秋葉復興相の政党支部が「義兄のナゾ団体」に600万寄付していた
かみ合わない質疑応答は、回答者が混乱していることを表していたのかもしれない。
8月26日、東京・霞が関の復興庁で行われた秋葉賢也復興相(60)の会見。記者から「旧統一教会との関係性について、一部週刊誌で報道されたので真偽のほどを」と聞かれた秋葉氏はこう口にした。
「週刊誌、いろいろ書かれておりますんで、どれのことをおっしゃっているのか」
この時点で、秋葉氏と旧統一教会との関係を報じたのは、8月24日発売の『週刊文春』のみ。旧統一教会に限っては「いろいろ書かれて」はいないのだ。「一部週刊誌」と言われて秋葉氏の頭をよぎったのはおそらく、秋葉氏が政治資金から事務所家賃を親族に支払っていたと指摘した本誌記事(8月19日発売)だったと思われる。
「『FRIDAY』が報じた内容は、地元ではよく知られた話でした。ただ、同じ自民党の仲間ということではっきりと口にすることはできなかった。1年ほど前も、あるパーティーの懇談で、県連会長を務めた国会議員が『いかにもあれはまずいよな』と苦笑いすると、周囲もうなずいていた」(自民党宮城県連関係者)
被災地・宮城県から起用された初の復興相をめぐる〝親族とカネ〟の疑惑。本誌は前回、秋葉氏の事務所家賃が、秋葉氏の妻や実母に支払われてきた実態を報じた。しかし、秋葉氏にはまだ〝別の疑惑〟がある。
「600万円が、17年に実態のない政治団体に支払われている」
端緒は、前出とは別の県連関係者の証言だった。この県連関係者は、秋葉氏が代表を務める政党支部『自民党宮城県第2選挙区支部』の政治資金収支報告書を見ていて、この支出に気づいたという。
収支報告書を確認すると、実際に、同支部が17年2月20日付で、東京・品川区に事務所を置く「政治経済研究所」という団体に対して600万円を寄付した記載があった。一方、東京都選挙管理委員会(都選管)によると、政治経済研究所は政治団体としての届出はあり、「H」という男性が代表を務めているという。
ただ、都選管によれば、この政治団体が設立されたのは17年12月18日。つまり寄付を受けたときには存在していなかったことになる。さらに同団体はわずか2年後の19年12月31日付で解散。約2年間の活動期間中、収入はこの600万円のみだった。実態をつかみかねるこの政治団体に関連し、次のような情報も聞こえてきた。
「秋葉さんの夫人は品川区の出身だったと記憶している」(秋葉氏の元秘書)
同団体の事務所が置かれているのも品川区。そのうえ、同団体代表のH氏の姓と、秋葉氏の妻の旧姓が同じであるということもわかった。同団体は、秋葉氏の妻と関係があるのではないか――。こうした仮説を検証するため、品川区の住所を訪ねた。住宅地にたたずむ築50年の2階建て一軒家からは、高齢の男性が出てきた。
――『FRIDAY』です。
はい。
――失礼ですが、お名前はHさんですか。
私? いや、Kです。
――Hさんとあなたのご関係は?
うん、あれは息子。
――では復興相に起用された秋葉さんの夫人は、あなたの娘さんではないですか。
うん。娘から何度か電話があってね。「いま忙しいから(実家に)行ってらんないよ」なんて(言われた)。
Kさんによると、H氏は秋葉氏の妻の兄なのだという。つまり、H氏は秋葉氏の義兄にあたり、H氏が実家を所在地にして「政治経済研究所」を立ち上げたとみられるのだ。
――H氏は実家を事務所にして、政治経済研究所という政治団体をつくっている。
ふーん、なんだか知らんけど。前に政治のあれを貼っていたけど、はがしたんだよね。
――以前、ここに政治経済研究所の看板を掲げていたのか。
そう。
――H氏がここで活動していたのですか。
Hは別に関係ないんだよね。あまり(実家に)来ないしね。
――H氏が政治団体をつくっていたことを知りませんか。
やっているのかね。俺には関係ねえぜ、全然。
――その政治団体に、秋葉さん側が600万円を寄付している。そのことを知っていますか。
そんなこと、全然わかんないな。気づかなかったな。
活動実態が不透明な義兄の政治団体に、秋葉氏は政治資金から600万円を支払っていたのである。