コンサルタント

野原 珠華

サステナビリティコンサルティング第1部 エネルギービジネスチーム

野原 珠華Tamaka Nohara

2018年入社

大学院では環境システム学を専攻し、電力需給予測に関する研究に取り組み、エネルギー分野における環境課題に関心を抱くようになったという。コンサルティング業界を志望したのは、様々なお客さまと一緒に仕事をしながら、幅広い視野で課題解決に取り組めると考えたから。そのシンクタンク・コンサルティング業界の中でも、環境・エネルギー分野において豊富な実績を持つのが当社だった。

排出されるCO2を回収し、
再利用・貯留する。
カーボンニュートラルのための
ソリューション、CCUS。

私が所属するエネルギービジネスチームは、エネルギー分野やインフラ分野などにおけるカーボンニュートラル化に向けて、電力系統や洋上風力発電、太陽光発電、水素・アンモニア、CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)、系統用蓄電池などの幅広いテーマで、官公庁・民間企業の双方に調査やコンサルティングのサービスを提供しています。
日本のCO2排出量において大半を占めているのがエネルギー分野であり、この分野におけるカーボンニュートラル推進が非常に重要となります。しかし、日本はエネルギー調達を海外に依存し、再生エネルギーの活用にも土地が狭く平野部が少ないという地理的な制約があるため、行政も企業もどのようにしてエネルギーのカーボンニュートラル化を進めていけばよいのか悩んでいるというのが現状です。そのソリューションの一つとして注目を集めているのが私の担当しているCCUSで、発電所や工場から排出されるCO2(Carbon)を回収(Capture)し、化学品の製造などに有効活用(Utilization)したり、地下に貯留(Storage)したりする技術です。

日本のCCUSを推進していくために、
コンサルタントとして担うべき役割は?

CCUSでは、回収したCO2の有効活用策として、燃料やプラスチックに変換して利用する方法などが検討されています。また、海底深くの地層にCO2を貯蔵することが想定されていますが、それには、発電所などから排出されるCO2の分離・回収に加え、圧縮・液化、貯蔵、船による輸送、海底への圧入などの技術が必要です。このように、CCUSを実現していくためには、様々な分野の企業の連携が不可欠です。私は、経済的な課題をクリアしつつ、より環境課題の解決に貢献する形でCCUSを導入・普及できるよう、様々な企業を顧客としたコンサルティングを行っています。
CCUSを促進していくためには、それに関わる企業が事業として利益をあげられる環境を整えることも欠かせません。そのためには行政によるサポートが必要となりますが、こうした行政の取り組みを支援するために、当社では官公庁を顧客とした調査やコンサルティングも行っています。官公庁プロジェクトの中で印象に残っているのは、入社1年目に携わった環境配慮型CCUSの社会実装に向けた実証事業で、私はその事務局を任されました。様々な有識者が参加する事業をとりまとめるのは大変でしたが、各方面との調整力やプロジェクトマネジメント、顧客の真のニーズは何かを考える力等、コンサルタントとしての基礎的なスキルを学ぶことができました。

世界の国々の事業者との
ディスカッションを通じて、
環境・エネルギー問題への理解を
深めることができた。

最近担当した案件で印象深かったのは、ある民間企業のお客さまのプロジェクトです。このお客さまはCCUSにも関連した環境技術の開発に取り組んでおり、その社会実装や事業化を見据えて検討を進めたいというニーズがありました。そこでお客さまの検討に伴走する形で、同社の開発した環境技術の評価や関連する先進技術に関わる動向調査、事業化に向けたアクションプランの提案、さらにはアクションの実行までも支援しました。先進技術の動きを探るために、国内ばかりでなく海外にも出張し、実際のCCUSの実施現場に足を運びました。海外の事業者とのディスカッションを通じて環境・エネルギー問題への理解をより深められたことは、私にとって大きな経験となりました。このプロジェクトをきっかけに、近年は海外での調査にも多く携わっており、2023年には気候変動分野に係る最新情報を収集するためにUAEで開催されたCOP28にも参加しています。

各メンバーがそれぞれの専門性を
深めながら、
チームとして社会課題
の解決に取り組んでいく。

シンクタンク・コンサルティング業界というと、アグレッシブな雰囲気の組織をイメージする人もいるかもしれませんが、当社は比較的穏やかな社員が多いように思います。このことは、私が当社への入社を決めた大きな理由でもあります。
穏やかでありながらも自分の専門分野については貪欲な姿勢のメンバーが多いことも当社の特長ではないでしょうか。忙しい業務の合間をぬって外部のシンポジウムやセミナーに参加して勉強するほか、行政や企業のお客さまと議論などしている時でも常に新しい知見を吸収しようという姿勢が感じられます。私自身、日々の業務では、常にもう一歩踏み込んで広く深い知識を得るように意識しています。それぞれの専門性を深めながらも、カーボンニュートラルに向けたエネルギーシステムの在り方について、日々同僚や社外の専門家と知見を共有したり議論したりしながら、各メンバーが惜しみなく協力し合い、チームで社会課題の解決に挑んでいこうと切磋琢磨する風土は、当社ならではの魅力だと感じています。

1日のスケジュール

  • 9:00

    出社。メールチェックなど。

  • 10:00

    新規の提案に向けてチームメンバーと
    ミーティング。

  • 11:00

    お客さまとのWeb会議。
    進捗の報告や検討のためのディスカッションなど。

  • 12:00

    昼食。

  • 13:00

    CCUSに関する政策や市場、技術開発動向などの文献調査や資料作成。

  • 16:00

    チームメンバーと調査や資料作成の進捗確認。

  • 17:00

    受注案件の契約書作成や事務手続き。

  • 18:00

    メールチェック、明日のスケジュールやタスクの確認。

  • 19:00

    退社。

エネルギー供給と環境課題の解決を両立させ、
サステナブルな社会づくりに貢献していきたい。

気候変動をはじめとする環境の課題を解決したい、けれども快適な暮らしのためにはエネルギー供給も大切――。学生時代、こうしたジレンマのような気持ちを抱いたことが、私が環境やエネルギーに関心を持つきっかけでした。現在、私が専門とするCCUSはまさにこのような問題に対応するための技術です。行政と企業の架け橋となるような役割を担い、日本のCCUSの推進に貢献していきたいと考えています。また、エネルギー供給と環境課題の解決を両立させていくためには、CCUSに限らず取り組むべきテーマは数多くあります。これからも目の前のお客さまに対して価値あるソリューションを提供していけるように、一つひとつの案件に丁寧に対応していきたいと思っています。そのためにも、自らの専門性をさらに深めるとともに、めまぐるしく変化する社会の動きに速やかに反応できるように柔軟な対応力を身につけていきたいと考えています。

※所属部署は取材当時のものになります。