京都弁「年収1,000万円の市バス運転士は、いてはらへんなぁ」 ↓ 共通語「頑張って同和利権を潰しました!」 ブラックな問題と労務トラブルの専門家です。奈良県出身ということもあり、少しだけこの種の問題に詳しいので、「年収1,000万円市バス運転士問題」の背景事情を説明しますね。 まずこの元投稿だけを見れば、「嬉々としてバス運転士の給料をカットして『適正化!』だなんて京都市ひでえ」「今になって『運転士が足りない!』だなんて自業自得だ」というふうに見えますよね。でも、わざわざ市の交通局が公式アカウントで給料カットを喧伝するような投稿に至ったのには、深い事情があるのです。 京都市交通局は長年にわたって赤字を垂れ流していたんですが、その原因の一つが「高すぎる運転士の給料」でした。一時期はバス運転士の約半数が年収1,000万円超だったり、人件費だけでバスの運輸収入を上回る状態だったことも、市議会の議事録で明らかになっています。 もう一つの問題が、「同和利権」で採用された職員による相次ぐ不祥事でした。京都市では2001年度まで、交通局や清掃事業を行う環境局などの現業職員は、部落解放同盟や全国部落解放運動連合会など同和団体の推薦を受けた人物のみを採用する「選考採用」という手法がおこなわれていたのですが、当該部門に集中して不祥事(覚醒剤、児童買春、収賄、傷害、私文書偽造、暴行など)が相次いで発覚。長年不適格な採用をし続けていたと厳しく批判されました。 さらには、労働組合幹部が業務時間中に組合運動する「ヤミ専従」のために無届でバスを運行する「幽霊バス問題」もメディア報道され、指摘を受けた当時の京都市長が組合と交通局の癒着を認めたという事件もありました。 ちょうど同時期に起きた「奈良市部落解放同盟員給与不正受給事件」なども重なり、この頃は近畿圏のマスコミがさかんに「ほとんど仕事をしてないのに、なぜか高い給料を貰ってる不思議な地方公務員」にまつわるスクープ報道を連発してましたしね。 結果として京都市に対しては「税金で組合運動させるな」「同和政策を見直せ」と批判が起き、選考採用も終了。分限免職基準も見直され、問題職員は懲戒免職となりました。そしてこの投稿のように、「今や自虐ネタとして扱えるまでにクリーンになったよ!」ということを表しているわけですね。 京都や奈良のみならず、自治体の特定部署や職員がいわば「聖域」のようになってしまい、誰も手出しできなかったり、見て見ぬふりをする状態だったところはまだ残っているわけですが、以前からは世代も世論も変わり、特定の身分の効力も薄らぎつつある印象です。関係各所は長年にわたって蓄積された膿をこのタイミングで出し切り、馴れ合いとはキッチリけじめをつけ、是正を図っていって頂きたいところです。