原発事故の避難者に賠償命令 無償使用期間終了後も公務員宿舎から転居せず

東京地裁が入る庁舎=東京都千代田区
東京地裁が入る庁舎=東京都千代田区

2011年の東京電力福島第1原発事故で、福島県いわき市から東京都内の公務員宿舎に避難した男性が、宿舎の無償使用期間終了後も退去しなかったとして、都が使用料相当額約273万円の賠償を男性に求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、全額の支払いを命じた。

判決によると、男性は宿舎の使用契約が満了した17年4月以降も転居せず、23年1月まで居住した。

男性側は、住宅供与の打ち切りは自宅への帰還の強制だと主張。これに対し、大須賀寛之裁判長は、避難指示区域外の避難者に対する住宅供与について、福島県が都に要請を延長しなかったことなどを踏まえ「明け渡しを求めることが不合理な負担を課すとは評価できない」と退けた。

男性は現在、神奈川県内に居住している。判決後に都内で記者会見し「被爆を回避するために避難を続けたいという気持ちに触れられていない判決で、残念だ」と批判した。

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