京大病院 同性パートナー間で生体腎移植を実施 公表

行政が同性カップルを「結婚に相当する関係」とみなす「パートナーシップ宣誓制度」を行ったパートナーの間で 生体腎移植を実施したことを、京都大学病院が明らかにしました。
病院では、性的少数者であるために移植医療を諦めていた患者にとって、有益な前例となる可能性があるとしています。

京都大学医学部附属病院は、30日、京都市で会見を開き、ことし5月、京都市在住の慢性腎不全の女性が、同性のパートナーから腎臓の提供を受け、移植手術を行ったことを明らかにしました。
病院によりますと、移植を受けた女性は順調に回復し、提供した同性のパートナーも問題なく日常生活が送れているということです。
「パートナーシップ宣誓制度」に基づいて同性のパートナー間での生体腎移植が行われたのは、京都大学病院では初めてだということです。
この制度は、法的に婚姻関係を認めたものとは異なりますが、同性カップルを「結婚に相当する関係」とみなして証明書などを交付する制度で、導入する自治体が増えています。
日本移植学会の倫理指針では、臓器移植は生体から移植する際、臓器の提供者は原則 親族に限定されるとしています。
病院は今回、「パートナーシップ宣誓制度」で宣誓し、4年にわたって同居していることなどから、病院内の倫理委員会と日本移植学会の倫理委員会に申請し、承認を得たということです。
会見した京都大学医学部附属病院泌尿器科の小林恭 教授は「臓器提供者の意思を厳重に確認する必要があったが、性的少数者であるために移植医療を諦めていた患者にとって、有益な前例となる可能性がある」と話しています。

【移植を行った同性カップルは】
今回、移植を行った同性カップルはコメントを発表しました。
「当初は慢性腎不全が進行する中で、血液透析に今後の生活を頼るしか方法がないと思い 心苦しく感じていた折に、何か行動をおこしてみようと決断し、京大病院にパートナーシップ宣誓制度に基づく、非親族間の生体腎移植の相談にのっていただきました。今までの実施例がない間柄の手術にもかかわらず、大学内や、日本移植学会の倫理委員会の承認を得ることに尽力いただき、無事手術を受けることができました。皆様のおかけで経過も良好で感謝しかございません。今回の移植の例を機に、同様の境遇で移植ができないという判断の中で諦めていらっしゃる患者に、希望の光が当たることになればうれしく思います」とコメントしています。

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