コンサルタント
IT本部 第4事業部 マーケッツデジタルテクノロジー部
三本 貴裕Takahiro Mitsumoto
2012年入社
大学ではプログラミングやシステム設計など、情報工学を幅広く学んだ。就職に際しては、その知見を活かすべく、システムインテグレーターをはじめIT系の企業を志望した。また金融業界にも関心があったことから、当社を知る。情報系学部出身だからこそ得られたスキルや専門性が最大限活かせる場に身を置きたいと考えており、採用選考時に当社の面接官から「技術あってこそのエンジニアだ」という考えを聞き、共感したことで、入社を決めた。
入社2年目に取り組んだ流動性
規制案件。
銀行の健全性と
強靭性の向上を図る。
入社2年目に、私が取り組んだのは、グローバルに展開する銀行に向けた自己資本比率や流動性カバレッジ比率等に関する規制(バーゼルⅢ)に対応するためのシステム開発プロジェクトでした。リーマンショック以降、金融機関の抱える流動性リスク*1が注目されるようになりました。そこで世界的な金融危機の再発を防ぎ、金融システムの安定性を確保するため、2013年よりバーゼルⅢが段階的に適用されました。様々な規制が提示されましたが、その一つが流動性リスクに対応するもので、急な資金の引き出し、市場取引における損失、貸し出し先の破綻に備えられるよう銀行に一定比率以上の高品質な流動資産を保有することを求めるものです。私はその比率を表す、流動性カバレッジ比率(LCR)*2と呼ばれる指標算出のためのシステム開発を担当しました。 学生時代、そして入社1年目の研修期間のなかで、システム開発における基礎は習得をしていましたが、最初に高い壁となったのは、金融業界に対する知識不足でした。
*1:予期せぬ資金の流出等により必要な資金確保が困難になる場合や、高い金利で資金調達を余儀なくされ損失を被るリスクのこと。また、市場の混乱等で取引できなくなったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされるリスクも指す。
*2:市場の混乱が1ヶ月続いても資金流出に耐えられる換金性の高い十分な流動資産の保有状況を示す指標。
多くの関係者との協力関係構築。
高いハードルをクリアして
つかんだ、
成長の手応え。
私はLCR算出を行うシステムの仕様を決める工程からプロジェクトに参加しましたが、そもそもLCRとは何なのか、その規制要件や銀行業務への理解から仕事は始まりました。金融業界には独特の規制やルールが多数存在するため、その理解には非常に苦労しました。また、LCR算出に用いるデータは多岐に及ぶことから、関連部署との協力関係が不可欠となります。タイトなスケジュールであったため、プロジェクトを前へ進めるため、日々関係者のもとへ出向きヒアリングや調整を重ねる中で、信頼関係を強めながら、無事にシステムリリースを達成できたことはとても印象に残っています。
入社2年目という若手の段階で、みずほ銀行の健全性や強靭性を高める重要な対応をやり切ったことはとても自信になりましたし、苦労も多くあったものの成長を強く実感できたプロジェクトになりました。
外国為替取引におけるアルゴリズム
取引の急進。
ユーザ目線で最適な
アルゴリズム作成に取り組む。
近年、外国為替取引におけるアルゴリズム取引の活用が増加し、その技術も急速に進展しています。アルゴリズム取引とは、予め定めた条件にしたがってコンピュータープログラム(アルゴリズム)が自動で売買のタイミングを決めて注文を繰り返すものです。
これを用いることによって、ユーザの作業なく、売買の意思決定から取引執行までを自動で瞬時に行うことができます。アルゴリズム取引と聞くと株式市場などでは、高速で小口の売買を繰り返す「HFT*」が有名です。より広義にはそのような高速取引だけではなく、ニーズに応じて、多彩なバリエーションを持たせることが可能です。そのため、ユーザのニーズも様々ですが、そんな時必ず「自分がユーザの立場だったらどんなアルゴリズムが必要だろう」と相手の立場に立って常に考えつつ、業務を行っています。
*High-Frequency Trading 高頻度取引:高頻度・高速に自動売買を行うこと。
執行リスクを最小化する、
優れた「アルゴリズム」の追求。
みずほ銀行のデジタル化を
牽引する。
より優れたアルゴリズムをユーザに提供することを目指し、現在は為替電子取引プラットフォームを刷新するプロジェクトに取り組んでいます。外国為替取引の特徴は、株式市場のように取引所がなく、取引先と相対で行われる点であり、「買い注文」に対して「売り注文」がなければ取引は成立しません。私は統計学や確率論などを駆使して数理モデルを構築し、「売」「買」のタイミングや取引相場等について、取引の最適化や利益の最大化を実現するアルゴリズムを生み出したいと考えています。
今後銀行は、これまで以上にITと密接な関係を持つビジネスに変わっていきます。そうした中、みずほ銀行のデジタル化の先端を支え、牽引していきたいと考えています。そのためにも技術力の向上のみならず、ユーザ業務をより深く理解することにも力を注ぎ、多様な専門性を兼ね備えたマルチに活躍できる人材として立ち位置を確立していきたいと考えています。
1日のスケジュール
7:30
出社(みずほ銀行)。メールチェック。
マーケットの情報収集。8:30
朝会。為替取引のデータ分析とメンバーへの共有。
10:00
開発チームのメンバーと
ミーティング。11:00
電子取引プラットフォームのベンダーからヒアリング。プログラムの確認。
12:00
昼食。
13:00
ユーザと電子取引プラットフォーム刷新チームミーティング。
15:30
数理モデルの検討。プログラム移行に伴うテストを実施。
18:30
翌日のタスクの確認後、退社。
みずほ銀行のデジタル化を牽引する。
みずほ銀行へのコンサルティング業務は、銀行に寄り添って考えることが非常に重要になります。それは、ユーザから提示されるニーズを言われたまま実装することが正解ではなく、みずほ銀行の立場に立って、正しい方向に導くことが必要です。
今後、銀行業務のデジタル化はさらに進んでいくことになりますが、自分がその進展を牽引できるように力を尽くしたいと思っています。
※所属部署は取材当時のものになります。