石破茂新首相、「裏金」再調査を重ねて否定 国会での論戦も回避、政権発足後たった8日で衆院解散へ 

2024年10月1日 22時29分
 自民党の石破茂総裁(67)は1日、衆参両院本会議での首相指名選挙で第102代首相に選出された。首相交代は2021年10月以来、3年ぶり。石破氏は皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て、公明党との連立による石破内閣を発足させた。石破氏は1日夜の就任会見で、派閥裏金事件の再調査について「新しい事実が判明すれば調査が必要だ」とした上で、現状では必要ないとの認識を重ねて示した。(川田篤志)

◆「主権者に信任を問うのが大義」

  石破氏は会見で、9日に衆院を解散し、15日公示、27日投開票の日程で衆院選を行うと表明。「新しい内閣を信任してもらえるのか、主権者たる国民に問うのが大義だ」と訴えた。首相就任8日後の衆院解散は現行憲法下で最短となる。国会の論戦を十分行わないまま、選挙戦に突入する。
 衆院選は、裏金事件への対応など政治の信頼回復が最大の争点となる。石破氏は当初、国会での本格的な論戦後に衆院を解散する構えだったが、野党の追及で内閣支持率が低下することを懸念し、早期解散に方針転換した。
 石破氏は、政治資金収支報告書に不記載があった「裏金議員」の公認に関し、政治資金の公開、政治活動以外の使途の有無、再発防止の考えを提出させた上で判断すると述べた。

◆閣僚人事は「身内」登用が目立つ

 石破内閣は、北大西洋条約機構(NATO)のアジア版の実現や日米地位協定の改定に意欲を見せるなど、石破氏がライフワークとして長年取り組む安全保障問題で独自色を打ち出す。経済政策では最低賃金の引き上げや税体系の見直しによる格差是正など「分配」を重視し、岸田内閣の政策を継承する方針だ。
10月1日、会見する石破首相(市川和宏撮影)

10月1日、会見する石破首相(市川和宏撮影)

 閣僚人事は初入閣が13人。岩屋毅氏(67)を外相、村上誠一郎氏(72)を総務相に充てるなど総裁選で石破氏の推薦人だった6人を起用。旧石破グループの赤沢亮正氏(63)を経済再生担当相、平将明氏(57)をデジタル相とするなど「身内」の登用が目立った。旧安倍派からの入閣はなかった。
 岸田内閣は1日午前の閣議で総辞職した。岸田文雄首相の在職日数は1094日で、戦後8番目の長さだった。

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