーラ(カタール)ほか

アルジャジーラ(カタール)ほか

Text by COURRiER Japon

2023年10月7日、イスラム組織ハマスがイスラエルを急襲し、その報復としてイスラエルがハマスの拠点であるガザ地区を攻撃しはじめてから1年が経った。

この間、カタールやエジプト、米国が仲介国として停戦交渉にあたってきた。なかでも米国のバイデン政権は、停戦合意は近いとたびたび述べてきた。だが、ガザでの停戦はおろか、この戦争は近隣のレバノンやイランにまでも飛び火し、地域紛争の様相を呈しはじめている。

10月1日にはイランがイスラエルに報復攻撃し、イスラエルはこれに応酬しようとしている。米国のジョー・バイデン大統領は9日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会談し、イランへの対抗措置について緊密に連絡を取り合うことで合意したと報じられている。

しかし、バイデン政権の中東地域への影響力は限られていると見る向きもある。

米シンクタンク「カーネギー国際平和基金」の上級研究員アーロン・デビッド・ミラーは、米紙「ニューヨーク・タイムズ」にこう語る。

「バイデンが達成したかったことと最終的に直面せざるをえなかったことの溝は、グランドキャニオン並みに幅広い」

バイデンは2020年の大統領選で「アメリカは(国際舞台に)返り咲き、ふたたびリードする」と約束したが、10月7日以降の1年は「米国の影響と力の限界を示した」ともミラーは述べている。

バイデン政権がイスラエルを抑制しそこなっているだけなのか


カタールメディア「アルジャジーラ」は、「バイデン政権は緊張緩和を求めているのか、それとも中東戦争を煽っているのか」との見出しで、批判的な問いかけをしている。

バイデン政権は口では緊張緩和を呼びかけながら、イスラエルを政治的に支援し、爆弾も安定して供給し、この戦争を続けさせてきたとアルジャジーラは指摘する。

米国政府は2024年に入ってからも、イスラエルが踏んできた紛争激化へのステップをほぼすべて歓迎してきたとも述べる。すなわち、ベイルートとテヘランでのハマス指導者らの殺害、ヒズボラ最高幹部ハッサン・ナスララの暗殺、そしてレバノン南部への侵攻だ。

リベラルな識者たちが示唆するように、バイデン政権はたんにイスラエルを抑制しそこなっているのか。あるいは、じつはこの紛争の激化に荷担しており、この混沌を利用して、イランやハマス、ヒズボラに対するタカ派的な目論見を推し進めているのか──。

こうした問いに対する手短な答えを、アルジャジーラの記者は以下のようにまとめる。

「イスラエルへの軍事・外交支援を続ける米国は、自制を求める声明を出し、停戦を呼びかけてはいても、中東地域での紛争を煽る重要なプレイヤーであり続けているとアナリストたちは述べている。

その動機や真意は推察しがたいが、バイデン政権がイスラエルと足並みを揃えており、相手にされないだけの消極的な同盟国でないことを示す証拠はますます増えてきている」

ニューヨーク・タイムズ紙とは対照的な認識だ。どちらが真実に近いかは、イスラエルがイランに応酬したあとでより明瞭になるだろう。

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アルジャジーラ(カタール)ほか

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