この本の一番最初に出てくる「会社員の味」というエッセイが素晴らしすぎて、会社員時代のことを思い出した。
紗季子ちゃんとは別の会社だったけど、同じ業界で働いていた私の一日も、おそらく似たようなものだった。
念願のコピーライターになれたはいいものの、何かを考える仕事というのは、終わりがあって無いようなもので、締切日までは常に「考え続ける」ことが仕事。
机に座って企画やコピーを考えていると、自分が今、考えているのか、考えているフリをしているのか、そもそも考える、とはなんなのか...と思考が迷宮入りし、「企画 考える 方法」などで検索し、どういうルートを辿ったかは不明なまま、気づけばYouTubeでカレーの作り方などを見ていて、「さすがにこれは仕事してない!」とハッとなり、
まだチャットGPTなどが無い時代なので友達に「何かヒントになりそうな言葉を私にかけてくれ!!頼む!!」などの勝手な期待を抱きつつ、脈絡なく「美容に関する悩みとかない〜?」と意図不明の質問を送り、気づけばなぜか話題は恋バナにすり替わっていて「さすがにこれは仕事してない!」とハッとなり...
仕事と仕事じゃない時間が分離不可能な無限自問自答沼に毎晩深夜までハマった後、会社を出れば、真っ暗な夜道で光っている店はマルエツプチとコンビニのみ。
当時の私の家から一番近くのマルエツプチは、入ってすぐのところにお惣菜コーナーがあった。値引きシールがベタベタ貼られた揚げ物やサラダを見ながら、目の前に食べものはたくさんあるのに、食べたいものが無いことにいつも絶望した。かといって家に帰って、口にいれなくても味がわかる作り置きをチンして食べるのも味気なく、そうはいっても材料をわざわざ買って料理をするほどの気力も無く、スーパーの中をぐるぐる周りながら、こんな日々と感情がいつまで続くのかと嫌気がさしていた。
たしかに生きているのに、「生活」の無い人生には生きている実感が無く、
人と会い、会話はしているはずなのに、会社での会話に「私」はいなくて、
これだけ働いた先に何があるのか、働いた先にあるのは本当に私が欲しいものなのか、
この日々は未来から振り返れば修行と呼べるのか、それとも無意味な時間の浪費なのか。
こんな人生なんて嫌だって抗う気持ちと、人生なんてこんなもんだろって諦める気持ち。
あの頃の私は、どこかに行きたいのに、どこに行きたいかわからなかった。そんな自分にずっと苛ついていた。
そして、あの頃一生分食べたマルエツプチの揚げ物を見かけると、いまだに嫌な別れ方をした相手と再会した気持ちになる。(でも買うし、食べるし、食べたら「いいとこもあったわ」ってなるやつ)
...って、全然本の感想じゃないや。
感想は改めて書きます🙏
本当ににいい本だったので、
感想よりも先に「オススメです!」
って書きたかった〜✨(のに自分語りが長くなった)
※会社員生活は嫌いだったけど、会社で出会った人たちのことは好きで、昔話も未来のことも話せる友達がいることが、会社員生活の最高のご褒美だと思っています。Edited ·
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