来日外国人の犯罪が爆増? 見出しで記事内容を歪曲【ファクトチェック】
「来日外国人犯罪が爆増、重要犯罪+2000件以上 性犯罪+5000件以上」という言説が拡散しましたが、誤りです。重要犯罪、性犯罪としてあげられている数字は日本人を含む日本全体の件数であり、外国人による犯罪数の集計ではありません。
検証対象
2024年8月20日、「来日外国人犯罪が爆増 前年比:重要犯罪+2000件以上 性犯罪+5000件以上」という言説が拡散した。
2024年8月23日時点で3800件以上リポストされ、表示回数は32万回を超える。投稿について「対策が必要」「入国規制して当然」とコメントがつく一方で「見出しダウト」という指摘もある。
検証過程
拡散したポストには、まとめサイト「もえるあじあ」のリンクが付いている。リンク先を確認すると、FNNの「殺人・強盗などで検挙された来日外国人が2008年以降最多に 殺人・不同意わいせつ・詐欺などの認知件数も増加 警察庁」という記事を引用元としている。
来日外国人検挙数の増加は事実
FNNは「殺人や強盗などで検挙された来日外国人が、2024年1月から7月までの間に464人にのぼり、2008年以降で最も多かったことがわかりました」と報じている。
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、警察庁の「犯罪統計 資料2024年1~7月分」を確認した。この資料における 来日外国人とは「我が国にいる外国人から定着居住者(永住者等)、在日米軍関係者及び在留資格不明の者を除いた者」を指す。
2024年1〜7月の「来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯」の検挙人数はFNNの報道通り464人とある。2023年の同時期は340人だったことから、来日外国人の検挙数が前年よりも増えているのは事実だ。
重要犯罪、性犯罪は日本人を含めた件数
拡散した言説には「前年比:重要犯罪+2000件以上 性犯罪+5000件以上」とある。
FNNは「殺人や強盗など重要犯罪の認知件数は、全国で8255件にのぼり、前の年の同じ時期より、約2000件増えました」「不同意わいせつなど性犯罪の認知件数も、前の年から5000件以上増えて9969件に上り、詐欺や横領などの知能犯も増え3万5155件に上っています」と報じている。
犯罪統計にはたしかに重要犯罪の認知件数が8255件、性犯罪(風俗犯)の認知件数が9969件とある。しかし、この件数は来日外国人だけの数字を集計したものではなく、日本人も含めた全体の件数だ。
FNNの記事は冒頭に外国人による犯罪件数について書き、後半で日本全体の犯罪について書いているが、引用した「もえるあじあ」は後半部分も外国人による犯罪であるかのように見出しにとっている。
判定
来日外国人の強盗や殺人での検挙数が上がっているのは事実。しかし、「重要犯罪+2000件以上 性犯罪+5000件以上」は来日外国人だけの集計ではなく、日本人も含めた全体の件数だ。よって誤りと判定する。
検証:木山竣策
編集:宮本聖二、古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。検証記事を広げるため、X、Facebook、YouTube、Instagramでのフォロー・拡散をよろしくお願いします。毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンからどうぞ。
また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報について質問すると、AIが関連性の高い過去のJFC記事をお届けします。詳しくはこちらの記事を。