【DTM】曲の音圧はどれぐらい上げるのがベスト?【目安も紹介】

【DTM】曲の音圧はどれぐらい上げるのがベスト?【目安も紹介】

今回は、Chris Selimが解説する「市販の楽曲の音圧に関する驚きの事実」をまとめました。

-14 LUFSにした方がいいと解説している人が多いけど、実際に市販でリリースされている曲は-8 LUFS〜-5 LUFSになっていることが多いのではないか?

特にこのような疑問をお持ちの方には必見の内容です。

The Shocking Truth About Loudness in Commercial Music

スポンサードサーチ

結論:曲の音圧はどれぐらい上げるのがベスト?

はじめに結論をお伝えすると、マスタリングや音圧に関するポイントは3つあります。

・自分の曲に最も適切な音圧を把握し、それを実際に達成することが最も重要
・「音圧の数値」ではなく「クオリティ」の方が大切
・ストリーミングサービスにおいて、-14 LUFSの曲が-8 LUFSの曲と同じように聞こえるのは「上手にミックスされており、楽曲のクオリティが高いから」

それでは、具体的に解説をしていきます。

Q.音圧は-14 LUFS vs それ以上、どちらが正しい?

【DTM】プロと同じような音圧でマスタリングする方法【-14LUFSでも-8LUFS並みに聞かせる】

冒頭でご紹介した「-14 LUFSにした方がいいと解説している人が多いが、実際に市販でリリースされている曲は-8 LUFS〜-5 LUFSになっていることが多いのではないか?」という疑問については、半分正解で半分間違っていると言えます。

確かに、プロが作った曲には-8 LUFSから-5 LUFSぐらいの、とても音圧の高い楽曲があります。

しかし、すべての楽曲がそうとは限りません。

中には、それよりも小さい音圧でマスタリングされている楽曲もあります。

逆にリミッターなどのプラグインでは「-4 LUFS」と出るほど音圧を高くしているのに、なぜか-14 LUFSの楽曲よりも小さく聞こえる…ということもあります。

このように考えると、楽曲の音量を大きく聞かせるにはいったいどうすればいいのか分からなくなる人もいるでしょう。

スポンサードサーチ

音圧(ラウドネス)とダイナミクスレンジは「トレードオフ」

【DTM】プロと同じような音圧でマスタリングする方法【-14LUFSでも-8LUFS並みに聞かせる】

音圧(ラウドネス)を上げるということは、それだけダイナミクスレンジ(音量が小さいところと大きいところの差)が狭まるということです。

ダイナミクスレンジが小さいとずっと同じぐらいの音量に聞こえてしまうので、曲を聞いている間に耳が慣れてしまい「なんだか迫力がない曲だな」「ずっと同じ感じで単調な感じ」という印象を持たれてしまいます。

このダイナミクスレンジが小さいせいで「音が大きく聞こえない」と思ってしまう可能性もあるでしょう。

加えて、音圧を上げれば上げるほど(リミッティングすればするほど)音質が崩れてしまうリスクが高くなります。

具体的には、悪い意味で人工的な音がしてしまったり、音が歪んでしまったり、パンチのない音になってしまうことがあります。

そのため音圧を上げるために行う処理をすればするほど、楽曲のクオリティが落ちる可能性があるということも考えなくてはいけません。

音が小さく聞こえるのは「音圧」ではなく「ミックス」の問題

【DTM】プロと同じような音圧でマスタリングする方法【-14LUFSでも-8LUFS並みに聞かせる】

もしあなたの楽曲が他の楽曲よりも小さく聞こえてしまうなら、それは音圧に問題があるのではなく、ミックスに問題があると言えます。

言い換えれば「音圧を稼ぐためにはリミッターを使えばいい」というわけではなく、リミッターを使わなくても楽曲を大きく聞かせることは可能だということです。

スポンサードサーチ

理想の音圧(ラウドネス)の上げ方

【DTM】プロと同じような音圧でマスタリングする方法【-14LUFSでも-8LUFS並みに聞かせる】

これまでの説明を踏まえると、「ダイナミクスレンジが適切で、音質を損なわないレベルの音圧」を目指すのがよいと言えます。

さらに言えば「リミッティングをしたことで得た音の変化」さえも「その曲の一部」「その曲に必要な音質」にできれば完璧です。

そのため、「音圧を稼ぐために行った処理をしたことで、ようやくその曲が完成した」と言うことができればよいでしょう。

適切な音圧は楽曲やジャンルによって異なる

【DTM】プロと同じような音圧でマスタリングする方法【-14LUFSでも-8LUFS並みに聞かせる】

では実際にどれぐらいの音圧が適切なのかと言うと、これは楽曲やジャンルによって異なります。

例えばクラシックやジャズ、シンガーソングライター系のジャンルは、静かな方が好まれる傾向にあります。

対してEDMやR&Bなどは、より音が大きい方が好まれやすいです。

ロックや一部のポップなど生楽器を使用するジャンルは、音圧をある程度大きくすることは可能ですが、EDMやR&Bと同じぐらいの音圧にするのは少し難易度が高いかもしれません。

このように、ジャンルや楽曲のスタイルによって傾向や好み、音圧を上げる難易度は異なります。

そのため、「とにかく音圧を稼がなきゃ」「もっと音圧を高くするにはどうしたらいいんだろう?」を先に考えず、「自分が今作っている楽曲にとって適切な音圧は一体どれぐらいなのか?」を考える必要があります。

スポンサードサーチ

市販の楽曲の音圧(ラウドネス)を確認してみよう

それではここで、なぜ「-14 LUFSの楽曲」が「-8 LUFSの楽曲」より音が大きく聞こえることがあるのかを解説します。

まずは「LOUDNESS PENALTY」というツールを使って、市販の楽曲のラウドネスを確認してみましょう。

【DTM】プロと同じような音圧でマスタリングする方法【-14LUFSでも-8LUFS並みに聞かせる】
https://youtu.be/n2IjJDTCexY?si=gXynk69EmBJnOrpO

※LUFS数値はIntegratedで計測されています

1曲ずつYouTubeリンクを掲載しますので、同じプラットフォームでどれぐらいの音圧だとどれぐらいの音量に聞こえるのか、チェックしてみてください

※SpotifyやApple Musicなどで楽曲を聞いてみてもOKです

テイラー・スウィフト(TW)の「Fortnight」は-10 LUFS、「Florida」は-8.6 LUFSでマスタリングされていることがわかります。

「Fortnight」は-10 LUFSなので、ポップミュージックとしては少し静かめにマスタリングされていると言えます。

Taylor Swift – Fortnight (feat. Post Malone) (Official Music Video)

「Florida」は-8.6 LUFSなので、「Fortnight」よりは大きくマスタリングされており、ポップミュージックの中でも少し高めの音圧だと言えます。

Taylor Swift – Florida!!! (feat. Florence + The Machine) (Official Lyric Video)

カントリーミュージシャンとして有名なクリス・ステイプルトンの「Whitehorse」は-13 LUFSで、かなり静かめです。

Chris Stapleton – White Horse (Official Audio)

ブルーノ・マーズとコラボして話題になったMark Runsonの「Uptown Funk」は-11.8 LUFSで、ポップミュージックとしてはやや静かめです。

Mark Ronson – Uptown Funk (Official Video) ft. Bruno Mars

ロックバンド・Museの「Madness」は-13 LUFS、「Survival」は-10.6 LUFS、「Compliance」は-6.9 LUFSです。

Muse – Madness
Survival
MUSE – COMPLIANCE [Official Music Video]

このようにプロが制作した市販の楽曲を聞いてみると、LUFSの数値が小さいからと言って「小さくてショボく聞こえる」ということもなければ、LUFSの値が大きいからと言って「他の楽曲よりもはるかに大きく聞こえる」ということもないことがわかります。

平均に比べて音圧を小さくしている楽曲でも、しっかり聞こえてきて欲しい音ははっきり聞こえますし、音のクオリティも損なわれていません。

「この曲は音圧を低くしてマスタリングしているんだ」ということも、言われなければ気づかないでしょう。

やはり、音楽で大切なのは「クオリティ」であり、「音圧の数値」ではないのです。

マスタリングをするときに心がけるべきこと

これまでの内容を踏まえると、マスタリングをするときに大切なのは「ベストなバランスを見つけること」だと言えます。

楽曲が適度に大きく聞こえ、かつ音質も損なわず、ダイナミクスレンジも程よいレベルの音圧を目指すとよいでしょう。

あえて数値で言うのであれば、-10 LUFSから-13 LUFSの間がちょうどよいのではないかと個人的(Chris Selim)には思っています。

これはあくまでも個人的な経験によるものなので、みなさんもぜひ「その曲のスウィートスポット(ベストな音圧)」を見つけてみてください。


当サイトでは他にもマスタリングに関するコツをまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓