【インタビュー】「シティコネクションMD」開発秘話──キーマンたちが語る、令和の時代にROMカートリッジのソフトに挑んだ理由とは
「歴史のIF」が、令和の時代にROMカートリッジとして実現した。「シティコネクションMD」は1988年に発売された16ビットゲーム機「メガドライブ(MD)」の実機に差し込んで動作させるROMカートリッジのゲーム。「もしも、ジャレコの『シティコネクション』がメガドライブ(MD)で発売されていたら?」という「歴史のIF」から開発された。
「シティコネクション」は、1985年にアーケード版とファミコン版が発売されたアクションゲームで、美少女「クラリス」が愛車「クラリスカー」を駆り、世界中を爆走。追ってくるパトカーを振り切りつつ、床の全てを塗るとクリアとなる。アーケード版は12ステージで、「クラリスカー」の高等テクニック「ターンジャンプ」の操作性がシビアだった。
いっぽうのファミコン版は「クラリスカー」の操作性がよくなっているが全6ステージ構成、とそれぞれ一長一短だ。
そんな両者のいいところ取りをしたのが「シティコネクションMD」である。12ステージ構成かつ「ターンジャンプ」が出しやすくなっているうえ、発動条件が35年間不明だった幻の隠しフィーチャー6つも実装された、夢の移植版なのである。
製品は当時を思わせるROMカートリッジと説明書、これを収めるケースで構成されており、MD時代を知る人であれば胸が熱くなること間違いなしだ。こうした販売形態も含めて、本作はレトロゲームファンから大きな注目を集めている。
令和の今、なぜカートリッジリアルカートリッジなのか? 幻の隠しフィーチャーはどのようにして見つかったのか? そんな疑問について、「シティコネクション」を始めとするジャレコIPを継承した株式会社シティコネクション代表取締役社長の吉川延宏氏、そしてソフト開発とROMカートリッジの生産を担当するHABIT SOFT代表の天井氏にうかがった。
幻の隠しフィーチャーを探しだし、MD版という「歴史のIF」を実現した
――よろしくお願いします。まず「シティコネクションMD」を開発することになった経緯について聞かせてください。
天井 HABIT SOFTは「燃えろ‼プロ野球ホームラン競争GB」(2022年に発売されたアーケードゲーム「燃えろ‼プロ野球ホームラン競争」移植タイトル。GBカラー専用ソフトとして発売された)の開発を担当し、好評をいただいています。このご縁で「シティコネクション」もGB版で作ろうと考えましたが、GBのスペックではゲームの特徴である背景と手前のキャラクターによる二重スクロールが難しいという結論に達しました。そこでMDならいけるんじゃないか、と吉川社長に提案させていただいたということですね。
吉川 「燃えろ‼プロ野球ホームラン競争GB」の出来はよかったので心配はしていなかったんですが、なにしろウチの社名の由来にもなったゲームですから、ちゃんと理解した人に作ってもらって、しっかり監修したうえでないと出せない。ただ、天井さんは有言実行かつ突破力のある方なんです。別の会話にサラッと「シティコネクションMD」の話を混ぜるなど、いろいろなやり方で許可を取られた感じですね(笑)。
――「シティコネクション」のMD版は、そもそも存在していなかったIFの存在だけに、いろいろと大変だったのではないでしょうか?
吉川 もともとMDで発売されていたタイトルが再度MDで復刻するような、希少性を推した企画であれば、開発の許諾は出していなかったでしょうね。面白くないですし、天井さんにお願いする理由がない。存在していなかったMD版を作るなら、方向性の策定、オリジナルとなるアーケード版からの目コピや耳コピの手間、後でお話しする幻の隠しフィーチャーの扱いなど、かなり大変なことは予想できます。私の監修も、社名を冠したゲームということで、世界一厳しい基準になる。そこに自分からチャレンジすることになるけれど、それでもやるというのであれば、開発をお願いしますというところですね。個人的には天井さんならやるだろうなとは思っていました。
――「シティコネクションMD」の方向性は、どのようにして決まったのでしょう?
吉川 天井さんが出されたコンセプトは「オリジナルのアーケード版を忠実に再現しつつ、プレイスタイルは今っぽく遊びやすいものとする」というものです。今から考えると、これは必要なことだったんだと思えますね。
天井 アーケード版は、ゲームセンターにおける回転率の関係から、ある程度の時間で終わってもらう必要があり、操作性もシビアなものでした。いっぽう、ファミコン版ではそのような縛りがないことから操作性がよくなっており、一般的にはこちらのイメージが強いです。そのため、今「シティコネクション」を出すのであれば、アーケード版の操作性そのままではとまどわれるでしょう。そこで、見た目とステージ数はアーケード版、操作性はファミコン版に近いものとするコンセプトが決まりました。
――なるほど。アーケード版とファミコン版のいいところ取りをしたというわけですね。
天井 MD移植というIFを追求するなら遊びやすさ寄りにしたほうがいいだろう、ということですね。おかげさまで好評をいただいていますので、今のところはこれが正しいバランスだとは思います。オリジナルを求められるのであれば、ハムスターさんの「アーケードアーカイブス」や、任天堂さんの「ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online」といった忠実再現のものを遊んでいただく選択肢もありますし。
――実際にプレイさせていただきましたが、操作性はファミコン版よりアップしているというか、具体的にはハイジャンプ中にレバーを反対側に入れるターンジャンプ(ハイジャンプ中の方向転換)が非常にやりやすいと感じられました。
天井 アーケード版は4方向レバーでしたが、実際には8方向レバーのほうがやりやすいテクニックでした。うまく決まるとゲームの中で一体感が生まれるところが魅力ですが、(アーケード版の入力は)ものすごくシビアだったんです。ターンジャンプを出したいときに出せないというもどかしさを解消し、ゲームとして遊びやすくしたのが「シティコネクションMD」です。このバランスには非常に気を使いましたね。
――見た目はアーケード版を再現していて、難しかったターンジャンプもバンバン出せるから、「リアルタイムで遊んでいた時より、上手になってる」という気分になれました。
天井 「シティコネクション」というゲームを嫌いになって欲しくなかったんです。多くの方はファミコン版をプレイしたことがあり、アーケード版は存在を知っているというくらいでしょう。この状態で後発移植として出すからには、操作感をよくすべきだろうということですね。
吉川 「クラリスカー」の挙動も敵が出るタイミングも変わっていて、遊びやすくなっていたので新鮮でしたね。
――敵が出るタイミングも変えてあるんですね。
吉川 アーケード版の後半ステージは、パトカーも特攻隊のような勢いでこちらにビュンビュン飛んでくるため、客観的に見ても難しすぎると感じられたところがありました。でも「シティコネクションMD」の難度はそこまで上がらないようにアレンジされています。風船(※)で好きに飛び回り、その先のステージで隠しフィーチャーを出すことを楽しむと考えると「シティコネクションMD」のバランスが一番楽しいですね。
※「風船」…ステージ中に出現する風船。3つ集めると、ランダムに他ステージへワープする。
――こうした方向性については、吉川さんと天井さんの間で議論があったのでしょうか?
吉川 天井さんに許諾を出した後、次にコンタクトがあったときにはゲームができていた、という感じでした。僕も他社さんのIPをお借りして開発することが多いのでわかるんですが、普通はチューニングのコンセプトについて事前確認を取ったり、途中経過を報告したりするんです。でも天井さんは一気に作り上げたものを出してきた。NGだったら作り直さないといけないわけですから、「これ、ダメだって言われたらどうするんだろう」と思いましたね(笑)。
――ゲームとしてのコンセプトがブレることのないよう、まずはある程度形にしたものを作らないと……というところはありますが、それでもすごいですね。
天井 中途半端なものは出したくなかったんです。
吉川 天井さんが出したものをフラットな視点で遊んでみたところ、しっかりと遊びやすくなっていたので新鮮でした。「MDでもし『シティコネクション』が出ていたら」というコンセプトにしても、単純にMDの音源でBGMを鳴らして、MDのパレットでグラフィックが描かれているというものになりそうなものです。でも、天井さんの場合は難易度や操作性、家庭用ゲーム機に向けた後発の移植であるというところに対してチャレンジしていることが、実際に触ってみてわかりました。あとは、ステージクリア時に出てくるクラリスのドット絵がかわいらしくなってるよね(笑)。当時のMDで出ていたら、あそこまでかわいくはなかったかも。
――塗りつぶしのパーセンテージ表示については、もとからの構想だったのでしょうか?
天井 早い段階から入れようと考えていました。ファミコン版はブロック単位で塗っていくので、塗り残しがあってもひと目でわかります。でも、アーケード版や「シティコネクションMD」は塗る単位がもっと細かいため、パーセンテージで確認できればわかりやすいだろうということですね。開発中は、自分自身でプレイする際の確認用にも使っていました。また、レトロフリークのような互換機であれば、クッキリしたHDMI出力で塗り残しを確認できますが、画面の小さな携帯系の互換機や、MD実機で遊ばれる方だとビデオ出力で画面ににじみが出るため、確認しにくくなるところがありますから。
――個人的にも、パーセンテージ表示は便利だけれど便利すぎない、バランスのよいフィーチャーだと感じられました。では、開発を進めるうえで注意した部分は?
天井 プログラム解析ではなく目コピなので、どれだけアーケード感や昔の「シティコネクション」感を出せるかという部分には注意しました。音楽に関してもMDはFM音源を搭載していて、よりアーケード版に近い音を出すことができますが、楽譜がないので耳コピからスタートするような感じで、これも困難でした。
――手作業で進めていく移植というのは懐かしいですね。それだけに手間がかかったのではないでしょうか。難航したのはどういった部分でしょう?
天井 開発を始めた当時は、二重スクロールであること、ファミコン版でカットされた6ステージを収録することが大変だろうとは思っていましたが、実際に進めていくともっと大変なところがでてきました。それはステージを構成する場の形です。2面以降からは塗っていく足場の形が数パターンあるんですが、最初はそれを知らずに開発を進めていました。目コピで作ったはいいものの、いざアーケード版と見比べていくと足場の形が全然違うので、これはなぜだと。しかも、2面の形が複数あれば、3面の形も4面の形も複数あるわけで、それぞれが複雑にからみ合っている。吉川社長には「やる」と宣言したものの、これはえらいことを言ってしまったなという後悔がありました。
――プロジェクトを進めたら、思ってもみなかった問題が出てきたわけですね。今回は外部の社長に開発を宣言したから、そう簡単に諦めるわけにはいかないですし。
天井 確かに、開発中は「これ、できないんじゃないの?」という話にはなりました。しかし、いろいろと調べていくうちに、38年間「シティコネクション」をプレイし続けている……個人的に「シティコネクションマスター」と呼んでいるHIRYUさん(※)という方がX(旧Twitter)で動画を上げていることに気付きました。そこでHIRYUさんにコンタクトを取り、監修をお願いしたんです。
※HIRYU氏…HIRYU氏のブログはこちら
――過去のゲームをディープに研究している方がいて、SNSで連絡を取ることができた。現代ならではのできごとですね。
天井 なんといっても、38年間プレイし続けておられる「シティコネクションマスター」ですから、「クラリスカー」やパトカーの挙動など、非常にお詳しいわけです。こうして開発のスピードもアップしたんですが、次なる問題がありました。当時は条件がわかっていなかった、幻の隠しフィーチャーですよ。
――「シティコネクション」には「インド面で、タージマハールの前でオイルを2つ発射するとフィールドが夕暮れになる」など、1ステージにひとつ隠しフィーチャー(裏技)が用意されています。ステージは全部で12あるけれど、当時は6つしか見つかっておらず、全6個が定説とされていました。
天井 残る6ステージについてはHIRYUさんもご存じないし、吉川社長の手元にも資料がない。こうなったら、ネットを使ってご存じの方を探すしかないということであちこち調べましたが、やはり見つからなかったんです。
――もしかすると、本当に隠しフィーチャーは6つかもしれないし、そうではないかもしれない。
天井 途方に暮れていると、「シティコネクション」アーケード版のプログラムを解析し、X68000というパソコン(※)へ個人的に移植されている方が見つかりました。ホームページには「残る6個の隠しフィーチャーを見つけたので、近々アップする」旨が書かれていたんですが、その日付が10年ほど前なんです。
※X68000…1987年にシャープから発売されたパソコン。高いスペックを持ち、アーケードゲームを高い精度で移植することができた。2023年には「X68000Z」という復刻版も発売されるなど、今なお愛され続けている機種である。在野のプログラマーが市販ゲームを個人的に移植する例もあり、こうした作品は「勝手移植」と呼ばれてさまざまな手段で流通した。
――プログラムを解析された情報から隠しフィーチャーが12個であることは確定したけれど、条件がわからないのでは再現のしようもない。
天井 人づてにこの方を捜したんですが、どうにも見つかなかったんです。そうこうしているうちに発売日が迫ってきました。もう現在わかっている6個だけで出すしかない……と、発売日を告知しようということになりかけました。
――さすがに、ご本人が見つからないのではどうしようもないですね。
天井 ここで事態は急展開を見せました。シティコネクションさんが、2023年夏に西武池袋本店で行われた「池袋・豊島・西武沿線 レトロ百貨展」に出展された際、大きなポスターを出したんですが、その方が偶然これを見てくださっていたんです。そして、ホームページで、幻の隠しフィーチャーの情報を公開してくださったんですよ。
――本当のギリギリで間に合ったわけですね。
吉川 隠しフィーチャーは世間的に6個ということになっているので、6個のままでもいいかなとは思っていたんです。でも、条件がわかった以上、再現できないと完全版ではないから、発売を延期して「シティコネクションMD」に入れることにしました。実はこの(インタビュー時に手元にある)サンプル版のROMカートリッジには、隠しフィーチャーが6個しか入っていないんです。
――なるほど。ゲームに関する情報の保存について考えさせられる話ですね。昔のゲームに関する情報はどんどん失われていき、移植しようとしても資料が残っていない。私自身もインタビューでこうした話を聞くことが多いです。達人プレイヤーの腕前やそこから得られる知見、今回の件でいえば「クラリスカー」とパトカーの挙動や操作感といった部分については、改めて資料化しなければ保存のしようがない。ゲームメーカーも会社である以上、利益を生み出さない保存には予算も人も割くことができない。でも、「シティコネクションMD」は事業としての移植であるから保存することができ、また何年後かには今回の知見が役立つかもしれない。また、幻の隠しフィーチャーは38年間プレイされてきたHIRYU氏でも見つけることができず、プログラマーがお遊びで入れた「見つかることを想定していなかったもの」という可能性も捨てきれない。ただ「シティコネクションMD」については解析という形で謎を解くことはでき、隠しフィーチャーの条件を後世に残すことはできた。本作のプレイはもちろんのこと、アーケード版を新たに遊び直す人も出てくるだろうし、ここから研究が進む可能性がある。……そう考えると、「シティコネクションMD」は難題を乗り越えたうえでのリリースであったし、意義のあるものであると感じられます。
吉川 すでに見つかった隠しフィーチャーは、アメリカの「隠しキャラが出る」、インドの「ステージが夕方になる」といったわかりやすい変化をともなうものでしたが、幻の隠しフィーチャーは明らかに性質が違うんですよ。
天井 想像も付かないような条件でしたね。たとえばオランダ面では「オイル缶を投げるボタンを253フレーム(※)以上押したままにすると、ネコに当たってもはね飛ばせる」という感じですし。
※フレーム…ゲーム内で扱われる時間の最小単位で、1フレームは1/60秒。例にあがった隠しフィーチャーは253フレーム=4.21秒ボタンを押し続けなければならない。オイル缶には限りがあるため、投げるボタンは一瞬しか押さない。4秒間も押し続けるというのは、まずやらない操作である。
吉川 偶然気付いた人がいるにしても、バグや勘違いだと思っていたかもしれませんね。アーケード版の開発者の方にお会いしたことはないんですが、隠しフィーチャーという意識ではなかったのかも。公式には6つ、残りの6つは誰にも知られないよう、こっそり仕込んだものであるかもしれない。
――これは38年間見つからなくても仕方ない、という感じですね。収録の許可は取られたのでしょうか?
天井 もちろんです。ありがたいことに快諾していただけました。その方も「シティコネクションMD」の存在を知って情報を公開してくださったそうで、喜んでおられましたのが印象的でした。すぐに吉川社長に「見つかりました!」って連絡を取りましたね。
■ユーザーの思いを汲み取り、ROMカートリッジや説明書という実体を届ける
――「シティコネクションMD」では、実機で動かせる懐かしいROMカートリッジを作り、当時を思わせるプラケースに紙の説明書を入れる販売形態も話題になりました。ROMカートリッジが現役であった時代ならともかく、今どこで生産してくれるのでしょう? やはり海外ですか?
吉川 確かに、他社さんだと海外に製造を依頼するところですね。でも、天井さんはご自身でROMカートリッジを生産されているんです。
天井 ROMを1個1個焼いていき(※)、動作チェックも行うのはもちろん、ステッカーをROMカートリッジに貼り付けたり、印刷されてきた説明書を冊子に製本したりといった作業を、全て自分自身が手作業で行っていますから大変ですね(笑)。
※ROMを焼く…ROM(読み出し専用メモリー)の中に、プログラムを書き込むこと。
――文字通りの「手作り」ですね。
天井 僕がやっているHABIT SOFTは基本的にインディーです。だから自分がちゃんと手で作って最後まで見届けたいし、愛を感じてほしいんですよ。メーカーではないので手作業ですし、クレームもあるんですが、いろいろなところを想定したうえでやらせていただいているので、不良率はだいぶ低いというか、ゼロに近いですね。
――隅々までご自身がチェックされているからこそ、品質の高さが保てる。
天井 購入される方も思いがあって買われるわけです。自分もゲームが好きなので、こうした思いはわかります。だからインディーとして買われる方の目線に立ちたいんですよ。たとえば「燃えろ‼プロ野球ホームラン競争GB」では、当時のGBと同じように紙箱を用意して、これを潰れないように発送しています。それでもダメだった場合は、新たに組み立て前の紙箱だけを送らせていただいたりもしています。
――ROMカートリッジのガワ、中身になる基板やチップ、パッケージとジャケット、製本前の説明書……材料の管理だけでも大変ですね。
天井 そこはお察しの通りですね。「シティコネクションMD」の場合だと、MDのプラパッケージが必要なので、ものすごく場所を取ります(笑)。
吉川 自社生産をこの規模でやっておられるところはなかなかないんじゃないかと思います。HABIT SOFTさんの活動も長いですし、オリジナルソフトに加えて、他社さんからの依頼もあるわけで、正直、どうやってるんだろうというのはあります(笑)。
天井 納期やいろいろな約束って絶対的なもので、信頼を裏切っちゃいけないから、そこだけは筋を通したいです。
――「シティコネクションMD」の発売後はプレイヤーから反響があったと思いますが、印象に残っているものはありますか?
天井 ジャレコさんのゲームをMDに出せたことについて「ありがとう」というお声を多くいただきました。また、日本に住んでおられる海外の方が結構買われており、申し込まれる際のメールに「買ったものを海外の友達に送るんだ」と書かれていることもありました。
吉川 リアルカートリッジは、日本以外でも流行していますから。
天井 子どもの頃に百貨店やファミコンショップで箱や裏面を見てワクワクし、家に帰って紙の説明書を取り出した思い出があるわけです。こうしたところを思い出すのに、物理的な箱や説明書があるということはすごく強いんだと思います。だからHABIT SOFTとしては、ROMカートリッジの中身だけでなく、ガワの部分からちゃんとこだわらないといけない。全てが揃ってこそのこだわりじゃないかとも思うんです。
――確かに、当時の思い出は箱や説明書といった物理的な実体と強く結びついている感があります。電気屋街でソフトを買って、帰りの電車で箱を開けて説明書を読みふけったり、衣装箱にソフトを収納したりといろいろな思い出が浮かびますし。
天井 ダウンロード販売がメインとなりつつある昨今、物理的な実体にこだわるのは時代に逆らっているのかもしれませんが、HABIT SOFTとしてはそうした部分を大切にしたいですね。
――購入者の年齢はどれくらいがボリュームゾーンなのでしょう?
天井 私が全国で主催するレトロゲームイベントでは40代の方がメインですね。最近は20代のレトロゲーム好きも増えていて、自分たちの世代にないものとして新鮮に感じているようです。そうした若い世代のゲーム好きたちはレトロゲームのコミュニティでも歓迎されていますし、プレイヤーとしても腕を上げているのでビックリします。
――リアルイベントの客層には、地域性が出たりするのでしょうか?
天井 イベント参加者の人数は関東圏が多いです。若い方が多く参加されるのは岡山県ですね。また、北海道の方はイベント終了後に通販を利用されることが多く、逆に名古屋は現金でモノを購入される傾向にあります。鹿児島はイベント開始後30分ほど経ったら売れ始め、大阪は購入より試遊中心で閉場間際に井戸端会議を始められる……といった感じですね。
――地域によって傾向が変わってくるのが面白いですね。
吉川 2024年3月30日にも名古屋のフジコミュニティセンターで「ゲームレガシーVol.3」(※)というイベントが予定されています。弊社も協賛&出展しますし、出展者も募集中なので、ご興味のある方はぜひチェックしてみて下さい。
※「ゲームレガシーVol.3」…2024年3月30日(土)、名古屋で開催予定のレトロゲーム同人即売会&展示会。詳細はこちらから!
天井 今後も開催を重ねていき、名古屋の常連的なイベントにしていきたいと思います。
――シティコネクションとHABIT SOFTのタッグは今後も続くのでしょうか?
吉川 「シティコネクションMD」はウチだけではできない企画でしたし、開発をHABIT SOFTさんに任せてよかったと思えるような、好評のお声をたくさんいただいています。また、SNSや配信でお話ししている通り、ジャレコさんがメガドライブ参入のために作っていた「THE FREEDOM STAR(P-47II)」が残っており、ROMカートリッジとして発売するなどの企画があります。また、別の企画も動いていますのでご期待ください。
――幻のMD参入ソフトが、時代を経てROMカートリッジになるわけですね。
吉川 「THE FREEDOM STAR(P-47II)」は、アーケード版「P-47」を実際にメガドライブへ移植したもので、諸事情で発売されることなく幻のゲームとなっていました。「シティコネクションMD」がIFの存在であるのに対し、こちらは当時そのままのものをお出しするといった違いがあります。
――「シティコネクションMD」をプレイしようと思う初心者に向けて、アドバイスなどはありますか?
天井 今はレトロフリークのような互換機があるので、遊ぶハードルは下がっていますね。興味がある方はMDの実機を買って楽しまれるのもいいかもしれません。レトロゲームの雰囲気がわかってくると、当時のゲーム機が1台、2台……と増えていきますよ(笑)。
――では最後に、読者へメッセージをお願いできますか?
天井 HABIT SOFTの名前を覚えてください!ということですね。古代祐三さん(※)のような有名な方がリアルカートリッジ界隈に関わられるなど動きも大きく、有名な方に関わっていただけるのは感謝しかないですね。
※古代祐三氏…1980年代からゲーム音楽に関わる、レジェンド作曲家。MD用新作「アーシオン」の開発を進めている。
吉川 HABIT SOFTさんとウチでは領域が違っていて、年に2度ほどクロスする場面があります。その時はがっつりと一緒にやって、またお互いのフィールドへ戻って走り続けていくというイメージですね。今のリアルカートリッジ界隈というのはひと昔前までは考えられなかった文化です。今後もすごいタイトルを出せたらいいなと思うので、よろしくお願いします。
――ありがとうございました。
(文/箭本進一)
【ゲーム情報】
■シティコネクションMD
・発売中
・価格:8,800円(税込)
・メーカー:HABITSOFT
・対応機種:MD
・プレイ人数:1人
・ジャンル:アクションゲーム
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