日本フィランソロピー協会「誕生日寄付」事業を開始
「誕生日寄付」事業について説明する日本フィランソロピー協会の髙橋陽子理事長(左)と同協会の村木厚子理事 |
公益社団法人日本フィランソロピー協会は1月22日、「誕生日寄付」事業を同月25日から開始すると発表した。個人の寄付文化を醸成し、子どもたちの今を支え、未来に投資することが目的だ。公式サイトに誕生日とメールアドレスなどの必要事項を登録すると、誕生日前に寄付を呼び掛けるメールが配信される仕組みとなっている。同協会は年間目標として、900万円を集めたいとしている。(オルタナ編集部=中島洋樹)
同協会は、少子高齢化の進行で人口減少にともない税収が減少する日本の財政を考慮すると、社会問題を解決するため寄付による貢献が不可欠であるとの見解を示している。また、近年の経済偏重の価値観により、「命より経済が大事である」と見なす風潮が、社会のひずみを生み出す要因となっていると主張する。社会のひずみの1例として、子どもの貧困問題を取り上げ、スタートの時点から子どもが貧困によるハンデを背負うことは、子どものこれからの人生にも大きな影響を及ぼし、非行や犯罪に手を染める危険性が高いと指摘する。
同協会の髙橋陽子理事長は、博報堂研究開発局が行った「2017年生活者の社会意識調査」結果から、「社会のために役立ちたいと考えている人は約7割いるが、社会貢献活動を普段から行っている人は約2割にとどまっている」と説明した。今回開始する「誕生日寄付」事業で、自分が命を授かった日である誕生日に、命に感謝し、それを寄付という形で表す習慣を、社会貢献活動に興味を持ちながら、まだ行っていない約5割の人たちに訴えていきたいという。
同協会の村木厚子理事は、自身の厚生労働事務次官時代の経験から、「行政の対応だけでは、どうしてもすべての問題をカバーすることは難しい。今回の「誕生日寄付」事業開始で、子どもの貧困問題解決のきっかけになれば」と期待を述べた。
公式サイトに自身の誕生日、メールアドレスなど必要事項を登録する。その後、誕生日前に寄付を呼びかけるメールが配信される。公式サイトからの寄付は1000円から受け付ける。30万円を超える寄付はサイトではなく直接協会事務局が受け付ける。
寄付者は、1)「生きるを支える」カテゴリ、2)「学びを支える」カテゴリ、3)「外国人を支える」カテゴリの3つの中から1つを選択する。カテゴリの中には2団体ずつ寄付先があり、自身の選択したカテゴリの中からどちらかの団体に寄付が行われる。
本事業の賛同者には、小説家で天台宗僧の瀬戸内寂聴氏、サッカーJリーグ初代チェアマンの川渕三郎氏、シンガーソングライターの加藤登紀子氏などが名を連ねている。
髙橋理事長は、「誕生日寄付」事業について、「3つのカテゴリで各300万円、計900万円達成を年間目標としたい」と力を込めた。
今後はスマートフォンからの受付対応の実現や、サイトの英語版を設置して外国の方からも「誕生日寄付」を受け付けたいとしている。
- 中島 洋樹(なかじま・ひろき)
株式会社オルタナ オルタナ編集部
2018年4月オルタナ入社。入社1ヵ月弱でCSR検定3級合格。趣味は高校野球観戦、絵画鑑賞、テニス、ビリヤード、サイクリング、ウォーキング、国内旅行など広範囲におよび、特技はカラオケ(レパートリーは50曲以上)。好奇心旺盛で、編集のオールラウンダーを目指す。
「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。
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結論から書いておこう。
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国連未来サミットで「未来のための協定」を採択――途上国や将来世代の発言権と多国間協調を一層強化し、懸案のSDGs達成につなげる
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循環型ファッションの課題は「地理的な制約」の克服――英米の研究者が報告書で指摘
衣類の大量消費が環境に負荷をかけているという認識が広まり、循環型ファッションを求める消費者が増える中で、修繕、回収、再販、リサイクルなどに取り組む企業も増えている。しかし新たな報告書によって、こうした取り組みの地理的な制約が課題として指摘された。「製品は世界中に供給するが、循環のための方策は地域限定」という現状の打開が求められている。
【ビジネスと人権コラム】第2回 「ビジネスと人権」をめぐる国内外の最新ルール動向
前回(第1回)の記事で解説したように、近年、企業に対して人権尊重の責任を求める声が高まっています。この流れを受けて、世界のさまざまな国や地域で、企業に人権尊重を義務付けるためのルール作りが進められています。企業はこれらのルールの動向を把握しながら、適切に対応していく必要があります。今回は、「ビジネスと人権」の基本的な考え方と、欧州や日本における最新のルールや議論について紹介します。
葉っぱビジネスを土台にローカルインパクトを生み出し続ける――進化するゼロ・ウェイストタウン、KAMIKATSU〈後編〉
四国でいちばん小さな山間の町、徳島県上勝町から世界に発信される、食や農、暮らしのあらゆる場面における、資源循環のストーリー。若者たちの提案するツーリズムの体験記、〈進化するゼロ・ウェイストタウン、KAMIKATSU〉の後編は、町の歴史を感じさせる古民家の新たな一歩や、ゼロ・ウェイストタウンを掲げる前、1980年代に上勝の名を一躍有名にした“葉っぱビジネス”の新境地を紹介する。
【アーヤ藍 コラム】第12回 9月21日はピースデー:足元の「暴力」を止めるヒントを映画から考える
9月21日は何の日かご存知でしょうか? 「365日の中の1日から、戦争や紛争をはじめあらゆる暴力がない日をつくろう!」という「ピースデー」こと国際平和の日です。一人のイギリス人俳優が著名人や各国の要人、国連などに働きかけてピースデーを広げてきたのですが、彼の足跡をたどる映画『The Day After Peace』との出会いが、私が社会的な映画の世界に飛び込むきっかけとなりました。YouTubeで全編公開されているので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
ごみも、人の暮らしも生き方も循環していると気づく旅――進化するゼロ・ウェイストタウン、KAMIKATSU〈前編〉
無駄な消費やごみを生み出さないゼロ・ウェイストタウンとして、全国、そして世界に知られる徳島県上勝町。住民一人ひとりの徹底した分別でリサイクル率80%以上を維持し続けるその町が今、食や農、暮らしのあらゆる循環を体験できる旅先として、アップデートしている。けん引するのは、都会から遠く離れた小さな山間の町に移住してきた若い世代の人たちだ。ごみ収集車の走らない、ゼロ・ウェイストを突き詰めた町に今、どんな変化が起きていて、そこから何が見えてくるのか――。若者たちの提案する、“循環型ツーリズム”を1泊2日で体験し、どっぷりと浸かってみた。
土とリサイクルガラスを使っておいしい野菜は栽培できるか テキサス大が実験
テキサス大学リオ・グランデ・バレー校の研究者らは、枯渇する自然資源である“土”に代わり、廃棄ガラスが持続可能な農業に役立つかどうかを確かめる試験的な実験を行っている。研究者らは、リサイクルしたガラス粒子を土に加えて活用することは、沿岸地域の風食防止や生態系の保全にも役立つ可能性があると考えている。
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いま、世界の水産業界ではサステナビリティを追求する動きが活発化している。日本でも漁業法が約70年ぶりに大改正され、「水産資源の持続的な利用の確保」が明記されるなど、水産業界は変革の時を迎えている。そんな中「日本の水産業のサステナビリティ推進」を掲げて毎年開催されてきた「東京サステナブル シーフード・サミット(TSSS)」が今年、第10回を迎える。10月8~10日のサミット開催を前に、サステナブルな水産業や豊かな海の継承のために何ができるのか、TSSSを主宰するシーフードレガシーの花岡和佳男社長とエシカル協会代表理事の末吉里花氏が対談した。
【高松平藏コラム】第6回 ドイツの町にとって芸術祭が重要な理由
21世紀に入る前後から、日本の自治体では演劇や現代芸術のフェスティバルが増えた。一方、ドイツでは長い歴史があるが、特に1970年代以降に増え、音楽、文学、パフォーマンス、演劇、コミックなど多様なジャンルのフェスティバルが開催されている。これらのフェスティバルがどのように持続可能性と関係しているのかを見ていきたい。
学びの中で学生活躍「チャンスがどんどん来る」――15歳の可能性引き出す、徳島・神山まるごと高専の挑戦〈下〉
過疎の町から価値創造を進める徳島県神山町で、2023年4月に開校した「神山まるごと高専」。徳島の田舎をシリコンバレーのような町に、という思いから始まったその挑戦は、どんな子どもたちの胸に刺さり、彼らはここでどんな学びを得ているのか――。「テクノロジー×デザインで、コトを起こす」人間に――15歳の可能性引き出す、徳島・神山まるごと高専の挑戦〈上〉の続きを、同校の研究拠点となる校舎「OFFICE」の場面から始める。
「テクノロジー×デザインで人間の未来を変える学校」――15歳の可能性引き出す、徳島・神山まるごと高専の挑戦〈上〉
感性豊かな15歳からの5年間に、地方で寮生活を送りながら、思う存分、自分の好きな学びを追求してもらおうという発想で生まれた学び舎がある。過疎の町から地域再生の取り組みを発信する徳島県神山町で、2023年4月に開校した「神山まるごと高専」だ。ここから社会を動かす人材“モノをつくる力で、コトを起こす人”を育て、徳島の田舎をシリコンバレーのような町に、という学校設立者らの思いに応え、ソニーやソフトバンクなど大手企業が奨学金の基金に寄付・拠出をし、学費の実質無償化を実現していることでも注目される。これまでの学校のイメージを打ち破る、令和の新しい高専で、どんな挑戦が始まっているのか――。2年目の夏を迎えた学校を訪ねた。
より安全な化学物質への移行を進める指標ガイドブック発行 アップルとグーグルが出資
サプライチェーン上の有害な化学物質をより安全な代替物質に取り替えることは、持続可能なビジネスを営む上で最大の課題のひとつだ。アップルとグーグルが創設資金を出資し、より安全な化学物質の利用を促進するイニシアチブ「The Safer Chemistry Impact Fund(より安全な化学インパクトファンド)」は8月21日、産業全体における安全な化学物質の採用を測定・促進するための世界で初めてとなる指標の枠組みを発表した。
クリエイティブな発想で飛騨市の広葉樹活用を推進する ヒダクマが取り組む森・まち・産業の再興
岐阜県飛騨市の飛騨の森でクマは踊る(以下、ヒダクマ)は、クリエイティブで革新的な視点から広葉樹の活用と地域活性化に取り組んでいる。飛騨市は面積の93.5%が森林で、その68%を広葉樹が占める。しかし、飛騨の広葉樹は種類や形が多様で小径木が多いため、近年はおもに製紙・燃料用チップとして低価格で流通してきた。
サステナビリティに取り組むホスピタリティ・旅行会社が科学者を採用するメリットとは
環境や社会に配慮した消費が広まり、気候危機に取り組むことが産業を存続させる上で不可欠になろうとするなか、ホスピタリティ・旅行産業が変化を起こすことは非常に重要だ。
旅行会社が従業員を募集する場合、典型的な役職が存在する。CEOやオペレーション・マネージャー、販売やマーケティング、プロダクトデザイナー、カスタマーサービスの担当者などだ。そこに、これまでになかったポジションが加わるようになってきている。科学者だ。気候正義とはどういう意味か 環境正義・社会正義との関係は?――企業としての関わり方を考える
欧米で盛んに使われ、パリ協定の前文にも登場する「気候正義(Climate Justice)」という用語がある。日本ではNPOや活動家が使うことはあっても、一般市民にはあまり浸透していない。その一因として、「正義」という言葉の強いイメージが先行し、実際の意味が十分に理解されていないことが考えられる。「正義(Justice)」に関連する用語には他にも、「環境正義」「社会正義」「公正な移行」がある。本記事ではこれらの用語の意味と背景を確認した上で、企業がどのように捉えるべきかのヒントを探ってみよう。
日本のエネルギー政策は第7次計画で転換できるのか――原発回帰、化石燃料継続の流れをNGOら懸念
日本のエネルギー政策の方向性を示す第7次エネルギー基本計画が年度内にも策定される。日本が世界と歩調を合わせ、再エネを主軸としたエネルギーシステムへの転換を行うラストチャンスとも言われ、気候変動への対応はもちろん、日本の経済や社会をも左右する非常に重要な計画だ。しかし、その大きな焦点である脱炭素電源について、経済産業省がこれまでに7回開催した有識者による会議の議論では、原発回帰、化石燃料の継続利用といった流れが濃厚になっている。これに対し、気候変動イニシアティブ、WWF、自然エネルギー財団など多くの企業団体や環境NGOは原発・化石燃料からの脱却、自然エネルギーの拡大を求める声を上げ、その裏付けとなるデータも示す。本計画の策定に向け、丁寧な議論は尽くされているのか――。現時点でのプロセスを検証した。
深刻化する山火事にデジタル技術で挑む――リモートセンシング技術を活用した米パデュー大学の研究
米国で山火事が深刻な問題になる中、米インディアナ州のパデュー大学には、山火事対策の研究に尽力する研究者たちがいる。同大学のデジタル森林管理研究所(Institute for Digital Forestry)は、リモートセンシングによって樹木を1本ずつ詳細に調べ、ある地点での山火事の発生可能性とその規模の特定につながる研究を行う。また学際的な連携も呼びかけており、同大学内のさまざまな分野の研究者らがそれに応じて研究を発展させている。
サステナビリティ分野は「非競争領域」、他社との共創から業界をけん引する存在目指す――明治ホールディングス
明治ホールディングスは、2009年に明治製菓・明治乳業が経営統合して設立され、その後も積極的にグループ内の事業再編に着手してきた。サステナビリティに関する機能をホールディングスに集約し、2020年にCSO(Chief Sustainability Officer)を設置。今年6月、新たにCSOに就任した松岡伸次氏は、こうした組織改編に携わり、また古田 純・前CSOの下で、サステナビリティへの取り組みを推進してきた。松岡氏は、サステナビリティ分野は「非競争領域」であり、自社の取り組みを深化・加速させたいと意気込む。
「ビジネスと人権」リスク対応から持続的な企業成長の原動力へ
昨今、著名人の性加害・個人への誹謗中傷に伴う企業CMの取りやめ、国連人権理事会の「ビジネスと人権部会」による声明 、小売業・鉄道会社などのカスタマーハラスメント方針策定など、企業と人権との関わりが話題になることが多い。また、ビジネスと人権に関するマテリアリティ(重要課題)を掲げる企業も多い。海外拠点のある企業にとっては、2024年7月24日に発行された欧州連合のCSDDD(企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令) も留意すべき動きである。
【武蔵野大学ウェルビーイング コラム】第5回 ウェルビーイングの土台となる、自然とのつながり感じる力を磨く
私は20年間コーチングという領域で、一人ひとりが自分の大切な価値観や人生の目的を明確にし、それに基づいた選択をし、充実した日々を過ごすことを支援してきました。そこで実感したのは、人の状態は精神的な作用によって実に大きく影響されるということでした。なかでも、多くのクライアントの方々と深く関わる中で気づいたのは、多くの人の心の奥底に何かぬぐい難い不安が存在しているということでした。私はそれを「そこはかとない不安」と名付けてその真因に興味を持ちました。
新たな世界を生み出すリジェネラティブ戦略―地域・世界・スタートアップから変化を学ぶ 2024年度SB-Japanフォーラム開催
2024年度のSB-Japanフォーラムの第1回目が7月30日に開催され、約40人が参加した。今年度のフォーラムの年間テーマは「リジェネレーション」。リジェネレーションは、「システム自体が再生される」ことを前提とした概念であり、人がつくり出したシステムと環境システムが自ら再生し、繁栄する状態を指す。本フォーラムでは、こうしたリジェネラティブなシステム創出のため、各会員企業が地域(ローカル)・世界(グローバル)・スタートアップの視点からできることを考え、新たな価値観を生み出すリジェネラティブ戦略を実装段階まで進めることを目指す。
循環型経済へ 再生材の“売り手”と“買い手”を結ぶ、再生材版のフリマアプリ的なシステムとは
2030年、2050年に向けて資源が循環する経済、サーキュラーエコノミーを確立させることが重要課題となるなか、日本でもさまざまな素材メーカーが、ステークホルダーとの連携を通じてプラスチックの再生材の活用を進める機運が高まっている。その中で、日立グループの2社と積水化学が、廃材を再生材として循環させたいという“売り手”と、再生材を原材料として活用したいという“買い手”とを結ぶ、再生材版のフリマアプリ的な位置付けで事業化を進める新システムに着目した。
【アーヤ藍 コラム】 第11回 子どもたちと一緒に「関心の扉」を開く映画を
今回は思春期頃の子どもたちと一緒に見る作品として、オススメできる映画を紹介します。世界や社会の問題へ関心を向けることは、不確実な未来を生き抜くために、そしてビジネスをしていく上でも大切だと考えている方は少なくないと思います。しかし「学ぶべき」「知っておかないと」などと「ねばならない」の口調で伝えても、なかなか受け止めてもらいにくいものです。そんな時に、楽しみながら世界の扉を開いてくれるのが映画です。
ウォルマート、テック企業との連携で食品バリューチェーンを最適化へ
ウォルマートはこのほど、食品廃棄物をなくすための新たな対策を発表した。全米最大手の有機物リサイクル業者デナリ(Denali)と連携し、全米の1000店舗以上のウォルマートと会員制スーパーのサムズクラブで、食品廃棄物のリサイクルをより効率化するために、食品から包装材(パッケージ)を分離するデナリのデパッケージング技術を実装する方針だ。
誤情報や偽情報、ヘイトスピーチに対抗する――国連が取り組み指針を発表、PR業界連盟はSDGs「目標18」の追加を要請
国連は今年6月「情報の誠実性のための国連グローバル原則(The United Nations Global Principles for Information Integrity)」を発表した。デジタル時代の進展と人工知能(AI)の出現によって、誤った情報やヘイトスピーチがまん延する現状を危惧し、国際社会に対策を求めたものだ。次いで7月には、国際的なPR・コミュニケーション業界連盟(Global Alliance for PR and Communication Management、以下GAPRCM)が国連に対し、「責任あるコミュニケーション」をSDGsの18番目の目標に設定するよう要請した。同連盟は「コミュニケーションは社会の基盤だが、フェイクニュースなどの増加でその基盤が脅かされ、社会的な信頼関係が揺らいでいる」と危機感を示す。
世界の食からエネルギーまで、温暖化が引き起こす危険な負の連鎖
連日の暑さに命の危険さえ感じる一方、熱波は私たちの「食」にも牙を向け始めている。8月下旬時点でスーパーなどからコメが一斉に消えたり、高値となった原因のひとつに、昨年夏の超高温がある。以前のコラムで日本の漁業の異変を書いたが、世界ではコーヒー・カカオ豆から、ワイン、オリーブオイルと、気候変動で収穫量が落ちたことによる高騰が起きている。
影響は食にとどまらない。銅や石油などの鉱物資源や、なんと脱炭素のために欠かせない再生可能エネルギーの電源にも及ぶ。温暖化がもたらす“複雑怪奇で危険”な連鎖についてお話しする。フェアトレード製品を自社でも取り入れる動き加速か――フェアトレード・ラベル・ジャパンが新たな登録制度導入
サプライチェーン上の原材料調達における「人権と環境に包括的に取り組む手段」として企業が取り入れ、日本でも市場規模が年々増加しているフェアトレード認証製品を、社内のカフェや制服に用いるコーヒー豆やコットンなどについても積極的に調達することで、社会的インパクトをより拡大させようという動きが、広まりつつある。このほど認定NPO法人「フェアトレード・ラベル・ジャパン」はそうした企業を認定・評価する「フェアトレード・ワークプレイス登録制度」を新たに導入。すでに幅広い業種の7企業が制度に参加し、従業員のサステナビリティ意識の向上にも一役買っているようだ。
【ビジネスと人権コラム】第1回 今、すべての企業が注目すべき「ビジネスと人権」とは?
最近、経済ニュースや新聞で「人権」という単語をよく目にするようになったと感じている方は多いのではないでしょうか。「人権デューディリジェンス」などの言葉を聞いたことがあるけれど、その意味はよく分からない……という方も少なくないでしょう。
サステナブルな製品を当たり前に――EUが施行した「新エコデザイン規則」が企業に与える影響とは
欧州連合(EU)で7月、「持続可能な製品のためのエコデザイン規則」が施行された。EUで製造された製品に限らず、EU域内で流通するほぼ全ての製品に適用される。今後、EU域外のメーカーや輸入業者、卸売業者、小売店、販売店にも影響が及ぶことになり、世界各地の企業やブランドは同規則への対応が余儀なくされるだろう。
【高松平藏コラム】第5回 ドイツで聞いたことがない「まちづくり」という言葉
10年以上前のことだが、ドイツにリサーチに来た研究者の知人が、ついでに筆者を訪ねてくれ、意見交換の機会を持った。その中で「地方行政でインタビューをしたが『まちづくり』というのが伝わらない」という話が出てきた。
戦後79年 沖縄・竹富島の持続可能な暮らしは、旧日本軍兵士と島民の交流が萌芽に?
沖縄県南端、八重山列島の竹富島は自然の美しさと緩やかな時間の流れ、コンクリート構造物の少なさで人気を集めている。美しさを守る砦(とりで)となっているのが1986年に地元公民館が制定した「竹富島憲章」だ。そこには、海や浜辺、集落など島全体を汚さない、美観を広告、看板で乱さないなど、島の暮らしの持続可能性を高めるための、確固たる決まりが並ぶ。
サステナブルといった言葉も概念もない時代に、そのような憲章はなぜ定められたのか? その源流をたどると意外な存在が見えてくる。激しい地上戦があった沖縄では旧日本軍に対する反発が強いのだが、竹富島は違う。当時の島民に「自治」や「民主主義」の種をまいたのは、実は旧日本軍かもしれないのだ。79回目の終戦の日に、兵士たちと島民の交流のストーリーを届ける。グリーンウォッシュに「うっかり」陥らないために――国際NGOが広告コミュニケーション業界向けに規制対応ガイドを公開
世界各国でグリーンウォッシュ規制が加速している。多くの企業が対応に追われる中、気候変動対策に取り組む広告・PR関係者のネットワークNGOが、対応ガイドを公開した。最新の法令の要旨に加え、誤解を招く表現や根拠のない訴求に陥らないための具体的な指針を示す。
コーヒー豆を使わない、気候変動に適応する代替コーヒー 開発進めるスタートアップ2社に話を聞く
近年、コーヒー豆を使わない代替コーヒーの開発が進んでいる。今回紹介するシンガポールと米国のスタートアップは、コーヒー豆を一切使わずに食品廃棄物を活用してコーヒーの風味を再現することで、気候変動や環境にマイナスの影響をもたらすコーヒーの生産方法を根本から変えようと取り組んでいる。
5人の物語から見えてくる、複雑な「世界の重なり合い」とは――アーヤ藍氏の新著『世界を配給する人びと 遠いところの声を聴く』
サステナブル・ブランド ジャパンの本サイトでコラム「『出会い・感じる』から始めるサステナビリティ」を執筆している、映画キュレーターでライターのアーヤ藍氏がこのほど、新編著『世界を配給する人びと 遠いところの声を聴く』(春眠舎)を刊行した。アーヤ氏自身と同じく、世界各地に魅かれ、その国の社会課題をそれぞれの活動を通じて分かち合おうとしている5人の“世界を配給する人々”の物語だ。舞台は、日本から遠く離れたシリア、マーシャル、マダガスカル、ウガンダ、グリーンランド。そこから見えてくるのは、グローバル化や資本主義などの影響を受けた国々の、単純に「良し悪し」を決めることのできない、複雑な「世界の重なり合い」だ。
世界で影響力のある2000社の9割、人権やディーセント・ワークなどの取り組み不十分
国際NGOワールド・ベンチマーキング・アライアンス(WBA)はこのほど、世界で最も影響力のある2000社を「人権の尊重」「ディーセント・ワークの提供」「倫理的行動」における企業責任の観点から評価したソーシャル・ベンチマーク2024を発表した。ソーシャル・ベンチマーク2024報告書は、平等かつインクルーシブで公正な社会づくりに取り組みながら、誰ひとり取り残さないようにするために早急に推進するべき重大な乖離(かいり)や領域を明かしている。
持続可能な生理用品「月経カップ」を普及させるには? 立命館大らプロモーション戦略を提案
持続可能な生理用品である「月経カップ」はなぜ普及しないのか。立命館大学政策科学部などの研究チームはこのほど、日本とフランス、インドネシアの消費者を対象に調査を行い、月経カップの利用を促進するための効果的な戦略を探った。
アジア最大規模 サステナビリティに関するコミュニティ・イベント 「サステナブル・ブランド国際会議2025東京・丸の内」 、来年3月に開催決定!
サステナブル・ブランド国際会議2025 東京・丸の内(以下、SB’25 東京・丸の内)」 の開催が、東京国際フォーラムを主要会場として、2025年3月18日(火)、19日(水)に決定しました。また、サステナブルなブランドとしてのプレゼンスを示し、新たな共創パートナーを開拓されたい企業をスポンサーとして募集しております。
3本は鳥の、2本は蝶のために――積水ハウス「5本の樹」計画の生物多様性回復効果の可視化進む
“3本は鳥のために、2本は蝶(ちょう)のために”という思いから、庭に木を植える――。住宅メーカーが事業活動の一環で、20年以上続けてきたその取り組みが、生物多様性に大きく貢献していることが分かってきた。住宅を建築時に、その地の気候風土に合った在来樹種を中心とする木を植栽する、積水ハウスの「『5本の樹』計画」だ。2001年に開始以降、累積植栽本数は2000万本を超える。2019年からは生物多様性のビッグデータを扱う琉球大学発のスタートアップ企業との共創を進め、このほど、建築地ごとにどんな木を植えれば、将来どのように生物多様性が回復するかを可視化して提案するツールの運用もスタートした。小さな庭の植栽は、都市のネイチャーポジティブにどんなインパクトを与えるのだろうか。
8月1日は “アース オーバーシュート デー“ 地球がその年に再生できる生物資源を使い果たしてしまう日
「史上最も暑い年」とされた2023年を上回り、観測史上最も暑い日が世界で続発している2024年。日本でも全国各地を「危険な暑さ」が襲うなか、7月が終わり、8月を迎えた。そんな今日、8月1日は地球にとって、そして私たち人類にとって、どんな日か知っているだろうか?
答えは、“アース オーバーシュート デー(Earth Overshoot Day)”。人類が、その1年で再生できる生物資源をすべて使い果たしてしまう日のことだ。日付は毎年変動するものの、この10年は計算の結果、8月になってすぐの日になることが多い。つまり人類は毎年、残りの5カ月を、地球の資源を過剰に使用することによって生活し、地球にダメージを与え続けていることになる。酷暑のなか、きょう1日、その意味するところを考えてみてはどうだろうか――。米ペタルーマ市、市全体で再利用カップを循環利用へ スターバックスや地元飲食店が参加
カリフォルニア州ペタルーマ市では8月5日から、スターバックスなど30以上の全国チェーンや地元の飲食店で、使い捨てカップを再利用可能なカップに無料で交換し、カップのリユース(再利用)を促進するための実証実験を行う。これに伴い、カップを回収する専用の返却ボックスを市内各地に設置する。
欧米で頻発する電力のマイナス価格とは何か? 再生エネとの深い関係を考察
脱炭素に向けて再生可能エネルギーの導入が進む欧米で、電力のネガティブプライスが急拡大しているという。ネガティブプライスとは、訳せば「マイナス価格」、つまり、電気を使うとお金がもらえるという一見夢のような話である。
最近、日本のマスメディアにも登場する回数が増えてきたネガティブプライス、一部では再生エネの生んだ“ひずみ”と書かれるが、一方で市場の正常な機能と評する声もある。
今回のコラムでは、マイナス価格とその実態を考察する。【アーヤ藍 コラム】第10回 障がい当事者が主体となって実現していく「自立」
障がい者福祉施設の入所者の方々の命が元職員によって奪われた相模原障がい者施設殺傷事件から7月26日で8年が経ちました。重度障がい者に「生きる価値はない」という元職員の考え方に戦慄(せんりつ)を覚えたのは私だけではないだろうと思います。ただ、その考え方に反論したい気持ちはあっても、倫理的あるいは人権の観点からの「正論」以上に、実感や体感を伴った言葉を紡ぐ自信が当時の私にはなかったのを覚えています。
特集:脱炭素
2050年カーボンニュートラルに向け、世界的に社会や経済、暮らしが大きく変化している。国内外のニュースやコラムを紹介する。
生物多様性を客観的に評価する6つの手法とは――群馬県みなかみ町と三菱地所、日本自然保護協会の3者が全国に発信
ネイチャーポジティブの実現に向け、日本の自治体と企業、NPOが一体となって生物多様性保全を進め、その取り組みを客観的に評価する挑戦を続けている。首都圏の水源である利根川の源流部に位置する群馬県みなかみ町と、流域の東京・丸の内エリアを中心に事業を営む三菱地所、生物多様性保全に高い専門性を持つ日本自然保護協会の3者だ。このほど研究機関や大学とも連携して取りまとめた6つの評価手法は、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)や、TNFD (自然関連財務情報開示タスクフォース)による提言にも整合し、企業活動などによる地域の自然への影響度と貢献度を把握し、開示するのに役立つ。
「SDGsの内容を見直し、目標年度を2050年まで延長すべきだ」――世界的に著名な学者らが国連の未来サミットを前に提言
6月発売の英科学誌ネイチャーに「持続可能な開発目標(SDGs)」の期間延長と内容の更新を求める意見記事が掲載された。著名な気候関連の学者ら10名が、9月に開催予定の国連未来サミットを前に連名で発表したものだ。SDGsの採択以降、新型コロナウイルスの流行や人工知能(AI)の登場といった変化があり、現行の目標の妥当性を疑問視する声もある。記事の著者たちは、SDGsを引き続き世界の政策アジェンダの中心に据えるべきだとしながら、より幅広い意見を取り入れ、改めて2050年を見据えた明確な道筋を示すべきだと主張する。
化粧品も再エネと水素からつくる時代に――コーセーが新拠点に山梨県産“グリーン水素”を活用、エネルギーの地産地消モデル構築へ
化粧品も再エネと水素からつくる時代に――。コーセーは、2026年に稼働予定の山梨県南アルプス市の新たな生産拠点を、同県の「水」と地産地消のエネルギーを最大限に活用したモデル工場として整備する。同社と、生産子会社のコーセーインダストリーズ、山梨県の3者が連携して取り組む合意を締結し、今月着工した。国内で初めて、建設段階から県営の水力発電によるCO2フリーの電力を活用し、工場が稼働後は、化粧品の製造などに必要な熱を生み出すエネルギーを同県産の“グリーン水素”へと転換していく。
エディンバラ市、所有地での化石燃料産業の広告を禁止へ 禁止令は世界に広がるか
スコットランドの首都エディンバラ市は5月、所有地などでの化石燃料製品やCO2排出量の多い製品の広告を禁じた。さらに、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は6月初旬、化石燃料に関する広告を世界的に禁じるよう呼びかけた。これは環境破壊をもたらすグリーンウォッシュな宣伝文句を封じるという社会の潮目の変化を象徴する最新の動向だ。多くの都市や政府は現在、メディアの影響力・介入という観点から、気候危機における各自の役割と、何も行動を起こさなければ誤情報の拡散に加担するリスクを抱える、メディア業界の役割を検証しているところだ。
従業員は会社のサステナビリティ戦略に不信感を抱いている――英調査が指摘する現状と対策
今やさまざまな企業がサステナビリティ戦略を掲げている。とはいえ、英調査によれば、その戦略を自分の業務でどう生かせばいいのか分かっている従業員はほぼ皆無だ。企業幹部のグリーンウォッシュを疑う人もいる。取り組みに積極的に関与したいと望む従業員を、企業側はどのようにして巻き込んでいけばいいのか。専門家の意見や取り組みの実例を交えて紹介する。
nest企画「暮らしと自然のつながりを感じる 日帰り檜原村ツアー」参加者募集中!
みどり、せせらぎ、風の音。
東京都心からたった1時間半で出会える、東京都檜原(ひのはら)村の大自然。そこには自然を活かしながら暮らし、暮らしながら自然を生かす、日本の原風景ともいえる村の人々のいとなみがあります。【武蔵野大学ウェルビーイング コラム】第4回 ウェルビーイングの深層へ
高校時代、私はバレーボール部に所属していました。セッターをやったり、スパイカーをしたり。そして、忘れもしない高校2年の秋、地区大会にて、なんと優勝を勝ち取ったのでした。本当に嬉しかった。つらい練習に耐えてたどり着いた幸福でした。けれども、“禍福は糾える縄の如し”。県大会に進み、一回戦を勝ち上がったものの、次の試合で強豪校に歯が立たず、敗退してしまいました。あの悔しさ、屈辱感も忘れられません。
SDGsの進捗は2030年の達成に遠く及ばない――国連の2024年報告と「未来サミット」への課題
国連は6月下旬、「持続可能な開発目標報告2024(The Sustainable Development Goals Report 2024)」を発表した。それによると、SDGsの全てのターゲットのうち、達成に向けた軌道に乗っているのはわずか17%だという。また、SDGsに関連するデータ収集や公開については大幅な進展が見られるが、国の経済レベルによる格差など、いまだに課題が多いことも分かった。今後の重要テーマの1つとして示された「国際金融アーキテクチャの改革」は、今年9月下旬に開催予定の国連未来サミットに向けて注目の論点だ。
ポリエステル繊維の低炭素化へ――ゴールドウインなど5カ国7社がサプライチェーン構築
スポーツウェアなどを展開するゴールドウインはこのほど、ポリエステル繊維の低炭素化を実現するグローバルなサプライチェーンを、同社を含め、5カ国のメーカーや商社からなる7社で構築した、と発表した。100%非化石由来のポリエステル繊維の製造において、サプライチェーンの川上から川下に位置する企業が協業し、CCU(Carbon Capture and Utilization、二酸化炭素回収・有効利用)技術を活用して製造したCO2由来の原料を用いるのは世界初という。
7月は脱プラ月間:生活者が参画できる循環型サービスはどこまで広がっているか
プラスチック汚染問題の解決に向け、日本でも循環型ビジネスを展開するさまざまなプラットフォームが生まれている。使い捨てではなく、繰り返し使える容器で販売したり、使い終わったプラスチック製品を回収し、再び同じ製品や、新たに違う製品へと生まれ変わらせる事業に力を入れる企業も多いなか、生活者一人ひとりが参画できる身近なサービスはどこまで広がっているのか――。
毎年7月は、世界的に「脱プラスチック月間」とされているのに合わせ、新たな動きをピックアップする。太平洋クロマグロの漁獲枠が現状の約1.5倍に増枠へ、漁獲規制の効果表れる
マグロの資源管理について話し合う国際会議が、10日から16日まで北海道釧路市で開かれ、太平洋クロマグロの漁獲枠の増枠が決定した。2010年に初期資源量(漁業が開始される以前の推定資源量)の1.7%まで減少していた資源量が、最新の調査では約23%に回復。安全水準を維持していることから、30キログラム以上の成魚を現状の約1.5倍、30キロ未満の未成魚を1.1倍に増枠する。WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)の合意に基づく各国の適正な漁獲管理の効果が表れた。
英米の機関が「気候正義」に関する最新ガイドを公表――企業が気候変動の最前線に立つコミュニティと連携するために
英国の非営利団体フォーラム・フォー・ザ・フューチャーとBラボ 米国・カナダ支部は、4月に「Business Guide to Advancing Climate Justice(気候正義を前進させるためのビジネスガイド)」を公表した。すでに企業の気候変動対策についてはさまざまな指針や基準が存在しているが、このガイドは気候変動による影響を強く受けている当事者の視点を主軸としている点が特徴だ。ガイドの想定読者や今後の取り組み予定などについて、両団体の担当者に聞いた
【高松平藏コラム】第4回 ドイツの市長が自転車道に重ねた哲学とは何か?
キャンプなどができる場所で仲間とバーベーキューパーティーをした時のことである。その中の数人は約20キロ離れた隣町から自転車でやってきた。都市と都市をつなぐ自転車道も結構整備されているので、移動がそれなりに楽なのだ。
投資家や社会は企業の「サステナブル・ブランド」をどう評価するのか――人権対応や政策提言が日本企業の課題
企業が投資家や社会から「サステナブル・ブランド」だと評価されるためには、何をどう取り組み、発信したらいいのだろうか。本セッションでは、弁護士、気候変動シンクタンク、投資家の視点から、人権対応の必要性や科学的根拠に基づいた政策提言(ロビー活動)が重要であることなどが議論された。さらに脱炭素社会などへのジャストトランジション(公正な移行)によって、社会から取り残される人々への配慮や、リテラシーの在り方など、包括的なサステナビリティへの視座を示す内容となった。
コーヒー豆の生産者をどう支援し続けるか――UCCがベトナムで品質コンテストを10年続けて得た手応えとは
気候変動の影響を大きく受け、世界中で2050年には栽培に適した地域が半減することも懸念されるコーヒー豆。毎年の作柄や為替相場などによって取引価格が乱高下するリスクが常にある中で、生産地をいかに支援し続け、消費者に一杯の美味しいコーヒーを安定して届けていくかは、コーヒー産業全体にとっての重要な課題だ。
天気予報で、気候変動の影響を知らせることも私たちの使命――気象キャスター、井田寛子さん
2023年は観測史上最も暑い夏となったが、今年も昨年を上回る熱波が世界を襲っている。毎日の天気予報でも猛暑や熱中症への喚起はされているが、その背景や理由について言及されることは少ない。これを変えていこうと気象キャスターら44人が「日常的な気象と気候変動を関連づけた発信を加速化させよう」と6月初旬に声明を発表した。伝え手として身近な気象予報士・気象キャスターが気候変動について頻繁(ひんぱん)に言及をしていくことによって、視聴者の意識を変え、気候危機の解決へ寄与したいという思いからだ。その背景には、信頼できる科学的知見やデータが揃ってきたことがある。これまで、天気予報で気候変動についてあまり言及されなかったのはなぜなのか、また今後どんな取り組みを強化していくのか、活動の中心的人物、気象キャスターの井田寛子さんに話を聞いた。
サステナビリティを目指す、あらゆる人のための特別企画――「オープンセミナー」と「BoF」をレポート
昨年から引き続き、東京・丸の内のエリア型カンファレンスとして開催された、SB国際会議2024東京・丸の内。さらに、エリア内を会場にした展示やさまざまな内容のセミナーを通じ、気軽にサステナビリティの学びや発見につなげる「OPEN SEMINAR & EXHIBITION」が同時開催された。ここでは、SB国際会議の特別企画として、「資源循環」や「ファッション」など6つのテーマで開催されたオープンセミナーや、最終日のBoF(Bird of Feather、懇親会))の様子をレポートする。
食品・飲料業界のサステナビリティ目標達成にいま必要な5つのこと
サステナビリティ専門のコンサルティング会社クオンティスはこのほど、レポート『変革のためのレシピ(Recipe for Transformation)』を発表した。同社はBCG(ボストン コンサルティング グループ)に属し、ビジネスをプラネタリーバウンダリー(地球の限界)に整合させるためのサステナビリティ・トランスフォーメーションを推進している。調査は米国・EUの食飲料産業で働く600人以上の人材や経営幹部を対象に行われ、小売や卸売、消費者向け包装商品、日用品、農業関連の分野の大企業で働く人たちが回答した。
「非財務価値」をいかに可視化しROEにつなげるか――KDDIと日清食品ホールディングスの取り組み
ESGや企業理念、人的資本など「非財務価値」を可視化し、さまざまな概念やフレームワークに従って開示することが、ますます重要になってきている。さらに投資家との対話では、非財務情報の発信だけでなく、そうした価値をいかにROE(株主資本利益率)などの資本指標で表すかに踏み込む必要がある。本セッションでは、非財務指標と企業価値の関連性を定量的に示す概念フレームワーク「柳モデル」を用いた、KDDIと日清食品ホールディングスの取り組みを紹介。企業の資本収益性と成長期待を高めるために非財務価値をいかに顕在化し、活用するべきかを議論した。
ビールの環境負荷に消費者が注目、パタゴニアが持続可能なビールを開発するなどメーカーも動く
ビール製品の選択にサステナビリティが影響するようになっている。米ポール・コーポレーションが世界7カ国を対象に行った調査によると、ビール愛飲家の40〜50%がビールを購入する際に製品の環境負荷が意思決定に大きく影響すると答えた。また最近では、米国でパタゴニア プロビジョンズがデシューツ ブルワリーと共に新たなオーガニックビールを発売するなど、持続可能なビール造りが進んでいる。
2030年までに全注文を持続可能な容器包装に――ウーバーイーツジャパンが使い捨てプラ廃止へ定義明確化
ウーバーイーツジャパン(Uber Eats Japan)はこのほど、サステナブルな容器包装の調達基準を定めたガイドラインを、加盟店舗向けに初めて発表した。ウーバーイーツは世界中の全注文において、2030 年までに、新品素材を用いた使い捨てプラスチックによる容器包装を、100%持続可能性に配慮した容器包装に転換する目標を掲げる。中でも、日本を含むアジア太平洋地域と、英国・欧州地域では先行して2025年までに80%を転換することを目標としており、そこに向かう第一歩として定義を明確化したものだ。
持続可能なイベントがもたらすビジネスメリットとは? ――Sustainable Event Professional Forum 2024
昨今、イベント運営でもCO2排出量の削減やフードロス削減に注目が集まっている。「SB国際会議2024東京・丸の内」の特別プログラムとして今年2月に開催された、「Sustainable Event Professional Forum 2024」には、MICEやイベント業界関係者らが参加。大阪・関西万博でのサステナビリティへの取り組みや、イベント各社が取り組む運営事例などが紹介され、イベントにおけるCO2排出量の測定方法や、取り組むメリットなどについて意見交換が行われた。また、サステナビリティマネジメント規格「ISO20121」の改定についての共有もあり、参加者は人権やダイバーシティ、児童労働など、主に社会面で内容が変わることに理解を深めた。
循環型ファッションの米欧最新動向――繊維分別の可能性を示すレポートの発表と、新たなイニシアチブの発足
米欧のファッション業界で、循環型モデルの取り組みが加速している。企業プラットフォーム「ファッション・フォー・グッド」は5月、「循環のための分別」と題した新たなレポートを発表した。このレポートでは、米国の繊維廃棄物をめぐる現状と、繊維リサイクル拡大の可能性が示されている。コペンハーゲンで行われたグローバル・ファッション・サミットでは、エレン・マッカーサー財団による新たなイニシアチブ「ザ・ファッション・リモデル」が発足した。参画企業は、製品だけでなく、ビジネスモデル自体を循環型にしていくための取り組みを加速する。
世界の脱炭素技術を席巻する中国、その本当の実力と背景を探る
昨年2023年、世界の再生可能エネルギー発電施設の新規導入容量が過去最高の510GW(IEA資料)となるなど、脱炭素に向けての取り組みがさらに活発化している。追加分のうち、中でも太陽光発電施設が4分の3を占め急増している。
導入の状況を国別で見ると、顕著な特徴が浮かび上がる。圧倒的な中国の存在感である。再生エネ発電施設の中国の導入容量は230GWで世界の半分に迫る。発電そのものだけでなく、この他、PVパネル、蓄電池や水素、EVなど脱炭素に関する技術や製品で中国のシェアは圧倒的になった。
今回のコラムでは、中国の実力とその背景を解説する。世界のSDGs指数は停滞、食料と土地利用が課題に浮上――日本はやや改善、ランキング18位に
2030年までに世界レベルで達成できる目標は1つもなく、進捗しているのはSDGsのターゲットのわずか16%に過ぎない――。このほど発表されたSDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)などの分析による世界166カ国のSDGsに関連する2024年版の報告書で、世界のSDGsの取り組み指数が2020年以降、停滞していることが改めて分かった。中でも目標2の「飢餓をゼロに」は、栄養の偏りの問題を含めて見た時にいずれの国連加盟国も達成しておらず、持続可能な食料と土地利用が世界共通の大きな課題として浮上している。日本は全体としてやや改善し、前年の21位から18位にランクが上がった。
レゴ、全社員の給与体系を気候変動目標と連動へ
デンマークの玩具メーカー「レゴ」はこのほど、全給与取得者が世界の工場や店舗、オフィスにおいて、CO2排出量の削減に取り組むよう促すための新たな年間KPI(重要業績評価)を発表した。
レゴグループは、給与体系と気候変動目標の進捗を連結させた最も新しい大手企業だ。特に、業務に関連するCO2排出量の削減に力を入れる。レゴの取り組みは新たな業績管理プログラムを最高幹部に適用するだけではなく、CO2排出量の削減目標への貢献のために全世界の従業員にやる気を起こさせ、報奨金を与えるという点で独特だ。公海の生態系保全のカギは気候変動対策 科学者らが英誌『ネイチャー』で提言
早ければ来年にも公海の生物多様性を保全する包括的条約が初めて発効する。世界的に期待されているこの国連公海条約の発効には60カ国の批准が必要だ。条約を実行するのに必要な体制や工程を決める会議が、6月24〜26日にかけてニューヨークの国連本部で開催されるのを前に、海洋生態系の保全に取り組む科学者らは英科学誌『ネイチャー』に論文を発表し、公海の生態系を守るために気候危機がもたらす特定の課題を考慮する重要性を強く主張している。
課題と自分を探究する思考力を身につける――nest第2期メンバーがアクションを通して得た学びとは
同じ志を持つ16〜25歳の若者が社会課題の本質を学び、その解決に向けたアクションを起こすことを目指して活動する、サステナブル・ブランド ジャパン(SB-J)のユースコミュニティ「nest(ネスト)」。現在、第3期の活動が本格化しているが、そこにつながる種をまいたのが第2期のメンバーたちだ。「課題と自分を探究する思考力を身につける」をビジョンに、フィールドワークやイベントの企画・開催などを通して、第2期のメンバーたちはどんな学びを得たのか。今年2月の「SB国際会議2024東京・丸の内」で行われた発表の様子を報告する。
地域に飛び込むことで課題が見える――竹中工務店らが取り組む地域再生と「企業価値」
SB国際会議2024東京・丸の内のテーマは「Regenerating Local」。企業やブランドが関わる地域から、環境や社会の“リジェネレーション(再生)”に取り組むことで、自社やブランドを変革しその価値を創造するという意味が込められている。では、地域の再生に向け企業が果たすべき役割や、発揮できる価値とは何なのか。また、企業にとって取り組む意義はどこにあるのか――。実際に地域に飛び込んで事業を展開する3社が集い、地域再生を全国に広げるヒントを探った。
ごみゼロ・環境負荷ゼロの循環型イベント実現の鍵を探る――オランダの音楽フェス「DGTL」のリアルな舞台裏
音楽やアート、食など、さまざまなカテゴリーを切り口にしたイベントが、今この時も、世界各地で開かれている。魅力あるイベントほどたくさんの人が訪れ、開催地は賑わう。しかし、規模が大きくなるほど、運営にかかるCO2排出量やごみの多さなど、環境負荷の大きさが問題となる場合が多い。
そんなイベントにつきものの悩みを取り去り、そればかりか「家で寝て過ごすよりサステナブル(何もせずに家で寝て過ごすよりも、このイベントに出掛けた方が環境負荷が少ないという意味)」を合言葉とする一大イベントが、サーキュラーエコノミーの先進国、オランダのアムステルダムで2013年から開かれている。
同国の内外から2日間で延べ約5万人が集まるエレクトロニック音楽フェス「DGTL(デジタル)」。今年4月の開催に合わせて現地を訪ね、“ごみゼロ・環境負荷ゼロの循環型イベント”の舞台裏を見た博展のサステナビリティ担当者の学びを紹介する。ニューヨーク市の食革命、「プラントベース」政策で温室効果ガスを削減
ハンバーガーにステーキといったこれまでの米国の食のイメージは、ニューヨーク市(以下NY)では大きく変わりつつある。エリック・アダムス市長のリーダーシップのもと、NYは食品に関連する温室効果ガス(GHG)を 2030 年までに25%削減するために、プラントベース(植物由来)の食事を導入する政策「Plant-Powered Carbon Challenge」を推進している。この政策に参加するのは学校や病院などの公共施設に加え、フードサービス業者やケータリング業者、企業まで食環境を持つすべての組織が対象だ。すでに市内病院では2023年に85万食の植物性メニューを患者に提供し、公立学校は学校給食を毎週金曜日はヴィーガン食とする「Plant-Powered Fridays」を導入している。NYにとって建物35%、輸送21%に次いで大きなGHG排出源である食品からの排出削減をどのように進めているか、現地NYの食に関するマーケットの状況を含めレポートする。
ISSBに向けた日立製作所とオムロンの情報開示、キーワードは「ストーリー」と「統合思考」
企業に対する非財務情報の開示への要請は、法制度化されますます整備が進んできた。開示の前提には、まず企業理念やパーパスがあり、その理念の実践としてサステナビリティへの取り組みを位置付ける必要がある。本セッションではISSB(国際サステナビリティ基準審議会) の開示基準をテーマに、日立製作所、オムロン、PwCが登壇。情報開示には統合思考が必要であり、ストーリーテリングや対話が重要であること、情報の信頼性を確保するための内部統制の構築や第三者認証が有効であること等、それぞれの立場から議論を展開した。
互いの違いを認めて対話し、協働する学校現場へ――教員と企業が議論
未来を担う子どもたちのために、教育現場はどう変わっていけばよいのか――。サステナブル・ブランド国際会議では、日本発の教育理念「ESD(持続可能な開発のための教育)」を推進する小中高の教員らが全国から集い、国内外のサステナビリティの動向を知り、教員同士のネットワークを広げる「ESD Teacher’s Camp」を毎年開き、今年で5年目となった。恒例のプログラム、「教員と企業が囲むCamp Fire」には今年も約50人が参加。企業と大学の発表を踏まえて、じっくりと意見を交わし、互いの違いを認めて対話し、「協働する力」に変える重要性などを学んだ。
旅行ブームに沸くインド 地方の小規模ホテルでサステナブルな取り組みが進む
インドの主要都市ではこれまで大手ホテルの建設が進められてきた。一方、あまり知られていない地域では、美しい自然を紹介するだけではなく、環境や地域コミュニティの発展に配慮したブティックホテルやホテルチェーンが誕生している。サステナブル・ツーリズム専門のライター、ジョアンナ・ホーゲン(Rooted)がインドの地方都市にあるブティックホテルの取り組みを紹介する。
【コラム細田悦弘の新スクール】 第10回 プラチナ企業とサステナブル・ブランディング
「モーレツからビューティフルへ」という企業広告が高度経済成長期に一世風靡(ふうび)しました。売上倍増、業界シェアNO.1などの貼紙を掲げた『モーレツ企業』が脚光を浴びた時代です。昼夜問わず働くモーレツ社員にとって、自社の成長は働きがいにもつながりました。こうした昭和的発想が世につれ変容し、働きやすさを尊重する『ホワイト企業』に脚光が当たってきました。それがここにきて、『プラチナ企業』への進化が求められているようです。
いま日本企業に必要なのは、化石燃料を脱却し「競争力」を高めること――気候変動イニシアティブ共同代表の加藤茂夫氏に聞く
気候変動に取り組む民間団体「気候変動イニシアティブ(JCI)」は、企業や自治体、NGO・NPOなどさまざまな団体が参加し、1.5度目標の達成に向けて連携して取り組んでいる。積極的に行政に働きかけ、グローバル市場での日本企業の「競争力」を高めることが目標の一つだ。共同代表を務める加藤茂夫氏は、リコーの執行役員サステナビリティ推進本部長として、当時の経営層と共に、日本企業の中でいち早くサステナビリティを推進してきた経歴を持つ。「化石燃料からの脱却を加速させなくては、日本は取り残される」と語る加藤氏に、JCIの活動や日本社会が目指すべき脱炭素の取り組みについて話を聞いた。
日本の伝統工芸から探る、エシカルなものづくりのヒントとは
職人の技と精魂が込もった日本の伝統工芸に国内外から注目が集まる中、マーケットの縮小や後継者不足などを背景に、伝統の技法や産業それ自体をどう持続可能なものとしていくかが大きな課題となっている。他方で、長く紡がれてきた歴史や工芸の素材などには、「エシカルなものづくり」のヒントが詰まっている。地域に根を張り、伝統の継承とイノベーションに挑戦する3氏が登壇した本セッションからは、日本の伝統工芸が持つ「強み」や「可能性」が浮かび上がった。
人口減少対策には、市民を引きつけ巻き込むこと――未来の世界と日本のデザイン(2)
深刻化する気候変動、COVIT-19、ウクライナ侵攻などで混迷を極める現代は、スピード感のある社会変革が求められている。そうした中、重要視されているのが、持続可能な社会づくりを担うのは「人」であるとの考え方だ。SB国際会議2024東京・丸の内と同時開催された本フォーラムでは、「未来の世界と日本のデザイン」をテーマにセッションが展開された。今回は「ウェルビーイングの実現と人的資本への対応」に焦点を当て、経済・環境・社会が三位一体となる未来のまちづくりについての議論が交わされた。
【高松平藏コラム】第3回どう作る? ドイツのようなウォーカブルなまち
日本では「ウォーカブルなまちなか」の形成が大きな課題になっている。そこに至る前の「準備」にあたるのが、ヒューマンスケールという概念だろう。これはクルマ中心社会のあり方への反省から、日本では1990年代に注目された。
日産自動車が長期ビジョンから挑む「コーポレートアクション」の実践と実現
サステナビリティを企業経営の中心に置くことが、投資家や国内・海外市場から求められるようになった現在。全社的に経営の舵を切るためには、組織内の風土やビジネスモデル全体の改革が必要となる。本セッションでは、日産自動車がカーボンニュートラル達成に向けて掲げる長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を題材に、サステナブルな経営を実践するヒントを探るとともに、いかに推進していくかが議論された。
サントリーの取り組みとJSBIから探る、生活者コミュニケーションのあり方
JSBI(Japan Sustainable Brands Index)は、生活者から見た企業のサステナビリティへの取り組みやブランドイメージを測る指標だ。サステナブル・ブランド ジャパン アカデミックチームが発表した最新のレポートでは、サントリーホールディングスのSDGsへの取り組みは、生活者が期待する企業の取り組みを超えていた。同社のパーパスや具体的な取り組み事例から、なぜ生活者の期待を上回る活動ができたのか、また、サステナブル・ブランド ジャパンのユースコミュニティnestに所属する若者2人が加わり、企業はどのような生活者コミュニケーションを取るべきなのかを探った。
日本の木質バイオマス発電に使われるペレットは、カナダの原生林から来ている――来日した森林生態学者らが警鐘鳴らす
世界で最も生物多様性が高く、炭素が豊富な森林の一つとされる、カナダの広大な原生林が、日本の木質バイオマス発電向けの木質チップを作るために皆伐されている、と聞けばどのように感じるだろうか。
【アーヤ藍 コラム】第9回 6月はプライド月間 法的権利の必要性とメディアの表象から考える偏見
6月はPride Month、プライド月間です。世界的にLGBTQ+の権利を啓発し、コミュニティを支援するさまざまなイベントや取り組みが行われます。
私が多様なセクシュアリティがあることを知ったのは大学生の時。尊敬し憧れていた先輩がLGBTQ当事者だったことを知り、先輩のことをもっと知りたいという思いの延長線でイベント等に参加するようになりました。自然はアーティスト 自然音を使った楽曲を配信し、ロイヤリティを自然保護へ
国連ミュージアム「UNライブ」は、自然が奏でる音から自然保護資金を生み出す世界的なイニシアチブ「サウンズ・ライト(Sounds Right)」を立ち上げた。この取り組みは、自然の価値について世界が意見を交わすきっかけをつくり、数百万人の音楽ファンが地球を保護するために意義ある行動を取ることを支援するのが目的だ。
フードテックや観光を軸にしたまちづくりで、地域活性化を加速
地方の人口減少と経済縮小が深刻な今、持続可能なまちづくりと地域活性化が喫緊の課題となっている。国がうたう「地方創生SDGs」では、SDGsの理念に基づき、行政や民間、市民が共創して社会課題を解決することが期待されている。第6回未来まちづくりフォーラムで開催された「自治体と企業による共創事例ピッチ」では、日本製紙やJTB、NTTコミュニケーションズらが登壇。自治体と取り組んでいるフードテックや観光を軸にしたまちづくりなど3事業が紹介された。ここから自治体と企業が「共創」するためのヒントを探る。
廃校を活用し、地域の海洋生物だけを紹介する水族館 観光客を引きつけるアイデアのつくり方
高知県室戸市のむろと廃校水族館は、小学校だった建物を利用し、市の沖合にある定置網にかかった海洋生物を紹介する。室戸で調査活動を続けてきたNPO 法人日本ウミガメ協議会(大阪・枚方市)が2018年から運営を始め、水族館でありながらウミガメの研究機関、博物館の役割も担う。展示されている生き物は約50種類と限られているが、訪れる人に楽しんでもらうための豊かな発想とユーモアで、開業1年目は約17万人、2年目は約15万人が来館し、現在も人気を博している。さらに、地域や住民にも経済的な波及効果が生まれるような形での運営に努めている。
人を生かせずして企業は成り立たない――LIFULL、JTBらの取り組み
企業経営における「DE&I」を中心に、人的資本の最大化に取り組む企業が昨今、増加し続けている。それは「多様な個性を最大限に生かすことこそが、組織の価値創出につながる」という認識が、主流になりつつあるからだ。企業や組織は、いかにして社会の生命線ともいえる人的資源を生かすことができるのか――。さまざまな業界から3人のパネリストたちが、企業側の取り組み事例などを交えた議論した。
【統合思考経営27】「失われた30年」と「昭和のおじさんシステム」~日本企業は同質性集団が最大の経営リスク!!~
前回(第23-26回)は、ISSBとCSRDについてマテリアリティの観点から考察しました。今回は、「日本企業のかたち」である男性中心の同質性集団を取り上げます。日本企業の風土や体質には以前から違和感があったのですが、2冊の本(いずれも著者は女性)を読んだことで、自分なりの論点整理ができたからです。具体的には以下の3点です。