鈴木エイトさん「最後のピース埋まるか」 安倍氏と旧統一教会の写真
安倍晋三首相(当時)が2013年参院選直前、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の会長らと自民党本部の総裁応接室で面談し、選挙支援を確認していたとみられることを朝日新聞は写真付きで報じました。面談写真は何を示すのか。教団と自民党の関係を長年調べてきたジャーナリストの鈴木エイトさんは「最後の大きなピースが埋まるかもしれない」と言います。
安倍氏と旧統一教会は親密だと言われてきたが、明確な証拠は安倍氏が21年に教団系のイベントに送ったビデオメッセージしかなかった。それだけに安倍氏自身が総裁応接室で教団会長などと面談していたこの写真の持つ意味は大きい。
私は13年に教団の内部資料を入手した。安倍氏が教団側に、参院選に立候補している北村経夫氏への組織票を直接依頼したことを示しており、記事にしてきた。その伏線が今回の朝日新聞の記事や写真でようやく回収され、長年追ってきた、なかなか埋められなかった最後の大きなピースが埋まるかもしれないと思っている。
家宅捜索で辞任の会長、復職半年で総裁応接室に
当時の時代背景を考えると、この面談の問題性が浮き彫りになる。警視庁が09年6月、不安をあおり印鑑を売りつけたなどとして教団信者の会社社長を特定商取引法違反容疑で逮捕し、関係先として教団の南東京教区本部を家宅捜索。翌7月、教団の徳野英治会長は辞任を表明した。徳野氏は12年12月に会長に復職したが、その半年後に自民党本部の総裁応接室で安倍氏と面談していたことになる。刑事事件で引責辞任した団体トップと党中枢部で会う道義的問題は看過できるものではない。
この面談のころから続く教団と自民党とのつながりがどうなっていったのか。一連の流れを、自民党は党として第三者委員会などを設置して徹底的に調査するべきだ。しかし、勝った石破茂氏を含め、総裁選では旧統一教会問題に言及する候補者は皆無だった。このままでは国民の信頼は得られず、総選挙で審判を受けるだろう。(聞き手・沢伸也)
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- 沢伸也
- 編集委員|調査報道担当
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- 埋もれている社会問題