【福祉の部】経済格差を教育格差にしない! すべての子どもに学ぶ場を キッズドア
社会課題の解決やSDGsで掲げられた目標の達成へ懸命に行動する人たちを支援する「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」(SDGs岩佐賞)の第5回受賞者が9月30日(月)に公表されました。SDGs ACTION!では、受賞者の方たちの活動内容をご紹介します。
活動名:子どもが夢や希望を持てる社会の実現
福祉の部 賞金500万円
「医療の道に進みたいと考えていましたが、塾に通う経済的余裕はなかったので、キッズドアの教室で勉強することができて助かりました。将来は医師になって恩返ししたいです」「今まで経験しなかったような『尊重』をしてもらえているのを感じます」「物価高騰につき、お米の支援は本当にありがたいです。子どもにおなかいっぱい食べさせてあげられます」――。
私たちキッズドアは、日本に暮らすすべての子どもが夢や希望を持てる社会の実現を目指し、教育格差などを解消するための「学習支援・居場所支援」、困窮する子育て家庭を支える「ファミリーサポート」、そして子どもを取り巻く課題を把握し伝える「調査・提言・啓発」という主に三つの活動に取り組んでいます。
大学生や社会人のボランティアが指導にあたる無料学習会は、東京や千葉・埼玉・宮城などで、年間5949回も開催。高校進学者数は238人、大学・短大、専門学校の合格者数はのべ190人にのぼりました(実績はいずれも2023年度)。ほかに、子どもたちが自分の将来を考えるための「キャリア教育」やIT教育などをおこなっています。家や学校に帰属感を持てない中高生に毎日の居場所や食事を提供する「居場所支援」も実施しています。
コロナ禍で経済的に困窮する家庭が急増したため、2020年からは「ファミリーサポート」事業も開始しています。食料やランドセル、文具、衣類といった物資支援のほか、奨学金や給付金などの情報を配信する情報支援、就職・転職を希望する保護者のための就労支援などもおこなっています。現在、支援を受けるために登録している家庭は4000世帯を超えています。
さらに、子どもの貧困の実態を把握するためのアンケート調査を実施し、法律や制度の改善につなげています。同じ志を持つ企業や行政、ほかのNPO団体などとの協働も進めています。
2007年の設立から早17年。ここで学び巣立っていった子どもたちが、大学生や社会人になってボランティアやアルバイトとして関わってくれることも増えました。「支援を受ける側」から「支援をする側」へと成長してくれていることが、私たちの何よりの喜びです。
近年、子どもの貧困問題に関する認知度こそ上がりましたが、子どもを取り巻く環境の格差はむしろ広がっているように感じます。今後は、全国各地の子ども支援団体のサポートにも力を尽くしていきたいと思っています。
受賞コメント
長年にわたる困窮家庭の子どもの支援活動を評価していただき、感謝申し上げます。近年は、他団体・企業・行政など異なるセクターと協力しあうコレクティブインパクトの機会も増え、活動領域も拡大していますが、支援を必要とする子どもたちがまだまだたくさんいるのも事実です。受賞を励みに、今後も頑張ってまいります。
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