かくして紆余(うよ)曲折の末、阪神の第29代監督として星野仙一さんの就任が決定した。その後、12月6日の未明、沙知代夫人の脱税疑惑による逮捕にともない野村克也監督が引責辞任を発表した。阪神は12日に久万オーナーと野崎球団社長が星野さんに正式に就任要請を行い、15日の2度目の交渉で「監督就任受諾」の流れとなった。
12月18日の阪神監督就任会見。闘将は「目をつり上げて、火の玉のごとく戦えるような人間を育ててみたい」と宣言。「私は鬼になる」とも語った。いよいよ闘将がタイガース革命に乗り出した。しかし、4年連続の最下位、そこまでの15シーズンで10度の最下位、Aクラス入りはわずか一度という〝病巣〟は闘将をもってしても、簡単には治癒させられなかった。前途には予想を超える険しい戦いが待ち受けていた。(来週に続く。第4話は『矢野の死球骨折…。そして親友の懐から金本を〝盗んだ〟』)
植村 徹也(うえむら てつや)
1990(平成2年)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。