当選無効の恐れも…秋葉賢也復興相「選挙運動員買収」疑惑

安倍元総理の首相補佐官を務めていたこともあった秋葉氏
安倍元総理の首相補佐官を務めていたこともあった秋葉氏

不審な支出はまだある。それが、選挙運動の報酬としてN氏に対して支払われた12万円と、I氏への8万円である。このN氏は冒頭で登場した秋葉事務所の公設第1秘書であり、I氏は公設第2秘書なのだが、このことのなにが問題なのか。

公選法では、選挙運動員のうち、報酬を支払うことができる対象を限定している。具体的には事務員や車上運動員(いわゆる「うぐいす」)、手話通訳者、労務者などで、逆に言えば、こうした実務に携わっていない一般の選挙運動員に報酬を支払うことはできない。

「公選法がいう事務員は、選管などへの届出が必要な書類の作成、領収書の仕分け作業、パソコンを使った各種データの入力、来客へのお茶出しなどを行うのが一般的。労務者も、選挙事務所の指示を受けてポスター貼りなどを行う人で、街頭などで候補者への投票を呼びかける一般の選挙運動員とは明らかに役割が異なります」(自民党ベテラン秘書)

収支報告書の記載が事実であれば、選挙運動の対価として報酬を受けとっていたという2人の秘書は、選挙期間中、こうした単純業務に従事していたことになる。

「本来ならば、秘書は候補者と一緒になって有権者に投票をお願いする立場です。それが、事務所でお茶汲みをして、選挙運動をしていなかったというのはあり得ない。私がそんな秘書を見かけたら『なにをやっているんだ』と不満の一言も言いたくなる」(前出とは別の自民党秘書)

そこで、昨年の選挙期間中、 N秘書が実際にどんな活動をしていたのかを確かめたのが冒頭のやりとりである。N秘書は報酬を受けとっていたにもかかわらず、選挙運動をしていたと認めたのだ。さらに、I秘書も選挙運動を行っていたという。

――昨年の衆院選では、秋葉さんを支援している企業をまわったり、県議や市議と一緒になって支援者に秋葉さんへの投票を呼びかけたりといった活動をしていましたか。

「まあ、そうですね」

――街頭にも立った?

「もちろん、そうですね、はい」

――街頭で秋葉さんへの支援を呼びかけた?

「そういうことですね、はい」

――衆院選の場合、選挙期間が12日間あるが、連日そうした活動をしていたんですか。

「そうですね、はい。ええ、そのへんは間違いないと思いますよ」

公選法に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が次のように指摘する。

「N秘書やI秘書の発言が事実であれば、運動員買収になり、お金を受けとった秘書たちは被買収の罪に問われる可能性がある。罰則は、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金です」

また、収支報告書によると、N秘書は選挙運動の会計を担う出納責任者でもある。

「出納責任者は買収の罪に問われる可能性があり、その罰則は、4年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金とより重くなる。このことは候補者である秋葉氏本人も同じです。秋葉氏の罪が問われない場合でも、出納責任者らの違反が確定し、連座制が適用されれば、秋葉氏の当選が無効になる可能性もあります」(同前)

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