歴史的な物価高は、非正規で働く人々や年金生活者の暮らしに深刻な打撃を与えている。節約を続ける困窮者は「これ以上切り詰められない」と悲鳴を上げ、無償で食料を配布するフードバンクの運営者は「社会が底割れしている」と顔を曇らせる。27日の衆院選投開票に向け、各党は危機的な貧困と、どう向き合うのか。当事者のみならず多くの国民が注視している。

「他に何を削ればいいのか」。出版取次会社でアルバイトをする川辺隆さん(57)=東京都文京区=が疲れた様子で話した。

20年ほど前、出版不況のあおりを受けて家業の製本下請け会社をたたんだ。以来今の職場で働いてきたが、時給は東京都の最低賃金と同額。物価は上がる一方なのに、時給は7~8年前から最賃と同じ状態が続く。

両親と妻との4人暮らし。出版取次会社で得られる収入だけでは生活できず、週に3日ほど菓子工場でもアルバイトを続ける。掛け持ちの日は朝9時から夜10時まで働き、それでも25万円に届くかどうかという程度の月収にしかならない。

安い食料品を求め、連日複数のスーパーを回る。今月から最賃は上がったが「到底足りない。もっと大幅に引き上げて」と切実に訴えた。

三度の食事もままならず、フードバンクに駆け込む人も。NPO法人「フードバンク仙台」(仙台市)のスタッフ鴫原宏一朗さんは「働いていても食べていけない人は確実に増えている」と話す。昨年度、食料を提供した家庭は1400に上った。

鴫原さんによると「子どもに食べさせるため自分の食事を減らしたり、抜いたりという親も多い」。今年は、子どもが給食を食べられない夏休みに、ひとり親世帯などから依頼が増えたという。

闘病中の仙台市の無職男性(59)は、月6万円の身体障害者向け年金だけでは暮らしていけず、法人の支援を受けた。1日2食に抑え、通院以外は出歩かず極限まで出費を削る日々に「低所得者向け給付金の制度を充実してほしい」と求める。

鴫原さんは「生存を争うような状況」が広がっているにもかかわらず、家庭の余剰食料が少なくなった影響などから、フードバンクへの寄付は激減していると明かす。「生活苦で悲鳴を上げている人は、たくさんいる。選挙では物価高対策を一番の争点とするべきだ」と力を込めた。(共同)