小泉進次郎氏「年金受給は80歳から」? 開始年齢の選択肢を広げる発言【ファクトチェック】
自民党総裁選に立候補している小泉進次郎氏が「年金受給年齢は80歳からでいい」と発言したかのような言説が拡散しましたが、不正確です。現在の制度では、原則65歳受給開始で、60歳から75歳までの繰り上げ・繰り下げが選択できますが、小泉氏の発言は80歳まで選択肢を増やすものです。
検証対象
2024年9月の自民党総裁選に合わせて小泉進次郎氏が「65歳以上は『高齢者』なんてナンセンス』」「年金の受給開始年齢は『80歳でもいいのでは』」などと発言したという言説が拡散した(例1、例2、例3)。多いものは800万超の閲覧がある。
「いいわけねーだろ 親父は73で死んだわ」「国民の半数は一生年金を払って1円も認められないまま死んでいくんですね」と言った批判も広がっており、その多くは小泉氏が年金受給開始年齢を80歳まで遅らせるような発言をしたと受け止めている。
一方で、「進次郎は『年金80歳から』なんて言っていない」「あくまで個人の選択肢を広げるかどうか、という提案」などと拡散した投稿を否定する投稿や引用リポストもある。
この言説をめぐっては、InFactが検証して「不正確」だと判定している。
検証過程
拡散している投稿が引用しているまとめサイトを見ると、小泉氏が「過去の講演やインタビューで「年金の受給開始年齢は『80歳でもいいのでは』と語ったこともある」という記事のリンクがある。日刊ゲンダイがYahoo!ニュースで2024年9月11日に公開している記事だ。
小泉氏の発言は
小泉氏は、過去の年金受給開始年齢に関する発言について、オフィシャルサイトで公開している。2018年10月15日の「国策研究懇談会」での小泉氏の講演の書き起こしだ。
講演のタイトルは「平成のうちにやるべきこと〜人生100年時代の社会保障と国会改革」。年金受給開始年齢に関してこう発言している。
「受給開始年齢は八十歳でもいいのではないかと考えている。六十歳~八十歳までの間であれば、受給開始年齢は自分たちで決められるという考え方である。」
つまり、現在75歳まで繰り下げられる受給開始年齢(講演当時は70歳まで)を80歳まで繰り下げられるように、選択肢を広げようという内容だ。
判定
自民党総裁選に出馬している小泉進次郎氏が、「年金受給開始年齢を80歳でもいい」と発言したという言説は、不正確。小泉氏は、現在の年金受給開始年齢の選択の幅を60歳〜75歳を、60歳から80歳まで広げることを提言しており、開始を80歳まで遅くしようと言っているわけではない。
検証:宮本聖二
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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