『虎に翼』第110回 「家族のようなもの」の帰結
麻雀対決でおなかがぎゅるぎゅるしてしまった優未。お母さんのために頑張ろうとするといつもこうなってしまうと、ソファに横になって言っています。寅子はつきそい、航一も見守り、百合も気遣い、陥落済みの朋一まで毛布をかけてくる。
気がつくと真ん中にいる二人
「そういうところ、そういうところが嫌! 気がつくと真ん中に二人がいる!」
遠巻きに見ていたのどかがそうたまりかねたように口に出します。
「お父さんも、百合さんも、お兄ちゃんも、み〜んな二人を見てる!」
そうたまりかねたように吐き出すのどか。誰からも距離を置いているようで、実はかまって欲しかった。目を向けて欲しかった。そんな思いがあふれてきました。
のどかにとって、家は明るくのどかなものでもない。仲が悪いわけではないけどべたべたしない。そういう家族なのだとのどかは言います。のどかにとっての父とは、仕事第一でつきあいが下手だった。お祭りにも海にも行かない。入学式の写真で子どもと手を繋がない。散歩に誘ったりしない。そういう人だと思っていたのに、別の顔を見せたことに傷ついていたのです。航一がしたことを覚えているのどか。そんな話を聞くたびに傷ついていたのですね。
一方で朋一は理解できるようになっておりました。はじめこそのどかと同じく嫉妬もしたけれど、寅子たちは亡き母である照子の願いを叶えてくれたと納得したらストンと胸に落ちたのです。
妻の願いを知らなかった航一は困惑しています。
「お父さんを甘えさせてあげてって」
そう朋一がいうと、のどかは反論できません。航一は目頭を抑えてしまいます。
「二人に甘えることなどできなかった。そんなことしたら、気持ちが溢れてもう立ち上がれなかった。きっと自分が壊れてしまっていた」
航一は蓋が開いて、気持ちがあふれてくると、それに溺れて足を取られて何もできなくなります。感情が爆発します。
だからこそ、航一は自分を守るためにそっけなくしていました。総力戦研究所のことで自分を責めて、距離をとり、全てを百合さんに押し付けていたのだと。自分を守るためであり、自分が生きるためであり、我が子を思ってのことではない。そこが彼も身勝手だと思っていたところでしょうね。
百合の幸せと誇り
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