警察庁は29日、大規模災害など緊急事態への対処費用として、令和7年度予算案の概算要求に145億8千万円を計上した。悪路走行が可能なバンを全国に配備し、長時間電源が確保できる有線無線切り替え型のドローンを新規導入するなど資機材の充実を図るほか、来年行われる大阪・関西万博の警戒にも20億9千万円を投入する。
元日に発生した能登半島地震を教訓に、大型資機材が搭載可能なバン型四輪駆動車を47都道府県警全てで整備するほか、半島という地理的特性から道路の寸断が救援救助活動の妨げとなったため空路輸送を想定した小型軽量資機材を大量導入。不足した寒冷地対応の物品も充足させる。
また被災地での活動で使用するドローンに加え、ウクライナ侵攻や海上自衛隊護衛艦の空撮問題を受けて研究用のドローンも購入。警備1課に小型無人機運用室を新設する。
概算要求ではこのほか、今年度に隊から部に昇格させたサイバー特別捜査部の定員を十数人増やし、兼務の捜査員を含めた体制を300人から330人に増員するなどサイバー空間対策費に59億6千万円を計上した。
増加に歯止めがかからないストーカーやDV、児童虐待を含めた犯罪被害者支援のため、増額された給付金の支給費用として前年度から11億円増の24億2千万円を積んだ。これら概算要求の一般会計総額は合計3284億6千万円となり、前年度から175億円の増額となった。
警察庁は「従来からある基盤の充実や更新に重きを置いた。激甚化する災害や経済安全保障への対策などを強化するための予算だ」としている。