佐賀県は28日、米軍のヘリコプターが正午過ぎに佐賀空港(佐賀市川副町)の滑走路付近を低空飛行したと発表した。事前連絡がなかったことは安全上も問題があるとして、防衛省に対し、米軍に再発防止を求めるよう申し入れた。
28日午後0時10分ごろ、米軍ヘリ1機が佐賀空港の滑走路上空10~20メートルの高さを、西から東へ2~3分かけて飛行した。複数の空港事務所職員が目撃した。その後、防衛省を通じて米軍機と確認された。
当時、滑走路に民間機はなかったが、5分後には全日空の羽田行きが出発する予定だった。運航ダイヤに影響はなかった。県空港課は「通常、空港を利用するのであれば事前に連絡してくるものだ。状況によっては危険な事態もあり得た」と問題視した。
防衛省在日米軍協力課などによると、ヘリは米海兵隊の第一海兵航空団所属のCH53。日米共同訓練「アイアン・フィスト」参加のため、相浦駐屯地(長崎県佐世保市)から高遊原分屯地(熊本県益城町)へ飛行中だった。米側からは「機体の不具合のためではない」との説明があっているという。
県は防衛省に対し、事前連絡のない低空飛行について「空港管理者として問題があると認識している」とし、米軍に事実関係の確認と再発防止を求めるよう申し入れた。佐賀市も九州防衛局長に、経緯の確認や原因究明、再発防止を米軍に求めるよう申し入れた。佐賀空港では2016年11月に在沖縄米軍MV22オスプレイの試験飛行が実施されたが、そのほかに空港敷地内に米軍機が飛来したことはない。
佐賀空港では、防衛省が25年7月までに陸自輸送機オスプレイを配備する計画で、空港西側の隣接地に駐屯地を建設している。(栗林賢、大橋諒)