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またも「多様性ヤクザ」が暴走! 同性愛ドラマ出演の加藤ローサが「価値観押付け」テロの被害に

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

……また「多様性ヤクザ」ですか。先週、女優の加藤ローサさんが餌食になったそうで、これが何ともお気の毒な話でした。

加藤さん、11月からスタートする「女性同士の恋愛を描いたドラマ」に主演されるんですが、その特設サイトでドラマへの意気込みを語ったところ、多様性ヤクザが殺到、彼女のコメントに噛みついたそうな。でもそのコメントって、

「お話を頂いた時は、ほんの少しだけ抵抗があった私ですが、台本と原作を読んでいくうちに新しい私になるような、、、そんな感覚がありました」

何ら問題のないコメントですよね。「体の性」と自分の性自認が一致している役者が、そうではない役を、恐らく初めて演じる際に感じた、ごく自然な感想です。全く問題ないと思うんですが、このコメントに対し、

「同性愛者に失礼では?」

「抵抗とは??」

と抗議する方々が現れたんですよ。えっ!?

あの、コレ……ちょっと立場を置き換えれば、そのクレームが相当トンチンカンだと、すぐに気付くと思うんですが、例えば「同性愛者の役者」が、仕事で「異性を愛するキャラ」を演じるにあたり

「最初は少し抵抗があったけど」

ってコメントしたら、ヤクザの皆さん、同じように騒ぐんですかね?

ちなみにこれは「内心の自由」に関する話なので、多数派・少数派とかは関係ないです。心の中で、自分がどう感じるかという憲法が保障する自由。だからマイノリティーは特別に扱え、みたいな話ではないんですね。

加藤ローサさんは、生物学的に当たり前の感想をとても控えめに、ヤクザも含めた全方位にちゃんと配慮したうえでコメントしたのに、それすら噛み付くなんて……なんか大変そうですね。

私、電車内のモニターに実写ボーイズラブのドラマ広告が流れると、しかもそれがラブシーンだったりすると「うーん……あっしは苦手ざんす」と目を逸らしてしまいます。

でもこれ「体の性」と自分の性自認が一致している人間にとっては、生物学的にごく自然な反応であり「多様性」とか良し悪しの問題ではありません(種の保存に関する話。興味のある方はお調べ下さい)。

だからと言ってそういうドラマ作るな、とか広告ヤメロなんて言わないし、思いません。だってドラマも広告も「表現の自由」を担う大切な要素ですからね。重要です。

多様性は、みんな違ってみんなイイ、みたいなお花畑ではありません。自分が嫌いなモノ、受入れられないモノでも、その存在は否定しない。認めあう、我慢する社会。「みんな違ってみんなダメ」だったり「イイ」だったりする壮大なガマン大会。これが多様性です。

もちろん、その先にある「どう感じるか」まで指図される謂れはないし、そもそも「そういう価値観」も含めて認めあうのが多様性ですよね。そう思いません?

自分が認めた多様性しか認めない「ぼくのかんがえた最強の多様性」で、他人の「感じ方」までコントロールしたがるのは、単なる幼いワガママです。

制作サイドは強かった!

今回の騒動は、せっかく攻めたテーマでドラマを作ろうとした人たちに水をぶっかける行為でした。「こういうジャンルは面倒くさい連中が集まってくるから、今後はやめよう」にもなりかねない。この手のドラマを待ち望んでいた人たちにも迷惑だし、多様性ヤクザのせいで表現が委縮するなんて、ほんとカンベンです。

素敵だったのが、ドラマの公式アカウントが「誤解を与えかねないという指摘は受け止めるけど、そういう意味じゃないから」と説明し、加藤さんのコメントを引き続き掲載していること。ここで折れたらヤクザの思うツボですからね。素敵です。

根性のあるスタッフが製作するドラマ「きみの継ぐ香りは」が楽しみです。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトル・画像はFORZA STYLE編集部によるものです。

 



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