2024.08.11
# 戦争

94歳の元少年隊員が目撃した「731部隊の大罪」…「頭部のホルマリン漬け」「少年隊員への人体実験」「遺骨は川に遺棄」

週刊現代 プロフィール

731部隊で生まれた「マルタ」の子ども

「200~300人いた、とも言われていますが、私は20人~30人くらいだったと思います。11日の朝、実験棟の中庭からポヤポヤと煙が立ちのぼっているのを見ました。マルタの遺体にガソリンをかけて燃やしていたんです」

清水さんたちの隊。軍人は少なく、多くが軍属の研究者だった(清水さん提供)清水さんたちの隊。軍人は少なく、多くが軍属の研究者だった(清水さん提供)

遺体が燃えると清水さんたち少年隊員たちが集められた。マルタの収容エリアに入るのは初めてだった。炭化して骨になった遺体を集め、袋に入れた。年齢も性別もわからないほどに損傷していたが、中には子どものような小さな骨も混ざっていたという。集めた遺骨はほかの隊員が近くの川に遺棄した。

清水さんが見たホルマリン漬けの標本も川に遺棄されたのではないか、という。しかし、中には「研究成果」として、一部の軍医や研究者らによって日本国内に秘密裏に運ばれていたとも言われている。

 

「マルタの多くは成人男性だったそうですが、子どももいた。おなかに子どもがいる女性、そこで生まれた子もいた」

非人道的な人体実験の末、無残に殺された子どもたち。一体、何の容疑で拘束され、命を奪われなければならなかったのだろうか。

主要な建物や731部隊の犯罪を裏付けるものはすべて焼却、爆破された。自分たちの罪の一切をこの世から消そうとしたのだ。

終戦ですべてが終わったわけではなかった。帰国前、上官は清水さんに自決用の青酸カリと拳銃を手渡した。731部隊員だったことを秘めて戦後を生きた清水さんだったが、10年ほど前から凄惨な体験を語り始めた――。

つづく記事「戦後79年経っても夢に見る「ホルマリン漬けの子どもたち」…94歳の「731部隊」元少年隊員が明かす「口外厳禁」の恐怖」では、その詳細を報じる。

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