NHKに「重大放送倫理違反」 五輪番組の不適切字幕でBPO「半ば捏造的に放送」

NHK放送センター外観=東京都渋谷区
NHK放送センター外観=東京都渋谷区

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は9日、NHKのBS番組「河瀬直美が見つめた東京五輪」が事実に基づかない不適切な字幕を放送した問題で、「重大な放送倫理違反がある」と認定する意見書を公表した。

番組は、東京五輪公式記録映画の監督を務めた河瀬直美さんら制作チームに密着して制作し、昨年12月に放映。匿名の男性に話を聞く場面で、映像に「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」という字幕が流れた。しかし、男性がデモに参加したかどうかについて確認できないまま放送に至っていた。

意見書によると、番組の制作ディレクターは昨年8月、公式映画制作チームのスタッフである映画監督とともに男性を取材。男性は原爆や原発の反対デモの参加経験を語ったものの、五輪反対デモには行かないと否定した。

取材後にディレクターが、男性に五輪反対デモに行く予定を尋ねたところ、男性は可能性に言及したという。しかし、そのやり取りは録音や録画、メモにも記録されておらず、ディレクターはその後、男性のデモ参加の有無を確認することもなかった。

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