俺が俺を褒めないでどうする。
宮崎在住の女性S様から「花火大会に一緒に行って欲しい」とご連絡をいただいた。私の正しい使い方である。人間関係を築いて来なかったから、遊びに誘える友達がいない。実家にいた時はこんなことを思うことはなかったが、一人暮らしをしていると「誰かにいて欲しい」と思うことが頻繁にある。人生的にやりたいことがない。食べることだけが趣味で、一年間で十キロ太った。S様は、そのようなことを話した。
S様は言った。坂爪さんの文章が好きで、スクショを撮りまくっている。読むと元気になる。本も買った。悩みがあるのだけれど、誰にも話せない。自分を隠す癖がある。バレたくない、知られたくないと思って、普段自分が聞いている音楽とか、読んでいる本とか、ダイエットのためにジムに通っていることとか、身近な人には絶対に知られたくないと思ってしまう。おとなしい人だと思われることが多いけれど、本当は、負けず嫌いで嫉妬深い自分がいることを最近感じる。S様は、そのようなことを話した。
私は「かくれんぼみたいだ」と思った。こどものかくれんぼは、自分の体を隠す。おとなのかくれんぼは、自分の心を隠す。誰にも見つからないように、自分で自分の心を隠す。誰にも知られないように、明るくて素直で優しい人になる。かくれんぼという遊びには「見つかりたくない」と「見つけて欲しい」と言う、矛盾する感情が同時に存在する。誰にも見つけられなければ、かくれんぼに勝ったことになる。だが、その勝利は、世界で一番悲しい勝利だ。だから私は鬼になる。鬼になって、お前を見つける。次の遊びに向かうため、終わらない遊びを終わらせる。秘密を暴き、寂寞にピリオドを打つ。
S様は「サインをお願いしてもいいですか?」と言った。私は、道端に咲いていたニオイバンマツリの花を添え、押し花にして渡した。自分で言ってしまうが、咄嗟に押し花を添えるという閃きを得た自分を「なんて粋な男なんだ」と思った。坂爪さんは自分をよく褒めますねと言われる。だが、俺が俺を褒めないでどうする。大食いのS様は「食べ過ぎだと思いますか?」と言った。私は「食べ過ぎなんじゃなくて、さみしいのだと思う」と言った。S様は泣いた。私は「花火よりS様の方が綺麗だと思う」と言った。S様は、私の言葉を受け取ることを拒否して「そんなことはないです」と言った。一緒に花火を見たいと言っただけのS様に、余計なことを言ってしまったと反省した。せっかく会えたなら、その人を見たいと思う。だけど「見せたくない」と思われたのなら、仕方がない。
たくさんの笑顔と、たくさんの涙を見た。誰にも話せないことを抱えている人や、見たくない自分を抱えている人が、たくさんいるのだなと思った。多くの人々は、会った時に、泣く。泣いた後は、泣く前より、少しだけさっぱりした顔になる。時折、自分はゴミ箱なのかなと思う時がある。その人の中にあるゴミを私の中に吐き出して、スッキリして帰って行く。ゴミ箱でも構わない。世間からはゴミと思われているようなものの中に、たくさんの宝物がある。ありがとうとごめんなさいは、簡単に言っちゃダメだと思う。ありがとうとごめんなさいを、会話を終わらせるために使うのではなく、関係を続けるために使うんだよ。そうじゃなければ、あまりにもさみし過ぎる。これから東京に行く。
おおまかな予定
10月6日(木)東京都中央区界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
バッチ来い人類!うおおおおお〜!
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