コンサルタント
サステナビリティコンサルティング第2部 環境リスクチーム
庭野 諒Ryo Niwano
2020年入社
学生時代、再生可能エネルギーに関する環境および社会経済への影響評価に携わったことをきっかけに、政策立案や企業の意思決定につながるコンサルティングの仕事に興味を抱いた。当社が手がけたレポートを読み、科学的な知見をベースとしたコンサルティングに取り組んでいること、サステナビリティ分野において豊富な実績を持つことを知って入社を決めた。
化学物質に起因する社会課題の
解決を目指して、
官民双方へのコンサルティングに取り組む。
私が所属する環境リスクチームは、サステナビリティ分野の中でも化学物質に起因するリスクマネジメントを主なトピックとしています。具体的には、産業活動にて生じる排出物による環境汚染、化学物質の不適切な取り扱いによる火災・爆発、化学物質を取り扱う労働者の健康被害などがあげられますが、こうした社会課題の解決を目指して、行政と企業、その双方に対してのコンサルティングを行っています。
現在、私が主に担当しているテーマは、労働現場における安全・健康、水素やアンモニアの利活用における産業保安などです。官公庁からの受託案件としては、技術開発動向調査や法規制といった制度設計・法執行支援に関わる業務、政策の普及に関わるコンサルティングなどに携わっています。一方、企業に対しては、研究開発の意思決定に関わってくる法規制調査、具体的な法令対応に向けたコンサルティングなどの支援を行っています。
企業の自主的な取り組みを後押しするという、
アプローチを学ぶきっかけとなった2つのプロジェクト。
新人時代に携わった2つのプロジェクトが強く印象に残っています。
1つ目は、企業の産業保安に関する情報開示ガイダンス作成に向けた業務です。近年、社会的なサステナビリティへの関心の高まりとともに、投資家や金融機関などによる適切な企業価値評価を可能にするため、サステナビリティに関わる積極的な情報開示が企業に求められています。このプロジェクトでは、企業が産業保安に関わる情報を開示する際の手引きとなるガイダンスを取りまとめるための調査を行いました。もうひとつは、この産業保安の取り組みを、具体的にどのようにESG投融資と関連づけるのか、モデルケースの検討・試行を行う業務です。
これら2つのプロジェクトは、いずれも官公庁を顧客とした案件でしたが、これまで化学物質のリスクアセスメント分野で中心的手法であった規制により産業保安を確保しようとしたものではなく、企業の自主的な取り組みを後押しする新たな手法を採用していた点で共通しています。化学物質に関わる社会課題の解決に取り組んでいく上で、自分なりのアプローチを確立するきっかけとなった貴重な経験でした。
近い将来、大規模な利用が期待される水素。
日本政府の保安戦略検討に関わるプロジェクトに、自ら手を上げてチャレンジ。
入社3年目には、水素における産業保安戦略検討に関わる官公庁向け調査プロジェクトを担当しました。水素は、地球上に無尽蔵に存在し、エネルギーとして利用する際にCO2を排出しないことなどから、将来の大規模な利用が期待される物質です。その一方で、特徴的な物理化学的性質も有することから、活用時には安全面に関しても考慮する必要があります。こうした最新動向に興味を持ち、チームとして新しい領域でもある水素の安全性というトピックに挑戦してみたいと考え、自ら手をあげて携わることになったのがこのプロジェクトでした。
水素保安戦略の策定に向けて、十数社の企業にヒアリングを行い、海外の文献も調査し、安全に関する技術の動向や現状の規制における課題などを洗い出しました。その後、これが実績となり、企業や業界団体からこのテーマに関わる新たな案件も受注することができました。また、この案件は、私が初めてプロジェクトリーダーとして取り組んだ案件でもあり、プロジェクトチームのマネジメントなど学ぶことも多く、その意味でも新しい成長につながる経験だったと思います。
アカデミックかつ最新の知見が常にストックされている。
それが当社でコンサルティングに
携わる魅力。
当社のコンサルティング業務の魅力としては、アカデミックな知見を土台とした調査・分析・提案に携われることがあげられます。例えばある業務では、作業現場における化学物質の濃度を把握し、適切な化学物質管理を行うためのガイダンスを作成しました。各種論文で示された理論や測定法等を組み合わせることで、専門的な測定機材を使わずとも、各企業で扱える簡単な濃度推定方法を編み出すとともに、ガイダンスの検討にあたっては、学識者や有識者を参集した検討委員会も開催しました。
こうして自分たちが導き出した提案が、政府レベルの政策判断や行政施策に反映されることもやりがいの一つです。また、このような官公庁の案件に関わることで最先端の情報を獲得できるため、知識の切り売りにならず、最新の知見が常にストックされている状態にあることも「当社ならでは」の強みだと感じています。
さらに、先にお話したように、トピックの選択も上司から委ねられるばかりでなく、本人の関心も考慮して決められることも、私たちのチームの特長のように思います。明確な意思を持って自ら手をあげれば、チャレンジングな姿勢を受け止めてくれる環境があるのです。
1日のスケジュール
9:00
出社。メールチェックなど。
10:00
打合せに向けた資料の作成、
チームメンバーとのすり合わせ。12:00
昼食。
13:00
顧客先での打合せ(外部有識者を招いて議論することも)。
15:00
打合せメモ作成、追加の調査などの検討。
17:00
並行して進める別案件の調査・資料作成。
19:00
メールチェック、明日の
スケジュール
確認の後、退社。
コンサルティングという仕事を通じて、
社会課題の解決と企業の成長に貢献していきたい。
日本における化学物質に関するリスクは、主に規制的手法によって管理されてきました。しかし、技術革新のスピードが速く、化学物質の利用用途も多様化する現代では、新たなリスクに対応するため、企業が規制に先立ち対応することが求められています。さらにこうした企業の姿勢は、規制に基づく受け身の対応を脱し、より効率的・高度な安全対策技術の開発などのイノベーションに繋がると考えています。そしてそのことが他社との差別化は勿論のこと、企業の情報開示を通じて社会で高く評価されていくものになると思います。
おそらくこうしたことは、化学物質に限られたことではなく、社会の様々な場面に共通する課題ではないでしょうか。このような状況を変えていくためには、民間の企業が自ら積極的に社会課題の解決に取り組み、そこから新しい技術を創出していくような社会環境が欠かせません。私は、それを産み出す仕組みづくりに、コンサルティングという仕事を通じて携わり、社会課題の解決と企業の成長が相乗できるような社会の実現に貢献していこうと思っています。
※所属部署は取材当時のものになります。