【独自】「デモ参加に1万円」“サクラ募集”に数千人が殺到 報酬受け取った参加者も…若者に広まった情報はデマか本当か
「バイト代1万円」SNSで拡散
その後も取材は難航したが、数人から話を聞くことができた。 千葉県から来た男子高校生は、友人がインスタグラムで投稿しているのを見て、今回のイベントを知ったという。投稿には、デモの日時と「バイト代1万円」「1時間半の活動で割の良いバイトだと思って下さい」「若者の力が必要です」などと記されていた。友人に連絡すると、LINEのグループチャットに招待された。報酬の支払い方法は当日に手渡しと聞いていたが、結局受け取ることはできなかったという。 同様の投稿が、かつての「チェーンメール」のように友人間で広まっており、XなどのSNSでも拡散されていた。「デマにだまされてしまって、交通費分だけ損をしてしまって悔しい」と語った。 一方、報酬を受け取ったと明かす参加者もいた。 新宿・歌舞伎町で接客業をしている20代男性はデモの約3日前、風俗店などのスカウトをしている知人から話を持ちかけられたという。「誰かを連れてきたら2万円が出て、そのうち1万円をもらえる」と説明された。 当日、男性は有明駅に来るよう指示され、同じくスカウトから招待されたと思しき約30人と集合写真を撮った。公園に案内され、芝生でスマホをいじるなどして過ごした。約2時間後に呼び付けられ、写真を再び撮影された。その後、集合時に撮影した写真と照合された上で、1万円札を手渡しで受け取ったという。誰が動員をかけたのかは聞いておらず、デモの趣旨については「興味がない」と語った。 他にも記者は、会場にいた数人から、同様に報酬を受け取ったという証言を得た。中には都内の暴力団の名前を挙げ、組関係者から「『できる限り動員をかけてくれ』と依頼された」と話す男性もいた。
「全くの事実無根」主催者側は否定
今回の大規模な「サクラ」の募集を、主催者側はどのように捉えているのか。 主催者側によると、デモの2~3日前からSNS上ではデモ参加に報酬が出るという投稿が拡散され始めた。ホームページ上でそうした情報を否定したが、当日、想定以上の参加者が訪れ、対応に追われたという。「全くの事実無根。我々の支援者が勝手に集めた可能性はあるが、イベント運営への差し障りもあって困惑している。場合によっては警察への被害届も検討している」と話した。 主催者側が関与を否定したサクラ。一体、誰が動員をかけ、配布された1万円の原資は何なのか。この日、有明駅周辺では終電間際にも「報酬を受け取れていない」などと語る参加者らが路上に座り込んでいた。周辺には、大量の吸い殻や空き缶などのゴミが散らばったままだった。 (フジテレビ社会部 松岡 紳顕)
松岡 紳顕