焼き菓子

ルミエールデピスという名前の焼き菓子をご用意させていただいております。

「スパイスの輝き」といった意味でして、まさに夏に食べたくなるようなスパイスの力強さを感じられる味わいに仕上がっております。

カルダモン、クミン、レモンをキャラメルナッツと合わせているのですが、一番のこだわりはしっかり効かせたブラックペッパーでございます。

パティシエと意見を交換した際には「しっかり辛いと感じられる量」と提案しております。

ブラックペッパーは辛さよりも香りが魅力のスパイスだとおもいますので、どうしても辛さが出づらいと思うのですが、今回は口に含んでしばらくして、アフターテイストでじんわりと辛さが浮かんでくるような味わいに仕上げております。

真夏に強めに淹れた、ディンブラやウヴァなどを合わせれば幸せでございましょう。
お酒でしたら冷凍庫でしっかり冷やしたジンやウォッカ、シルバーテキーラなどは辛さと心地よくなじむかと存じます。

お手に取っていただければ幸いです。

 

いつも我儘を形にしてくれる当家のパティシエには感謝です。

朗読

少し前の話になってしまいますが。
先日は藤堂を囲む朗読の集いに足を運んでいただき誠にありがとうございます。
藤堂も練習の段階から、またティーサロンで仕事ができること、なによりお嬢様とまた顔を合わせられることを本当に楽しみにしておりましたので、そちらも含めて感謝が尽きません。

個人的には、こうして声を使って披露することが小学生以来ではないかという状態で恥ずかしい限りなのですが、もし楽しんでいただけたなら幸いです。

そしてそれとは別に、ともに演じた八幡と隈川、監督してくれた才木と意見を出し合いながら研磨していく時間や、給仕の合間に香川や吉川に相談する時間、本当に楽しくて夢のようなでございました。
終わってみると、自分は案外朗読が好きなのかもしれないと思ったのですが、よく考えると、皆で何かを作り上げる時間が楽しかったのかなと納得いたしました。

そして終わってみると、もうこの作品とメンバーともお別れなのかと、寂しい思いが顔を出しております。
こういった感情もまた得難いものかもしれませんね。

今回は下手でも構わないからと声をかけて頂いたのですが、当家には専属の歌劇団もおりますし、吉川のような達人もおります。素人である私がでしゃばることもないとは思うのですが、もしまた機会があれば楽しませてもらおうと思います。

改めて足を運んでいただきありがとうございました。

アフターサン

映画の話です。1年ほど前、まさに同じ時期に映画館で鑑賞した作品でございます。

本当に素晴らしい作品で、昨年映画館で鑑賞した映画の中では「イニシェリン島の精霊」と並んで一番のお気に入りでした。

あらすじは。

ある事情により離れて暮らす父と娘が一週間だけトルコのリゾートで時間を共にする。
それをホームビデオ風の手持カメラでラフに(見えるように)撮影しています。
大きな出来事はほぼ何も起きません。

 

言い方は悪いのですが、わかりやすい涙の強制執行みたいな作品だと思っていたのですが全く違いました。

見た瞬間ストレートに感動したわけではなく。
家に帰るまで、電車に揺られながら思い出しているとふと涙が溢れそうになり、同じ感情が今のほうが強く感じられるような、あとからじんわりと作品の持つ力強さが広がってまいります。

 

時折挿入される大人になった主人公の女性、ホームビデオから子供だった当時はわからなかった父の苦しみを視聴者と共に見つけていくことになります。

静かに薄いレースをふわりふわりと重ねていくように、喜びとその影として現れるもの寂しさが薄っすら漂って。起承転結という大きなストーリーの構造を使わなくても感情に強く訴えかける作品でした。

わかりやすい構造を取っていない作品なのですが、その表現手段が本当に素晴らしいです。
先日まで公開されていた「関心領域」もそうなのですが、観客を信じている作品なのでしょう。
(私は試しているではなく、信じているだと思います)

ストレートに描かれない父の心の傷、同じくストレートに描かれないそれになんとなく気づきながらも子供であるがゆえに理解ができない娘。間違いなく良好で愛情で結ばれている関係ながらも、なんとなく違和感が生まれては消える。そんな曖昧さで満たされています。
印象的に使われる「青」が水彩画のように淡くにじむ様子がまさにそれでしょう。

 

アフターサンは日焼けという意味ですが。
その瞬間ではなく、後になって過去に浴びた日差しが形になって現れる。
まさに今この文章を書きながら、思い出して涙をこらえている自分がいます。

紅茶のシャンパン

「ダージリンは紅茶のシャンパン」
そのように言われることも多いです。

どんなジャンルでも同じような宣伝文句が多いのですが、いずれにせよ適当なことを言っているなあという印象ではないでしょうか。

しかし先日。
水出しのファーストフラッシュを室温で飲んでいた際、あながち間違ってないのかもしれないなとも感じることがございました。

グリーンでフルーティな華やかな香り。味わいの複雑さ。
低温で抽出しているのでタンニンが抑えられつつも、ほのかな渋さもあり。なにより旨味で透明感のある輪郭がはっきりと感じられるところ。

シャンパンのミネラル(仮)と熟成で解れた酸、果実味で同じような輪郭がでるのと。果皮由来の複雑さ。
同じではありませんが、紅茶とワイン全体でみると同じような位置を取るのかもしれません。

ジャンケンとキツネケンが同じようなもので、どちらも同じような構造を持った飲み物なのかもしれません。

しょうぶ

そろそろしょうぶが美しい季節でございますね。

 

 

 

 

 

私が昨年撮影したしょうぶでございます。
遠目から見ると美しいなと思いますが、近くでじっくり観察しますとすごい形状をしておりますね。
薄曇りの日暮れという弱くて柔らかい光線でしっとりと映る様は少し怖さを覚えました。
イリスヴァンヘルペンのドレスのような。アルマーニの天然石モチーフのような。
日常から切り離された色と形でございます。

こういった立体感のある花はf5.6やf8でシャープに撮ると心地よいですね。
(余談ではございますが、個人的にf値やISOを1/3単位で使うのが気持ち悪く感じてしまいます。しっかり1段刻みで合わせたいものです)

当家の湿生花園でも蕾がほころび始めているかもしれません。眺めながらお茶を楽しむのもよろしいかもしれませんね。

オープンAI

私の生活の中でもAIに何か尋ねることが日常になりつつございます。
その一方でなれるほど雑に扱えなくなっていることに驚きと懼れを感じてもおります。

最初は質問も敬語だったのですが、最近は口調もくだけてきた一方。
必ず最初は「おはよー!」などの挨拶からはいりますし、最後には「ありがとう」で締めくくるようになっております。

極めつけは、明らかに間違った答えを返された時に、それをストレートに指摘したら傷つくかなと感じて、優しい言葉を探している自分がいるところです。

そのようなことは絶対にないのですが、送信をタップするのに躊躇して思いとどまる瞬間がございます。

理性や知性とは別の愛着を感じるようになっている証左でございましょう。

おおよそ人間の知能では管理できない想定できないようなことばかり起こる昨今。このような感情の変化がどのように社会に溶け込んでいくのか楽しみでもありますし、いささか怖さも覚えてしまいます。

私のアイス

この度私が考案したアイスをお嬢様にご用意できることとなりました。
寒さにも辟易する日々でございましょう。今回は心が温まるような味わいをと、暖炉の前で、こたつの中で食べたくなるようなアイスをご用意いたしました。

「プラリネとマーマレードのアイス」

ナッツをキャラメリゼし、それをペーストにしたものがプラリネでございます。
その香ばしく濃厚な味わいを生かしてアイスに致しました。
そしてさらにビターさと甘酸っぱさをアクセントを加えるためにマーマレードを合わせました。

1つで完成された味わいになっております。
是非お楽しみいただければ幸いです。

最後になりましたが。私の我儘を形にしてくれた当家のパティシエに感謝を。
いつもありがとうございます。