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才能の器/Novel by 水野

才能の器

10,601 character(s)21 mins
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・システム:クトゥルフ神話TRPG
・推奨人数:3~5人
・推定時間:5時間
・ジャンル:半シティ、サイコホラー、哲学
・推奨技能:なし
・推奨設定:最高値の能力値が1つ以上かつ90以上の技能値が1つ以上ある探索者
・ロスト難度:☆☆☆☆☆
・クリア難度:★☆☆☆☆

探索者を作成する際、以下のいずれかの方法で作成する
1. 最高値にしたい能力値を1つ決定し、それ以外をランダムで1回振る。
2. 最高値の能力が1つ以上出るまで全能力値を振り直し続ける。

あらすじ
各分野において名を馳せるいわゆる「天才」である探索者たちは、とあるパトロンから資金提供の話を持ちかけられ、彼が所有する島「天祭島」へ赴くことになる。

背景
この世界は、現実とは少し違う経済の成長の仕方をした日本が舞台である。日本では大金持ちの起業家が才能のある学者や技術者、アスリートなどに大量の出資を行い経済の発展が活性化するパトロン事業が大きく成長していた。そのため、特定の出資者が多方面の技術者を抱えるコンツェルンなどが多く存在する。今回の出資者である金柴凛も出資者として有名であるが、彼はどちらかというとディレッタントであり、才能ある人間に大量の金を、望むならば場所をも提供することで知られている。才能があれば見境がないようであり、年齢にかかわらず、それこそ小学生から名誉教授まで様々な人間がこの島を訪れる。質の高い教育を求めて本島から離れ、この島で教育を受けてから有名になる人間もしばしば耳にする。彼は日本海に浮かぶ島を1つ所持しており、そこを1つの巨大なサロンとして公開している。ただし、基本的にこの島は彼の招待を受けた人間しか立ち入ることができないため、彼に気に入られようと考えている芸術家などは多い。島ではあらゆる望みが叶えられ、衣食住や教育に困ることがないため招待された人間が多く住んでおり、「天才の島」と揶揄されることもある。

真相
金柴凛は才能を愛する。そして、彼は自分の島に招待した人間にはある提案をしている。「貴方の才能を永遠のものとしませんか。」彼はその昔、魔術の才能を持つ人間を島に呼んでしまったことがあった。彼は世界にそのような知識が存在すること、不可能を可能にする力に興味を持ち、彼が望む書物やアーティファクトを金にモノを言わせて収集していた。勿論そのほとんどは金で何とかできるものではなく、奇跡的に集められたものもほとんどが写本であったが、研究は順調と言えた。
金柴はまた、才能を愛する人間として、あらゆる分野に興味を持つ人間であった。勿論初めて知った魔術という分野に対してもそれは例外ではなく、魔術師の研究の傍、収集した本を彼自身も解読していた。その中に彼が引き込まれた文面が存在していた。「寿命を延ばすための魔術」。彼は「天才に更なる生を与えることができるのではないか」と魔術にのめり込み、実践に移す。

NPC
・金柴 凛(かなしば りん)
大金持ちのスポンサー。
★魔術により、気に入った天才を島に呼び寄せて延命の魔術を施している。その魔術は若く健康な人間を素材として必要とするため、「天才に憧れている若い人間」を同時に島に集め、教育・洗脳を施している。転生理由は転生者へのアフターケア。

・銀 環(しろがね たまき)
金柴の秘書、ではなく秘書でもなんでもない哲学者。探索者達が島に来る直前に魔術により若く健康な女性の体に精神を移しており、わくわくしちゃって金柴に相談して秘書のふりをするお茶目な人間。転生理由は哲学的命題への接近。
[芸術:哲学]90。

・赤垣 海賀(あかがき かいが)
画家。湖で青と喧嘩している。転生済み。転生理由は興味。
POW18、[芸術:風景画]91

・青山 創(あおやま つくる)
登山家。湖で気晴らしに彫刻を行なっており、そのことで赤垣と喧嘩している。ED後の転生理由は芸術の追求。
EDU18、[医学]91

・黄樹 蘭々(きき らら)
メカニック。個人棟に閉じこもってロボットを作りまくっているため顔を出さない。転生済み。転生理由は技術開発。
INT18、[機械修理]91

登場する魔術
・精神交換(基p266)
・精神転移(基p266)


導入
探索者たちは各分野における所謂「天才」として有名である。そんな探索者たちの元に、ある日一通のメールが来る。差出人欄には「金柴凛」という名前が書いている。[知識]に成功したPCは、彼が日本有数の金持ちであり、特に自分が才能があると思った人間には老若男女問わず援助を惜しまない大株のスポンサーであると知っている。メールにはこう書いてある。
「◯◯様 突然、このような形でご連絡させていただくこととなる失礼、どうかお許しください。私、大金持ちで有名な金柴凛と申します。この度ご連絡を差し上げたのは他でもありません。私、◯◯様が行われている研究に大いに興味を持ちまして、せめてもの応援として、是非資金提供させていただきたく思いました。つきましては、私が所有しております研究島、「天祭島(あまつりじま)」へご招待いたします。島はこの時期気候が安定しており、休暇として数日間滞在していただくのが大変よろしいかと存じます。ご興味がおありでしたら、ご希望の日程と共に返信して頂けますでしょうか。お忙しい身であるとは存じますが、是非ともご検討を宜しくお願いいたします。」
★探索者がスポーツマンや芸術家などの場合、文面を少し変更してください。
[知識]や[図書館]で成功した探索者は以下のことを知っている。
◯天祭島
通称天才島。所有者である金柴凛が、興味をもった人間を招待することで知られている。彼自身も島に住んでおり、彼が抱えている天才がストレスなく研究や創作ができるよう、最先端の研究設備や美しい自然、美味しい食事などが提供されている。招待された天才曰く、「まるで理想郷のよう」な島である。現在、20人ほどの天才が滞在していると噂されている。
もしPCが「天祭島」から帰ってきた天才に会いたいと言った場合は、[幸運]で判定させる。成功した場合、同じ分野に招待されたことのある知り合いが居て話が聞ける。彼は「一度見たらわかるが、あの島は理想的だ。金柴さんに掛け合えば欲しいものは手に入るし、生活の自由も完全に保障されているらしい。研究を行うことに一切の支障がない、研究者にとってはこれ以上ない環境だ」という。滞在を提案されなかったのか?との質問には「僕も提案されたさ。と言うより、彼は資金提供をしている全ての人間に滞在しないかと声をかけているようだ」という。なぜ滞在していないのかと聞かれた場合、「…簡単な話さ。金柴さんとソリが合わなかったんだ。幸い、彼のほうからはそうは思わなかったみたいで、今でも資金提供はしていただいてるけどね」という。詳しい話を聞こうとすると言い淀むが、[言いくるめ]などで成功した場合、「…何と言うのかな、人間に対する見方が僕と違ったって言えばいいのかな。彼は「天才」が好きなんじゃなく、その「才能」が好きなようだ。語弊があるとは思うが…。正直、僕はもう2度と彼と顔を合わせたくないね。」といい、これ以上は口をつぐむ。

出発
偶然かそれとも示し合わせてか、探索者たちは同じ日に天祭島へ向かうことになる。島へは金柴が所有しているヘリコプターで向かうため、初対面の場合はその中で自己紹介を行うこと。1時間ほど揺られたところで、パイロットが「皆様、天祭島が見えてまいりました」とアナウンスする。窓の外を見ると、島と言われて想像がつかないほど発展した建物が並び立っている。しかし窮屈と言ったイメージは浮かばず、島の中心には丁寧に整備された自然が広がり、本土から離れているからか透き通った海から寄せる潮に、陽に照らされた白い砂浜のコントラストが美しく映る。探索者はこの光景を見て、「楽園だ」と感じるであろう。
ヘリコプターは件の建物の1つに降下し、丁寧に降り立つ。扉を開けると、到着を待っていたのか一人の女性が立っているのが見える。「〇〇様、▲▲様、□□様、お待ちしておりました。私、金柴様の秘書をさせていただいております、銀環(しろがねたまき)と申します。金柴様は現在趣味の研究に勤しんでおりますので、私が館内をご案内させていただきます。それでは、こちらへ」と言い、屋上に見える入り口の方へと歩いていく。
扉の中はエレベーターとなっており、秘書は操作盤にカードキーを差し込むとボタンを押す。操作盤を見る場合、1~3とRのボタンがある。カードキーのことを聞くと、「これは館内を移動するのに必要なものです。皆様も後ほど金柴様から手渡される手はずとなっております。」と言う。「チン」という音の後扉が開き、長い廊下に出る。秘書は「こちらです」と歩き出し、「執務室」と書かれた扉の前で立ち止まる。そして、扉の脇にある機械に先ほどのカードキーをかざすと、機械から「はい!どうぞお入りください!」と声が聞こえ、扉が自動的に開く。
部屋に入ると、壁には中身がみっちりと埋まった本棚が広がり、部屋の中央に設置されたテーブルの上にはモニターと、今し方まで読んでいたのか、本が積み上げられている。そして、その前に一人の男が立っていた。
「◯◯様、▲▲様、□□様、お待ちしておりました!お初にお目にかかります、私がこの島のオーナー、金柴凛でございます。本日はこのような辺境にまで足を運んでいただき、誠にありがとうございます。慣れぬ旅路でお疲れのことと存じますので、お金の話はまた明日のこととし、本日は是非、島を観光なさってはいかがでしょうか」と勧める。今から話をしたいと言う探索者に対しては「いえいえ、お金のお話をした後では肩肘張ってしまって疲れが取れないでしょう。まずは是非、休暇ということで島をお楽しみください」という。日帰りの予定である探索者がいた場合、「そうでした。お忙しい中本当にありがとうございます。それでは、早速お話をさせていただきます。他の方々はどうかお席をお外しください。」と言う。日帰り探索者はこのまま「決断」の章へと移行する。

探索
部屋を出る際、金柴から「ああ、そうでしたそうでした!皆様にはこちらをお渡ししなくてはいけませんでした!」と、カードキーを一人一人に手渡す。「こちら、この島の建物に出入りするためのカードキーでございます。これがあればエレベーターや研究設備など、プライベートなスペース以外は入れるようになっております。また、皆様のお部屋はすでに用意してあり、各自ご自分のカードキーで入れるようになっておりますので、ご自由にお使いください。丁度良いので、銀様に島のご紹介をお任せしたいのですが、よろしいですか?」「はい、お任せください。それでは皆さま、こちらへどうぞ。」と誘導する。

ここから自由探索である。探索については銀から説明を受ける。「現在、皆様は「研究棟」にいらっしゃいます。ここは島の北側1/3を占める建物となっております。今から向かっている場所は、島の中心部にある「個人棟」です。こちらは島に招かれた方々のお部屋が並ぶ、宿泊施設のような建物が並んでおります。皆様のお部屋もこちらにご用意させていただいております。特にここでの生活に慣れてきた方々はリフォームするなどして自分好みにされている方も多く、大変多様な空間になっています。」「ここから西に行きますと美しい砂浜、東に行きますと公園がございます。」

個人棟
個人棟は銀の言う通り不可思議な空間になっていた。高級ホテルのようなロビーを通ったかと思うと旅館のような廊下に出、中庭を通ると現代建築のような建物に変わるなど、節操のない内観になっている。「こちらの先が皆様のお部屋になっております」と、ホテルのような内観に雰囲気が戻ったあたりで銀が言う。示された方向には廊下が伸び、扉が1つある。「こちら1階が◯◯様、2階が▲▲様、3階が□□様のものとなっております。ご自分のカードキーを隣の機械にかざされると扉が開きます。」
★部屋の主人以外の人間のカードキーがかざされると、相手に訪問と名前が伝わるインターホンの役割を示す。
「黄樹 蘭々」の部屋を探すと、研究棟の様な無機質な雰囲気の廊下にネームプレートを見つける。扉横の機械にカードキーをかざすと、「ご用件をどうぞ」と聞こえる。[聞き耳]に成功すると合成音声なのではと感じる。海辺のロボットの話をすると「少々お待ちください」という声が聞こえ、数秒後に扉の一部がパカッと開き、ボードがついたアームが伸びてくる。そこにはバッテリーの様なものとコードの様なものが置いてある。

・砂浜
個人棟から南へ向かうと、途中で小さな高台になっており道が途絶えている。近づいていくと、どうやら防波堤になっているようで、下へ降りる階段が見つかる。近づいて見下ろすと、美しい砂浜と透明な海が視界に広がる。しかし、そこには明らかに異常な物体がある。人型をして岩に腰掛けたそれは、しかし全身銀色であり、金属の様な見た目をしている。近づいてみると、人間であれば顔に当たる部分のモニターに「🔋」と書いてあり、どうやら充電が切れているのではないかと分かる。[目星]に成功すると、「黄樹 蘭々」と書いてあるネームプレートが貼ってあることがわかる。[知識]に成功しても聞き覚えがない。
バッテリーを挿すと金属は動き始める。「アー、ヨクネタ。ヤヤ アナタタチハ!オマチシテオリマシタ ワタシ キキララトモウシマス!コレヲオワタシシマス」黄樹蘭々と書かれたカードを渡される。「コレデ ケンキュウトウチカノ ケンキュウシツニ イクトイイデスヨ」と言い、ガシャンガシャンとその場を去る。常識では考えられない存在と遭遇した探索者はSANチェック0/1

・湖
個人棟から西に向かうと、林のような場所が現れ、中に道が続いている。木々に囲まれ、清らかな空気が辺りを包んでいる。10分ほど道を進んでいくと、話に聞いていた通り大きな湖が目の前に広がる。湖の周りにはコテージが数件、テントが数件立っており、湖の前で彫刻を彫っている人が見える。声をかけようと近づいた時、近くのロッジから少女が現れる。彼女は湖の方に目を向けると、「あーーーっ!」と声をあげ、彫刻家の元に向かう。「おいテメエ!良い加減あのバエねえモンどけろっつったよなぁ!??」と憤る彼女に、男はため息を1つつき、「だから何度も言ってるでしょう、金柴さんから島の好きなところで好きなようにすれば良いと言われているじゃないですか。」「お前のガラクタが置いてあんのが目障りで制作に支障がでるっつってんだよ!」「…はあ、これだから芸術家は偏屈だって言われるんですよ」「てめえ!ぶっ殺してやる!」と何やら揉め始める。
話を聞いたところ、画家である少女が湖を拠点として絵を描いていたところ、最近男の方が湖のほとりで彫刻の制作を行い始め、あろうことかそれを置きっぱなしにして帰っているという。それも数がだんだん増え始め、先日ついに少女が描いている湖のほとりに謎のオブジェが乱立しはじめ、制作がとどこおっているというのである。
「だから退ければ良いって言ってるだけだろうがよ!横でカンコンカンコンやってんのは我慢してやるからさって!!」「私はあのオブジェを作った場所でインスピレーションを受けて作ったのです。あの作品はあの場所に置かれていないと完成とはいえないのです」「我儘なのはどっちだっつってんだよ!今時芸術家でもしねえぞんな暴論!」この問題をどうにかしない限り、「申し訳ありません、今絡まれていまして…」「後にしてくれ、仕事が詰まってんだ!あのクソどもを退けさせてからなら聞いてやるよ!」と二人から話が聞けなそうである。銀などに助けを求めると、「これは…金柴様に相談しないとなんとも…」と答える。金柴に相談すると、「…なるほど。皆さんはどう思われますか?」と質問してくる。金柴はここで行なった解答通りの対応をする。

公園
個人棟から西に向かうと草原が広がっている。銀はこれを「公園」と呼んでいる。「奥の方には学校がありまして、金柴様のお眼鏡に適った子供たちが通っています。」遠くを見ると建物が並んで建っており、聞くとそれが寮を併設した学校であることを教える。「寮は希望された方のための施設です。個人棟から通うよりはよほど近いので、だいたいの方は寮住まいとなっております。とはいえ、学校には勿論得意分野を伸ばすためにあえて通ってない方はいらっしゃいますが、基礎教養などを学ぶために通われている方も多いです。講師も島にいらっしゃる方々が趣味で教えられていますので、質の高い内容となっています。」と答える。彼女は腕時計を見ると、「と、そろそろ休み時間のようですね。子供達が公園に遊びに来る時間です」といい、そのタイミングで建物の方から「うおおおおおおお」と言う声と共に子供達がボールを持って走ってくるのが見える。彼らは公園に先に居た探索者達に気がつくと、「うわあああああ!◯◯さんだ!!!!!!」と探索者を知っている様子を見せる。「すごい!本物ですか!サインいただけますか!」「俺色紙とペン持ってくるわ!」と大はしゃぎする。「俺、◯◯さんみたいになりたくて一生懸命勉強してるんです!」と言う。その後、子供達からなんかやってみてくれなどの無茶振りが飛んでくるので、自分が得意な技能で判定する。成功すると子供達は大喜びするが、失敗すると「おお、すごいっすね…」と半笑いになる。
★犠牲者の子供達と触れ合うシーンなので、なるべく親しくなるようなRPをしましょう。

観光が終わり、夜個人棟の部屋の前に到着すると、銀は探索者に挨拶する。「本日はお疲れ様でした。明日、お時間になりましたらお一人ずつお迎えにあがりますので、どうぞお休みください」と言い、その場を去る。

研究棟
地下
エレベーターの操作盤に黄樹のカードを当てると、ボタンを押していないにも関わらず扉が閉まり下へと動き出す。数秒後扉が開くと、そこは小さい部屋であった。壁際には小さな本棚と机が並び、ベッドが部屋の中央に2つ並んで置かれている。机の上には一冊のノートが置かれている。本棚の本を手に取ろうとすると、寒気が背中を走る。それでも手に取って読むと呪文書であることがわかり、1日かけて読むと<精神交換><精神的従属><精神転移>の呪文を入手、SAN減少1D8、クトゥルフ神話技能が減少値だけ増加。机の上のノートには「実験記録」と書かれている。読む場合、以下の内容が書かれている。
「◯年◯月◯日 精神交換: 失敗。原因を探る。
 ◯年◯月△日 精神交換: 失敗。器の抵抗が原因か?抵抗の意思を折り実験を続ける。
 ◯年△月◯日 精神交換: 失敗。意識不明にも関わらず抵抗あり。
 ◯年△月△日 精神交換: 成功。器の強い希望が必要。しかし数時間で戻るため、不敵。
 △年◯月◯日 精神交換: 成功。重ねることで定着度合いが上がるようだ。
 △年◯月△日 精神転移: 成功。精神交換と同様、抵抗を防ぐことが有用か。
 △年△月◯日 精神転移: 成功。精神も1度で定着し、計画に有効である。」
以上の記述とともに、「備忘録」と題されたページに<精神転移>の呪文が載っている。
奇妙で信じられない、しかし確かに行われたのであろう実験に身震いがする。SANチェック0/1D3。

決断
探索者を1人ずつ呼び、個別に相談する。これは最後の決断が相談不可である必要があるためであり、DMなどで解答させるのが望ましい。決断までの金柴の話などは時間短縮のため全体一括で話をしてもいい。

金柴は支援金などの話はそこそこに、転生の話を始める。以下はその演説例である。
「実はですね。わざわざこの島に来ていただいたのはお金の話とは別に大事なお話がある為です。単刀直入にお聞きします。◯◯様、不死にご興味はおありですか?
私はかねてより考えておりました。才能ある人間に必要なのは2つ、お金と、時間であると。お金がなければ実験ができない。時間がなければ作品が完成しない。幸い、私は親から受け継いだ事業によりお金を持っています。それを才能ある方々に渡すことで多少の貢献はさせていただいております。しかし、時間はどうしようもございません。才能ある人間にも才能のない人間にも、等しく寿命はまいります。そのはずでした。
私は、人間の寿命を伸ばす方法を発見したのです。しかし、これは多くの人々にもたらすことのできる技術ではございません。そこで、私が個人的に、才能があると感じた方にこの提案をさせていただくことにしています。勿論、こちらはただの提案となっております。この返答にかかわらず、金銭面でのご支援はさせていただきます。勿論、何も知らないまま「わかりました」と言えるようなお話ではないことはわかっております。そこで、実際にその技術で寿命を延ばした方をご覧に入れましょう。」そう言うと、脇に控えていた銀が一歩前へ出る。「申し訳ありません。私、金柴様の秘書などではございません。」「彼女は貴方方がいらっしゃる直前に精神を新たな器に移しかえられました」「すみません、悪気はなかったのです。ただ、本当にこの体で違和感を持たれないのか、試してみたくて…」「ご気分を害されたのでしたら謝罪いたします。しかし、私は貴方方にはやりたいことを全てなさっていただきたいのです。」「…それでは、改めてお聞きします。◯◯様、不死にご興味は?」

金柴は決断に関係がありそうな質問なら答えるが、「その技術はどこで手に入れたのか」など関係のなさそうな情報は「積もる質問は後ほど、皆様の前でお答えしましょう」と答えない。
また、不死を選ばなかった各探索者には「この島に住むか」「時々来るか」「二度と来ないか」の選択をさせること。

ここでの選択によりEDは変化する。

エンディング

ED1「黄」
条件:不死を選択しないand島に二度と来ない
探索者は短い休暇を終え、島から離れる。その後、金柴からの出資を元手に、彼の才能はさらに開いていき、いつしかまとまった休みも取れないような、多忙な生活に追われるだろう。そんなある日、仕事の帰りにテレビをつけると、ちょうどニュース番組が始まったところだった。挨拶もそこそこにアナウンサーは興奮した様子で1つ目のニュースを語り始める。「つい先ほど、日本の小学生が人工知能を搭載したロボットを開発することに成功したとのニュースが入りました…」

ED2「青」
条件:不死を選択しないand島にたまに来る
探索者は短い休暇を終え、島から離れる。金柴からの出資を元手にメキメキと頭角を現してきたあなたは、多忙な生活を送っている。ある日、自宅の引き出しをひっくり返していると、カードキーが目に止まった。例の島のことを思い出し、たまには顔を見せるか、と金柴に連絡をとった。金柴は前回と同様に探索者を歓迎する。公園に行くと、相変わらず元気に遊ぶ子供たちの姿が見える。そのうちの一人が探索者に気づくと、「あ!〇〇さんじゃないですか!」と言い、走り寄ってくる。「お久しぶりです◯◯さん!僕、少しだけですけど彫刻が上手くなったんですよ!」

ED3「赤」
条件:不死を選択しないand島に住む
「先生をやってみませんか?」ある日、金柴から提案がある。島の小学校では島にとどまっている天才が趣味で教鞭を執っているようで、参加不参加も自由である。小学校を訪れた探索者は学校内で赤垣とで出会う。彼女は今から授業のようで、「気晴らしにゃあいいもんだぜ。よかったら見てくか?」と言う。
教室に入ると3,4名の生徒がおり、探索者の方を見る。「おいどこ見てんだ!先生が入ってきたらどうすんだっけ!?」「うっせえぞ赤垣!なんで◯◯さんがいるんですか!」「ああ!?授業中は先生をつけろやボケナス!お前らがいい子にしてたら授業してくれるってよ!!」「わかりました!おはようございます!」「よし着席」授業内容は絵画のようで、赤垣は慣れたように子供達の絵を添削していく。「おし!!休み時間だ!!終わり!!」チャイムがなると赤垣は叫び、「ありがとうございました!」と子供達は我先にと教室を飛びだす。「…なあ、◯◯よぉ。子供って可愛いよな。お前さ、金柴の申し出、受けたのか?」「…そうかぁ。ま、そうだよなぁ。突然あんなこと言われてさ、このおっさん頭おかしいのかと思ったよな。俺ぁなぁ、受けちまったよ、その話。本当だったらそんな面白ぇこたぁねぇってな、やってくれ、今やってくれって言ったんだよ。んで、目覚めたらこの体さ。笑えちまったよ。あまりに簡単でなぁ。」「公園にさ、行ったんだよ。あまりにも体が軽くてな。したらさ、休み時間のガキどもが走ってくんだよな。あいつらすげえよな。10分しか休みねえってのにボール持って公園に来て。でさ、俺を見て言うんだよ「あ!かいちゃん!久しぶり!」ってな。……俺、俺さぁ、何てことを…」

ED4「才能の器」
条件:不死を選択する
探索者はまどろみの中にいる。金柴から「そろそろでしょう」と言われたのはつい先日だ。この島に初めて訪れた日からだいぶん時間がたった。あれから多くの天才が島を訪れ、そして去った。金柴を含め、多くの天才が姿を変えた。そして、あなたも今。
「魔術は成功です」若い青年の声に目を覚ます。あなたは薄暗く小さな部屋にいる。壁には小さな本棚と机があり、その前に青年があなたを歓迎するように立っている。「姿をご確認なさりますか」彼は手鏡を手に近づき、あなたに手渡した。

★若い青年は金柴の転生後。天才を責任を持って転生させるために自身の延命も決定した。

報酬
生還した:SAN+1D6
金柴の提案を断った:SAN+1D6

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