「Wo Long: Fallen Dynasty Complete Edition」最速レビュー! 熟成した「三国志死にゲー」をお得に楽しむチャンス

2024年02月07日 18:000

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「Wo Long: Fallen Dynasty Complete Edition」が2024年2月7日に発売された。

本作は、昨年3月にリリースされたゲーム本編に加え、有料DLC3本と「NARAKA: BLADEPOINT」「Lies of P」「仁王2」コラボを収録。1年を経て熟成した「Wo Long: Fallen Dynasty」をお得に楽しむチャンスと言える。

 

  

「Wo Long: Fallen Dynasty」は、アクションゲームに定評のあるTeam NINJAが開発したダークファンタジー系の高難度アクションRPG、いわゆる「死にゲー」だ。

舞台となるのは「三国志」初期。プレイヤーは義勇兵のひとりとなり、劉備、関羽、張飛、趙雲、孫堅、曹操といった、きら星のような名将たちとともに戦い、友情を深めていく。Team NINJAらしいスピーディーなアクションと、どこの国にも属さないがゆえにどの国の武将とも一緒に戦えるオイシイ設定が合わさった、歴史好きの夢をかなえるような内容だ。

  

  

本作では、黄巾党をはじめとした人間や不気味な妖魔を敵に回し、激しい戦いを繰り広げていく。マップのあちこちには敵が潜み、待ち伏せしたり、こちらを追い回したりしてくる。落ちているアイテムを拾いに行ったら「待ってました!」とばかりに敵が襲いかかってきたり、足元の橋が崩れたり、敵から逃げた先で複数の新手に囲まれたり……と絶妙なトラップの配置に職人芸を感じる。

主人公は「軽功」(2段ジャンプ)ができ、マップも立体的に広がっている。建物の屋根を飛び渡って眼下の敵を急襲したり、強敵を避けて進むようなプレイも可能だし、探索も面白い。

敵味方にはそれぞれ士気があり、士気が高いほど能力に補正がかかって強くなる。士気に差がある敵に挑むのは危険だが、倒すことができればその分ドロップもおいしくなるため、安定を取るか、勝利に賭けるかの判断がスリリングだ。

  

  

バトルにおいては直刀や双戟(そうげき)、大槌といった近接武器をメインに、仙術や武技(魔法や武器のスキルのようなもの)、飛び道具もからんで緊迫した戦いを楽しめる。敵は強いうえに数も多く、雑魚であっても当たり前にガード不能の秘技を使うため、正面から猪突猛進したのでは勝つのも難しい。

そこでキーになるのが氣勢(きせい)と化勁(かけい)という、本作独特のシステムである。これを理解すると、流れるような動きで反撃を決める中国武術のような動きと、ひとつの戦いの中に窮地と逆転がある密度の高いバトルを楽しめるのだ。

氣勢は仙術や武技を使うのに必要なリソースである。こうしたリソースは、大抵のゲームにおいて“満タンからスタートし、スキルを使うと減り、武器攻撃とは切り離されている”存在だ。しかし、本作では“ゼロからスタートし、武器で攻撃したり化勁を決めると増え、武技や仙術を使ったり、攻撃を受けたり、ガードすると減る”という特殊な性質を持つ。つまり、守勢に回ると氣勢が失われてじり貧に陥るが、武器でアグレッシブに戦えば氣勢もアップして仙術や武技もどんどん使えるようになるということ。氣勢はゼロからプラスにもマイナスにも振れ幅があるのがポイントで、氣勢がマイナスになるのを覚悟で仙術を使い、逆転を計るような大ばくちを打てるのがスリリングだ。

  

  

氣勢に深くからむのが化勁で、こちらは相手の攻撃を受け流す特殊な防御。人間が使う武器はもちろんのこと、妖魔の爪や牙、敵が使う仙術、果ては坂の上から転がってくる大木まで、さまざまな攻撃に有効だ。

化勁を成功させれば、受け流した攻撃を無効化したうえに氣勢もアップし、反撃のチャンスが訪れる。相手の攻撃はパターンが決まっているため、動きを観察することが化勁への近道。巨大な妖魔の連続攻撃にバシバシと化勁を決められれば、とても爽快だ。

攻撃や化勁の成功、そして被弾によって氣勢は頻繁に上下を繰り返す。調子よく攻めていても、一瞬の油断が命取りとなってしまう。しかし、敵の攻撃で追い込まれる中であっても、狙い澄ました化勁を成功させれば一瞬にして優位に立てるのだからたまらない。理想像は、激しく攻め込みつつも、相手の動きを冷静に観察し、相手が反撃しても化勁で受け流してさらに攻撃をかけること。つまりはカンフー映画の達人を思わせる戦いが可能というわけで、中国題材のゲームならではのプレイ感なのだ。

そして、敵にも氣勢が存在していることが、バトルをより奥深くしている。こちらと敵の氣勢はシーソーのような関係にあり、こちらが攻撃を当てれば、こちらの氣勢が上がると同時に敵の氣勢は下がる。逆もまた然りだ。そして、連続で攻撃し、敵の氣勢をマイナスに振り切らせれば、敵は無防備な氣勢挫かれ状態となる。氣勢挫かれ状態の敵には、こちらの必殺攻撃である絶脈が使用可能となり、大ダメージを与えられるのだ。敵の氣勢を下げるには、敵の攻撃を化勁で受け流すだけでなく、自分の氣勢を消費して放つ、氣勢攻撃が有効。氣勢攻撃は、敵の氣勢の上限と下限を大きく削ることができ、結果として敵は氣勢挫かれ状態に陥りやすくなるのだ。

敵の動きを見るだけでなく、激しく上下する自分と敵の氣勢を管理しつつ、チャンスをとらえて化勁や氣勢攻撃で削っていき、追い込まれるようなら一発逆転を狙っていく。本作のバトルはこのように反射神経と頭脳をフル回転しなくてはいけないため、密度が非情に高いのだ。

 

 

こうした本作のバトルの魅力を存分に味わえるのがボス戦である。

武器から仙術まで多彩な攻撃パターンを持つうえに、それぞれ威力が大きかったり、範囲が広かったりするのだから厄介だ。なかでも恐ろしいのが秘技。ガードできないうえに食らった際のダメージも甚大、使用頻度も低くないため、前兆の真っ赤な光を見ただけで身がすくんでしまう。

最初のうちは完封されることも珍しくないが、何度も死につつ繰り返し戦うことで「この技には化勁を決められるんじゃないか?」「あの技は回り込めばいいんじゃないか?」と少しずつ光が差してくる。雑魚との戦いよりも氣勢削りが重要で、時には無理してでも氣勢攻撃を狙うような中期的な視点も求められる。

また、お互いの仙術には五行(ごぎょう:中国における考え方で、万物は火・水・木・金・土で構成されるとする)に基づく属性の相性が存在。敵の仙術に相剋(そうこく)する属性の仙術を当てれば無効化できるので、事前にどの仙術を選んでおくかも重要となる。

このように、ボス戦には本作のエッセンスが詰まっている。初めての戦いで苦戦したボスも、回を重ねるほどに圧倒できるようになっていく。そして、ドロップする武器や防具にはランダムで能力が付与されているため、何度でも繰り返し戦いたくなってくるのだ。

 

 

本作のシステム、特に氣勢周りにはクセがあり、初めて遊ぶ人はとまどうこともあるかもしれない。しかし、これを理解できれば、そのスリルと奥深さに魅せられることだろう。“戦いの中で増減するリソースがあり、敵の上限を削る技を使って有利に立ち回る”“敵が使ってくるガード不能の大技に特殊な対処を行うことで逆転のチャンスが訪れる”というバトルシステムは、同じTeam NINJAがかつて開発した「仁王2」における気力と妖力、特技に原点がある。「仁王2」では気力と妖力の2種類が存在していたリソースを「Wo Long: Fallen Dynasty」では氣勢のひとつに統合。大技への対処も、特技という専用システムでタイミングも3種存在したものが、化勁として通常技にも使える防御行動としてタイミングも統一する……と、システムをわかりやすくする進歩が行われているのが興味深い。

 

そして、Team NINJAのアクションRPGは、発売から時間が経つほどに熟成していくのが恒例だが、「Wo Long: Fallen Dynasty」もその例に漏れず、さまざまな改良が施された。

「Wo Long: Fallen Dynasty Complete Edition」ではそうした恩恵をすべて受けられるのに加え、連続攻撃が爽快な手甲、タメつつ攻撃を受け流せる長剣、氣勢を消費して攻撃する特殊モードで戦う長鞭といった新武器、「Lies of P」のサーベル(曲刀)を始めとしたコラボ装備もすぐに使えるようになっている。

DLC第1弾「中原の争覇」では曹操の勢力をフィーチャー。彼に仕えた典韋(てんい)や許褚(きょちょ)も登場し、新ステージ「宛城(えんじょう)」「尼山(にさん)」や禍斗(かと)に氷蚕(ひょうさん)といった妖魔など、新たな危険に立ち向かう。前述した手甲、「NARAKA: BLADEPOINT」とのコラボ装備はここでの実装だ。

DLC第2弾「江東の小覇王」は、孫策ら呉がテーマになり、甘寧(かんねい)や太史慈(たいしじ)といった名将たちとも戦える。パワフルな長剣に加え、レベル上限も上がった高難度モード「天龍の道」、ランダム生成される戦場とルートを踏破する「魔境千里行」も実装され、やり込みがいも十分。「Lies of P」とのコラボもこの頃で、同作のプレイヤーには嬉しい「人形のサーベル」と「エチケット」が入手できた。

DLC第3弾となる「荊州(けいしゅう)の風雲」は、劉備たちの物語がより深く描かれる。劉備の妻・糜(び)氏も登場し、三国志ファンならたまらないはず。攻撃範囲が広い長鞭はここでの実装だ。面白いのは、新たな装備品である機略。「仙術が使えないが、武技のダメージが増加する」などメリットとデメリットをあわせ持ち、さまざまな特殊効果も付与されるため、これを狙ってのトレハンがさらに楽しい。最高難易度「龍王の道」、限界を越えて能力を上げられる「大成者補正」など、さらにディープな世界が開かれる。

さらに「仁王2」とのコラボも行われ、ボスの馬頭鬼(めづき)と戦える。同作ではトレハンから練習までなじみの深いボスだけに、かつてプレイした“秀の字”なら懐かしいはずだ。このように、ディープなシステムと挑戦しがいのある難易度を兼ね備えた本作は、コアなアクションゲームファンであればきっと満足できることだろう。

 

 
(文/箭本進一)

【タイトル情報】

■「Wo Long: Fallen Dynasty Complete Edition」

(ウォーロン フォールン ダイナスティ コンプリートエディション)

ジャンル:ダーク三國アクションRPG

メーカー:コーエーテクモゲームス

対応機種:PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Xbox Game Pass/Steam/Microsoft Store

発売日:2024年2月7日

価格:ダウンロード版 各7,480円(税込)

CERO:D(17歳以上対象)

  

©コーエーテクモゲームス All rights reserved.

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