【「ディアブロIV」βテスト体験記】強くなったことを、あらゆる瞬間に実感できる! アクションRPGの面白さが凝縮されたシリーズ最新作【祝!マスターアップ】
新作アクションRPG「ディアブロIV」のβテストが行われた。いわゆる「ハックアンドスラッシュ」系ゲームのハシリともいえるシリーズの最新作は、少しずつ強くなっていく様を実感でき、プレイヤー側でいろいろと工夫したキャラクター育成ができる、原点回帰とも言える内容になっていた。
「ディアブロIV」は2023年6月6日にBlizzard Entertainmentから発売が予定されているアクションRPGだ。シリーズは26年の歴史を持ち、前作「ディアブロIII」はNintendo Switchでも配信されているので、「ディアブロ」というタイトルを聞いたことのある人も多いだろう。
ディアブロはいわゆるハックアンドスラッシュ(ハクスラ)といわれるゲームのハシリであり、中毒性の高いシリーズとしても知られている。さまざまなスキルを使い、無数の敵をサクサク倒していくテンポのよさ。ランダムで生成されるアイテムを手に入れ、少しずつ強くなっていくコツコツ感。そして、スキル構成を工夫し、同じキャラクターでもまったく異なった戦法をとれる幅広さが面白さの秘密なのだ。
先日、ついにマスターアップの報告があったシリーズ最新作「ディアブロIV」。そのβテストを体験できたので、そのレポートをお届けしよう。
「ディアブロIV」の舞台は剣と魔法の世界「サンクチュアリ」。プレイヤーはサンクチュアリを旅する冒険者となり、この世界を作った悪魔リリスの陰謀を追うことになる。実は世界設定もいろいろと凝っているシリーズだが、ひとまずはモンスターと戦い、自分が強くなる過程を存分に楽しんでいけばいい。
「サンクチュアリ」の世界に、悪魔リリスが再臨した。主人公は生贄にされかけるが、九死に一生を得て生還。リリスを追って旅を続ける
プレイヤーが選べるのは「バーバリアン」「ローグ」「ソーサラー」「ネクロマンサー」「ドルイド」の5クラス。それぞれに特殊なシステムを持っていて個性が強く、まったく違ったゲーム体験ができるのが面白いところだ。
バーバリアンは筋肉ムキムキの蛮族。二刀流、両手剣、両手鈍器と3系列の武器を装備でき、スキルに応じた武器を自動で持ち替えて戦う。とにかく体が丈夫で、多少モンスターに囲まれてもビクともしない。剣、斧、鈍器など武器の系列ごとに熟練度があり、モンスターを倒していくごとに少しずつ強化されていく地道さもある。
ソーサラーは魔術師。炎、稲妻、冷気を飛ばしての遠距離戦を得意とするが、接近戦は少し苦手。冷気を連続して当てると敵が凍りつき、炎なら敵に火がついて継続ダメージを与えるなど、特殊な効果を引き起こすといった特殊効果を発動できるほか、特殊な条件を満たすとスキルが自動発動する「エンチャントメント」を使ってのカスタマイズが面白い。
ローグはいわゆる盗賊系クラスであり、短剣や弓を使った素早い戦いを得意とする。地面に罠を仕掛けたり、武器に毒や氷といった属性を付与するといったからめ手も使ったりすることができ、より頭脳的な戦いを求められる。基本スキルでコンボポイントを溜めるとほかのスキルが強化されるシステムや、特定の敵を倒してゲージをためるとしばらくスキルが使い放題になるシステムなど、特殊なシステムが多い。
ネクロマンサーは死者を操る召喚系クラス。骸骨の戦士や魔術師、そしてゴーレムといった手下による11人でのワラワラバトルを楽しめる。スキルはいずれも血や骨を操るダーク系。地面に転がる敵の死体を地雷のように爆発させたり、死体から触手を生やして敵を引き寄せたりといった死体利用ができるのはネクロマンサーだけだ。特殊システム「死者の書」を使えば、手下を召喚しない代わりにネクロマンサーの戦闘力が上がる。
ドルイドはスピードにすぐれた人狼や、力強い人熊に変身でき、自然の力も操れるという欲張りなクラス。変身して敵陣に突っ込むのもよし、竜巻や稲妻を呼び出して魔法使いのように戦ってもよしと幅広い戦術を採れる。βテストの段階では特殊システムを解放できない状態だったが、モンスターからドロップする「精霊供物」を捧げることで恩恵を得られるシステムのようだ。
「ディアブロ」の魅力のひとつは、並みいるモンスターを次々と倒していく操作性のよさとスキルのカッコよさにあるだろう。各クラスはオープンβテストの段階で20種前後のスキルを使うことができ、直接攻撃するものや罠を設置するもの、敵に追加効果を与えるものなど、それぞれに個性的。地面に罠を仕掛けてから、敵をそこへおびき寄せるように動いたり、敵との距離を調整して攻撃範囲の広いスキルを使うなど、ひと工夫することで、より効率的に戦えるのが面白く、策がうまくいった時は爽快だ。戦闘のテンポが速いうえ、マップ上には無数の敵が徘徊している。敵の群れから群れへと渡り歩いて戦うことになるため、興奮がずっと続くのである。
アクション要素が激しすぎないのもポイントだろう。
装備が整ったバーバリアンでもないかぎり、棒立ちでスキルを垂れ流すような戦い方をしていては苦しいので、囲まれないように動き回って位置取りを工夫する必要がある。ボス戦では相手のモーションを観察し、大技が来る前に攻撃範囲から逃れるような立ち回りを求められるが、「DARK SOULS」や「ELDEN RING」などのアクションRPGのようにシビアなタイミングや見切りを求められるわけではないため、アクションゲームが苦手な人でも安心だ。これらの要素がひとつにまとまると「ああ、いくらでもバトルし続けられそうだ……」という、なんとも不思議な感覚が訪れる。やめ時を見失い、もう一戦、もう一戦とずるずるプレイすることになる感覚は、歴代「ディアブロ」シリーズの伝統を受け継いでいると言える。
こうした中毒性に拍車をかけているのが、ランダムで作られる装備類だ。敵を倒したり、宝箱を開けたりすると装備が手に入るが、ランダムで特殊効果が付与される。同じ剣でも攻撃力が高かったり、振る速度が速かったりと性能はさまざまなため、何か装備がドロップするたびにワクワクさせられる。普通のRPGだと、新しい街にたどり着いた際に新しい装備を購入することが多いが、「ディアブロ」シリーズの場合は、敵や宝箱から手に入れるのがメインだ。何気なく倒した敵から強力なアイテムが出現することがあるため、雑魚との戦いでも目を離せなくなる。あっちの敵を倒して武器を更新し、こっちの敵から手に入れた強力な防具に着替え……といった具合。一般的なRPGにおける、街の武器屋でいろいろ物色する感覚が1回の戦闘ごとに楽しめるというわけだ。
レジェンダリーアイテムには、既存スキルを強化する特殊能力が付与されている
装備の中でも「当たり」に相当するのが「レジェンダリーアイテム」だ。いわゆる高レア、ソーシャルゲームでいうところの★4つとかSSRといった位置づけだが、これがそこらのモンスターから出ることもある。出現時には独特の効果音とともに光の柱が立ち、気分は最高だ。もうこうなると、「ディアブロ」でモンスターを倒す=ソーシャルゲームでガチャを回すようなもの。しかも「ディアブロ」では無料の石をコツコツためたり、ひと月の利用額を気にする必要なく、ただモンスターを倒すだけでいいのだからたまらない。
そして、レジェンダリーアイテムには、既存スキルを強化する特殊能力が備わっている。たとえばローグは、身を隠す「隠密」というスキルを持つが、「日和見主義者の冒険者の手袋」というレジェンダリーアイテムがあれば、「隠密」解除時にスタングレネードを投げて周囲にダメージを与えられるようになる。つまり、レジェンダリーアイテムは出ると大きくゲームを変えるもので、どこでどんな品が出てくるかはランダムなので、バトルがより楽しみになってくるということ。極端な話、同じクラスでもプレイするたびに感覚が違ってくる。
筆者はこれまでにも何度か「ディアブロIV」のテストに参加しており、そのたびにゼロからキャラクターを育てているのだが、出る装備がランダムなため、同じことの繰り返しに嫌気がさすどころか、毎回新鮮な気持ちで楽しめている。これはかなり特殊な刺さり方をした例だとは思うのだが、それくらいにランダム生成のアイテムは面白いということだ。
レジェンダリーアイテムは高レベルのみに許された装備というわけではない。運がよければレベルが低い時も出現する
そして、各スキルが個性的なうえ、カスタマイズするのが面白い。「ディアブロIV」では、レベルアップすると獲得できるスキルポイントを好きなスキルに振ることにより、個性的なキャラクターを育てられる。同じクラスでも、スキルポイントの割り振りによって戦い方が変わってくるうえ、いつでもどこでもスキルポイントを振り直せるのがうれしいところ。
ローグなどはわかりやすい例だろう。ローグには大別して短剣と弓を使うスキルが存在する。短剣は素早い攻撃ができて火力も高いが、ローグ本人がそこまでタフではないため、モンスターに囲まれないうちに離脱するのが重要。弓は安定した遠距離攻撃ができるが、瞬間火力では短剣に及ばない。短剣に特化してヒットアンドアウェイでフィールドを駆け巡ってもいいし、弓で敵との距離を保って戦ってもいい。ダンジョンの途中でいい弓が手に入ったから弓メインに振り直す、なんてこともできてしまう。
特に楽しいのがレジェンダリーアイテムを手に入れた時で、新たなキャラクターを作り直さなくても戦法を試行錯誤できるのがありがたい。スキルの中には特定スキルの特性を変えるものもある。ローグの「釘刺し」は短剣を投げるスキルだが、「釘刺し(本格)」を付ければ短剣3本を同時に投げるので、敵が多い時に有効になるといった具合。特定のスキルにスキルポイントを振りまくって一芸特化にするようなことも可能だ。
懐かしのスキルツリーが復活
スキルには敵を弱体化させるものもあり、これに特化したスキル構築もできる。バーバリアンの一部スキルは「出血」を対象に付与することが可能で、これを食らった者は血を流し続けることでダメージを受け続ける。出血させる「フレイ」に、一定時間出血ダメージが増える「フレイ(闘争)」を付ける。前方を切り払って多数の敵を出血させる「レンド」を取り、「ワールウィンド」に出血能力を付与する「ワールウィンド(激烈)」を付け、敵の出血状態を解除する代わりに大ダメージを与える「ラプチャー」、出血状態の敵の移動速度が下がる「ハムストリング」を……というように出血特化のビルドもでき、フィールドには常時血しぶきが舞い散って爽快だ。この手の特化ビルドはたいてい趣味の領域なのだが、前述の通りいつでもスキルポイントを振り直せるため、気軽にいろいろ試せるのが面白い。
スキルの割り振りはいつでもやり直せる。ダンジョンのボスに負けた後、新たな戦法で再挑戦するようなこともできる
このように「ディアブロIV」には、アクションRPGの面白さがギュッと詰め込まれている。RPGにおいて何が楽しいかというと、キャラクターの強さを実感できた瞬間にほかならない。そして「ディアブロIV」では、ハイテンポなバトル、そこで手に入るランダム生成されたアイテム、レベルアップで手に入るさまざまなスキルと、自由な振り直しによる幅広い戦術……というように、強くなったことを実感できる瞬間がそこかしこに用意されているのだ。
これは「ディアブロ」シリーズの伝統であり、そうした意味で「ディアブロIV」は原点に回帰したタイトルと言える。モンスターを倒すたびに、どんなアイテムが出るか期待が高まり、新たなスキルや戦法を試せるレベルアップが待ち遠しく、βテスト中はずっと「ディアブロIV」のことを考えていたくらいだ。
もちろん、新たな要素も存在している。皆で強大な敵に挑むワールドボス戦などはその最たるもの。今回のβテストでは「悪疫の主 アシャバ」が出現したが、腕をひと振りするだけで何人ものキャラクターが即死するほどの強さを誇る。それでも倒れた者は蘇生し、誰かがバリアを張ればその中に避難させてもらうというように、皆で団結して立ち向えば倒すことができた。もちろんごほうびはレジェンダリーアイテムを含む戦利品の山。「ディアブロ」シリーズの新たな楽しみ方というわけで、連帯感が楽しかった。
キャラクターのビジュアルは濃いリアル風。画面に表示される主人公も小さいし、全体的に暗い雰囲気が漂うなど、洋ゲーに慣れていない人は面食らうことも少なくないだろう。しかし、1回プレイしてみたらその魅力にハマり、ついついプレイ時間が延びていくのが「ディアブロ」シリーズである。RPGが好きな人や、コツコツとプレイしていくのが好きな人なら、きっと「ディアブロIV」も合うはずだ。
製品版のリリースが、ますます楽しみになるβテストであった。
(文/箭本進一)
【パッケージ版情報】
■「ディアブロ IV」
対応機種:PlayStation 5・PlayStation 4
発売日:2023年6月6日(火)
価格:9,800円(税込)
ジャンル:アクションRPG
CERO:Z(18歳以上対象)
プレイ人数:1~4人
オンライン環境:必須
©2022 Blizzard Entertainment, Inc.
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