書いていくことにする。

 

なんつーかこう、『終わりと始まりのマイルス』の愛蔵版が発売されるらしい。

 

 

(同上)

 

…この投稿を引用した時点で、僕が把握しているマイルスについて新たに明らかになった情報は全てになる。

 

ただまぁそれだけでは寂しいので、少し細かい話を書き足すことで記事の中の文字数を増やすことによって、お茶を濁していきたいと思う。

 

まず、先々月書いた『完全版 殻都市の夢』の発売についての記事(参考)で、鬼頭先生が何等か描き下ろし漫画を描いているという話をした。

 

 

この話について、僕の方で色々、マイルスが一番可能性が高そうだけれど他の可能性についても言及していて、ただ結局の所はやはりマイルスの話であったらしい。

 

そもそも、先に『殻都市の夢』の完全版の発売があってそれに関連して鬼頭先生は先の投稿をしているわけで、そうとするとこれらの話は一つのまとまった案件であった様子がある。

 

どういうことかと言うと、『殻都市の夢』にしても『終わりと始まりのマイルス』にしても、『マンガエロティクスF』という雑誌に掲載されたもので、この雑誌は太田出版の出していた出版物になって、けれども、『完全版 殻都市の夢』は小学館から発売されている。

 

考えるに、太田出版から『殻都市の夢』の権利を買い取ったり譲渡という形で受け取ったりで小学館が獲得していて、その獲得した権利を元に、『完全版 殻都市の夢』が発売されるという流れであって、その時に『終わりと始まりのマイルス』の権利も同時に獲得していて、それが故に今度また、小学館から愛蔵版の『終わりと始まりのマイルス』が出るという話なのだろうと僕は思う。

 

結局、鬼頭先生はマイルスの描き下ろし漫画について「別作品だけど関係してるようなしてなさそうな」と形容していて、これは同じ雑誌で同じように連載していて、それが故に関係はあるけれど、そうと言えども別作品でしかないからこのような言い方になったのだと思う。

 

そういう風に諸々の権利が小学館にあるから、今月開催される『完全版 殻都市の夢』の関連イベントでも、同じく小学館から出た『ぼくらの』のグッズが発売される様子がある。

 

 

(同上)

 

当然、小学館が主導の話であって、小学館が権利を持っているような作品しかグッズを作れる筈もなくて、ここに講談社の『なるたる』のグッズはない。

 

その話は鬼頭先生自身がしている。

 

 

これについては…X上で『なるたる』グッズを出せよ分かってないなと投稿した人が居て、鬼頭先生がそれを読んだ結果としての投稿らしい。

 

 

鬼頭先生のアカウントや『ぼくらの』とかの担当編集者さんの告知用のアカウントには特にリプライや引用ツイートで『なるたる』の話をしている人は居なくて、X上で今回の件に関連して『なるたる』の話をしているのは先の人だけだったので、鬼頭先生が読んだのはその投稿らしい。

 

結局の所、『殻都市の夢』の関連イベントなのに『ぼくらの』グッズがあるのは、小学館が権利を持っている作品群だからという理由らしい。

 

だから、こういうイベントで今後『なるたる』グッズが発売されるというような場合は、講談社主催で何らかイベントを企画して、例えば『のりりん』や『なにかもちがってますか』という講談社から出ている作品のリバイバルがあってその関連イベントが開催されたというのなら、その時は『なるたる』のグッズが出来る可能性があるという話にはなる。

 

ただ結局、『ぼくらの』関係でグッズが先のような形で出ているのは、小学館の鬼頭先生の担当の編集者の人が、そういう企画を主導的に進めているからなのであって、講談社にそういう意思を持った人が居なければ『なるたる』グッズが発売されるということはないわけで、その辺りはまぁ、期待しても無駄だろうと僕は思う。

 

新装版の『なるたる』を作った時の講談社の編集者の人がそういう企画をするような人だったら話は違うのだけれど…。

 

そもそも『ぼくらの』の完全版ではイベントがあって、『なるたる』の新装版ではなかったのであって、そういう"気風"自体が講談社の鬼頭先生作品からは汲み取れない。

 

もしくは『なるたる』の権利が小学館に移ったならば、今回のような形で『なるたる』グッズが発売されるという可能性はある。

 

ただけれども、講談社が現状、『なるたる』の権利を手放すということはないと思う。

 

太田出版で出ていた『殻都市の夢』などについては、軽く調べたところ過去に印刷した単行本があるだけで、現在この漫画を刷っているという様子はないし、他の形でも販売しているという様子はない。

 

だから、太田出版が権利を持ち続けても持ち腐れで、けれども小学館に権利が移った時に、小学館にその気があれば新たに売れるわけで、実際、『完全版 殻都市の夢』の発売という形になっている。

 

一方で、『なるたる』に関しては今現在でもマガジンポケットなどで商品として扱われていて、様子を見ると普通に売れているらしいということが分かる。

 

 

太田出版にとって『殻都市の夢』やマイルスなどは持っていても価値がない権利だったかもしれないけれども、講談社とっては『なるたる』は価値がある商品なのであって、講談社が『なるたる』の権利を手放す理由が存在していない。

 

結構Xを見ていると未だに『なるたる』を新たに買っている人がチラホラと見れて、そうだというのに講談社が権利を手放したらもう売れないわけで、そのようなことをする動機が講談社の側にない。

 

だから、マイルス発売の時に公式がどんなムーブをするかは分からないけれど、その時に『なるたる』グッズが出ることはないというのは確かだろうと思う。

 

最後に、『終わりと始まりのマイルス』に関しては現在単行本が一冊だけ出ていて、その分以外にも原稿があるのだけれども、連載の途中で『マンガエロティクスF』が休刊になってしまったという事情があって、単行本未収録の話が結構あったりする。

 

その辺りについては鬼頭先生がX上でかつて公開していたりする。

 

 

 

 

 

 

 

こういう風にX上で公開されていて、鬼頭先生もこの原稿を単行本にしたいとは思っていて、今回、なんやかんやあってこの単行本未収録分の『終わりと始まりのマイルス』が愛蔵版に収録されるらしい。

 

…いや別に、収録されるという情報が公表されているとかはないのだけれど、この流れで収録されないという事態は考えられないので、普通に収録されると予想して良い案件だと僕は思う。

 

おそらく、愛蔵版が発売されたら先の鬼頭先生のマイルスの投稿は削除されるのだろうとは個人的に思っていて、ただけれども、マイルスを買うくらいの鬼頭先生のファンならば、こういう風にX上で数話公開されている程度の理由で買い控えなんてしないはずで、描き下ろしの一話が愛蔵版には付随するということも分かっているのだから、投稿を消す必要などないのではないかと思う所がある。

 

マイルスの愛蔵版を買うだなんて場合は"かなりの人"で、その"かなりの人"は描き下ろしの一話のために買うだろうという推論がある。

 

実際、短編集が出たら消す言うてた『彼の殺人計画』もそのままになっていて、そういう形でも良いのではないかと個人的に思う。

 

 

そうと言えどもどのような形になるかは鬼頭先生の匙加減で、ただ個人的に消しても消さなくても売り上げに関係なさそうと思ったという小学生並みの感想を書いているという以上の事はない。

 

そんな感じの『終わりと始まりのマイルス』の愛蔵版について。

 

いつ出るかとかは知らないけれど、今年中に出るだろうし、そうでなくてもどんなに遅くても来年には出るだろうとは思う。

 

知らんけど。(関西人的表現)

 

では。

 

・追記

僕は描き下ろしが1話あるのだろうと予想して、この記事でそういう説明をしたけれど、公式曰く大大大ボリュームの描き下ろしがあるらしい。

 

 

そんないっぱい描き下ろすの?って思うけれども、もしかしたら物語が途中で止まっているマイルスを鬼頭先生が完結させるためにそういう描き下ろしをするのかもしれない。

 

そうとなると今までの描写の総括をしなければならないわけで、そうなってくると鬼頭先生がネームに難航していたという話もなんとなしに文脈が現れてくる。

 

僕の中では一話程度、今までノリでマイルスに一話が追加されると想定していて、それなのにネームに苦しんでいるという状況が良く分からなくて、もしかしたらマイルスじゃないのかも…?と思っていたけれど、マイルスを完結させるために、公式が大ボリュームと形容する描き下ろしが必要になったというのなら、そりゃネームは難航するなと今になって思う部分はある。

 

まぁ実際にどんな感じになるかについては、持っている情報量はこの文章を読んでいる人と僕とで全く同じで、これを読んでいる人物がおそらく、どんな感じになるかふわふわとしたイメージしか持ち得ていないのと同様に、僕の方もそのようなイメージが漠然とある程度なので、実際の所は出版されるまで全く分からない。

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要望があったのでサイトマップ的なものを作ることにした。まぁ、なんというかなるたるの記事だけしか読まれないだろうから、なるたるの記事のそれしか作らない。

物語全体について
『なるたる』の目的の解説

大体はこの記事を読めば分かるので、正直他の記事読まなくていいと思う。量多いし。

以下では個別的な記事を列挙していく。一応言及がある記事は出来るだけそこに入れようと思うけれど、リンクは貼らない。
・2015年7月24日追記
以下を読む前に、このページの一番下にある追記を読んでもらった方が良いかもしれない。

鶴丸丈夫に関するもの
『なるたる』の鶴丸丈夫の解説
彼の呵責とジンテーゼ
似像としてのハイヌウェレ
・火神の車
・『なるたる』の古賀のり夫の気持ちを理解しよう(後編)
『なるたる』の鶴丸が行った寺について 

のり夫に関するもの
『なるたる』の古賀のり夫の気持ちを理解しよう(前編)
『なるたる』の古賀のり夫の気持ちを理解しよう(後編)
・『なるたる』の鶴丸丈夫の解説
・彼の呵責とジンテーゼ
・『なるたる』のヴァギナ・デンタータの考察

須藤直角に関するもの
『なるたる』の須藤直角の目的の解説(前編)
『なるたる』の須藤直角の目的の解説(後編)
・どうせ次の記事書く前に消すのだろうけれど

小沢さとみに関するもの
『なるたる』のさとみと文吾、そして竜の子の目的の解説

高野文吾に関するもの
・『なるたる』のさとみと文吾、そして竜の子の目的の解説

宮子巽に関するもの
クーデター完遂せず(『なるたる』序盤の政府と宮子巽の解説)
槿花一朝の夢の終わり(『なるたる』後半の政府と宮子巽の解説)

佐倉明に関するもの
『なるたる』の佐倉明の解説

『なるたる』のサブタイトルに関するもの
『なるたる』の各サブタイトルの解説(前編)
『なるたる』の各サブタイトルの解説(後編)
火神の車
どうせ次の記事書く前に消すのだろうけれど
『なるたる』の「ホモ・デメンスに向けて」の解説 

『なるたる』の舞台に関するもの
『なるたる』の舞台は何処?
・『なるたる』の各サブタイトルの解説(後編)
『なるたる』の万朶学園のモデルについて
『なるたる』の舞台としての藤沢の簡素な報告 

玉依秕に関するもの
・『なるたる』の玉依秕の体の成長の解説  運営により閲覧禁止に
彼女のスティグマ 
『なるたる』の玉依秕のシャツのラテン語の解説

上記に類さない『なるたる』の解説
『なるたる』の竜
なるたるの長い話の前の、なるたるの短い話
『なるたる』の水嶋貴也の涙-彼が泣いたその理由-
・なるたるの細かい話とぼくらのとの連関
・『なるたる』と『ぼくらの』の小難しい余話
『なるたる』の解説のこぼれ話
『なるたる』『ぼくらの』拾遺余話(前編) 
『なるたる』『ぼくらの』拾遺余話(後編)

『なるたる』の最終話の解説
『なるたる』の新装版が出た理由についてなどの解説


なるたるの作者コメントについて

『なるたる』旧装版の作者コメント

殻都市の夢に関連するもの
『なるたる』の作画ミスと『殻都市の夢』とかのちょっとした解説
『殻都市の夢』の着想の考察

『ぼくらの』に関するもの
なるたるの細かい話とぼくらのとの連関
『なるたる』と『ぼくらの』の小難しい余話
『ぼくらの』の最弱の敵とか、分からないことについてとか
『ぼくらの』の無花果(フィッグ)
『ぼくらの』後日譚、画集描き下ろし漫画「一年後の待ち人」の解説
『ぼくらの』11巻おまけ冊子、特別ヘン『鬼頭莫宏とあし☆すた』の解説 

のりりんに関するもの
『のりりん』の舞台のモデルについて
『のりりん』の舞台としての秦野を検証してみよう 

よごれたきれいなに関するもの
鬼頭莫宏の『よごれたきれいな』の解説
・『なるたる』の作画ミスと『殻都市の夢』とかのちょっとした解説

彼の殺人計画に関するもの
鬼頭莫宏の『彼の殺人計画』の解説

作者に関するもの
『なるたる』の鬼頭莫宏の解説
鬼頭先生の住んでいるところについて 

この世界に存在する理由を持たないもの
漫画『なるたる』における人間理解
『なるたる』は悲劇か?
『なるたる』のヴァギナ・デンタータの考察
『なるたる』の小森朋典の千年帝国についての考察

双子の帝國に関するもの
鬼頭莫宏の『双子の帝國』の現時点での観測 

なるたるの元ネタについて
『なるたる』の元ネタ集

ヴァンデミエールの翼に関するもの
『ヴァンデミエールの翼』の解説(前編)
『ヴァンデミエールの翼』の解説(中編)
『ヴァンデミエールの翼』の解説(後編)
『ヴァンデミエールの翼』の元ネタとかについて

大合作2に関するもの
『大合作2』における鬼頭莫宏について

くー、疲れました!これにてサイトマップ完成です!

なんて冗談はさておいて、要望通りに作ったのだけれど、基本的に全部読む必要なんてないし、そもそも読む必要もない。

こんなしょうもないものにも一時間はかかるのだから、色々大変だったんだなぁと思う。

・追記
そう言えば、携帯でこのサイトを見る人の事を考えてなかった。

携帯で見やすいように一番上にするけれど、この記事は6月2日に書いたものです。

・2015年7月24日追記
この記事にコメントを貰ったので分かりやすい所に反省の文章を書いておく。

どのようなコメントだったかというと、僕の書き方で不快になるところが多いという話だった。

色々…言われて初めて分かることが多い。

別に高圧的に書いていたつもりがあったわけではないのだけれど、外から見ると違う様だった。

詳しい言い訳はそのままコメント欄に書いてあるのだけれど、本当に申し訳ない気持ちで一杯で、少しでも衆目にそういうつもりはなかったということを晒したいのでここに追記している。

どういう指摘だったかというと、書き方が悪くて上から目線になっていてそこが不愉快だったという内容だった。

そのように見えてしまったなら僕は本気で謝りたい。

ただ、当時の事を振り返ってみて、ほんのわずかにしかアクセスがなかったこのサイトが、毎日数百アクセス以上とかが平然と記録されていた時期になる。

でも、コメントとか一切ないし、僕は正しいと思って書いていたので、なんだかどうしようもない気持ちになったために、コメントを催促するような感じになっていた。

今は…毎日それよりかなりたくさんアクセスがあって、それでもコメントがないので、本当に殊更言うことがない故にコメントがないと理解している。

とは言っても、アクセスの大半はのり夫の記事へなので、僕が書いていることはあんまり関係ないのだけれど。

また、「分かっていると思うが云々」という、説明するときに付くややもすれば挑発とも取れないことはない言動は、本気でそう思って書いていて、僕の認識不足にこの発想がある。

僕以外の人は僕ほどに回数を読まない。

それを認識していなかった。

で、なるたるは回数を読まなければ分からないから普通は分からないのだけれど、僕に普通の視点は存在しなかった。

だから普通に分からない場所にも拘らず、僕は普通に分かる場所だと勘違いしていた。

読みすぎてちょっとよく分かんない感じになっていた。

不快に思われるなら逐一修正したいのだけれど、30以上ある記事において、全てのそういった表現を探して修正していくのはあまり現実的とは思えない。

なので、ここで悪気がないということと、もしその事で不快に思ってしまったなら申し訳ないということを書いておく。

あと、僕自身に悪意はないので、喧嘩を売っているわけではなく、僕が愚かだからあのような表現になってしまったので、出来るだけ悪いように受け取らないでほしいということも書いておきます。

あの…本当に悪気はなくて、はい。

・2015年8月18日追記
自分で気づける生意気な言動は修正しました…

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…はい。

 

なんつーかこう、『殻都市の夢』の完全版が発売されるらしい。

 

まずこの『殻都市の夢』についてなのだけれど、このサイトでこの文章を読んでいる人の中で、『殻都市の夢』を知らない人はいない…なんてことはなく、この作品を知らない人はそれなりに居るだろうと思う。

 

最近、『なるたる』がマガジンポケットに掲載されて、その結果として『なるたる』を読んで「あ?」と思って「なるたる 考察」とかで検索したような人が結構多いらしくて、特に僕の方では何もしていないのだけれど、今になってこのサイトに訪れている人がそれなりに居る様子があったりなかったりしている。

 

そのような場合だと『殻都市の夢』をまず知らないだろうから、その話からしていくことにする。

 

とはいってもそんなに難しい話もなくて、『なるたる』の連載の後に鬼頭先生は『ぼくらの』を連載していて、その時期に『マンガ・エロティクスF』という雑誌に短編を寄稿した結果、何故かそれが連載扱いになって、しばらくこの隔月の雑誌に『殻都市の夢』が連載されて、それが単行本全一巻として発売されていて、その完全版が今年の6月に発売されるという話らしい。

 

…。

 

今までの『殻都市の夢』は不完全だった…?

 

ってなことも思ってしまうけれども、まぁこのことについては商業的な問題だろうと個人的に思う。

 

どういうことかと言うと、鬼頭先生の連載作品はここ数年で新装版や完全版としての再販が結構されていて、『ぼくらの』より前の作品の場合、『辰柰1905〜トミコローツ戰記』と『終わりと始まりのマイルス』、『殻都市の夢』以外が全てそのような形で出版されている。

 

だから、『殻都市の夢』もそういった形で再販しようという話が持ち上がって、ただ、特に話題性のない『殻都市の夢』を再販するに際して、新装版と銘打ってもあまり注目度も高くないだろうし、ここは描き下ろしを新たに収録することによって、完全版という名前にして、新作描き下ろしという付加価値を付けて売りに出そうという判断があったのだろうと僕は思う。

 

『マンガ・エロティクスF』は太田出版の雑誌なのだけれど、この『完全版 殻都市の夢』は小学館から出版されるらしくて、数年前にあった『完全版 ぼくらの』も小学館で、まぁ諸々の企画が同じ感じで進められて、『完全版 ぼくらの』のやり方に倣って『完全版 殻都市の夢』があるという部分もあるだろうと思う。

 

『ぼくらの』の完全版の方にも新作の描き下ろしが付随していて、『殻都市の夢』にも同じように描き下ろしがあって、結局その辺りも、今回の企画も『ぼくらの』と同じ方向性で行きましょうという編集の一声や商業としての思惑があったのだろうと思う所もある。

 

鬼頭先生はその『殻都市の夢』の描き下ろし漫画については仄めかしをしていて、Xでその描き下ろし漫画の一部の下描きを公開していたりする。

 

(同上)

 

これが匂わせってやつなんですかね…?

 

僕はこれの背景を初めて見た時、実際、『殻都市の夢』みたいだなとは思っていて、ただ鬼頭先生自身が次の連載についての言及をしていて、このイラストについてはそっちの背景なのだろうと脳内で処理をしていた。

 

次の作品の背景に『殻都市の夢』みたいなサイバーパンク?な建物が出てくる場面があるのかなとなんとなしに思っていて、けれども、蓋を開けてみたらそのまんまストレートに『殻都市の夢』の建造物だったというのが今回の結末になる。

 

僕が言っている次の連載というのはこの投稿で言及されている話ですね。

 

 

 

この次の企画の背景として先の『殻都市の夢』みたいな背景のシーンがあるのかなと漠然と考えていたら、そんなことはなくて、ストレートに『殻都市の夢』だったという話です。

 

この鬼頭先生が語るところの『迷宮代理店』について、担当編集者の人と打ち合わせをしている様子がある。

 

 

このような言及があるのだから、この『迷宮代理人』の話がお流れにならない限り、次の連載はこのタイトルで、先に引用したおじさんと風船みたいなのが出てくる作品になるらしい。

 

まぁその投稿からだいぶ経っているし、色々時間も経てば変わるところがあるだろうので、タイトルとか細かい設定とかは連載時には変わってくるのかもしれない。

 

『殻都市の夢』に話を戻すと、鬼頭先生は何らかこの作品の描き下ろしをするらしくて、その内容については僕が何かを知っているということはない。

 

ただ、作品の構成上、付け足すなら"愛の物語"が一つ追加されるか、あのメインの二人のエピソードが描かれるか、愛を語る渉猟子の女性の愛の物語が語られるかのどれかにはなるのではないかと思う。

 

もっとも、そんなものはただの推量で、もっと違う形であるという可能性は普通に想定はしているけれども。

 

この『殻都市の夢』は無秩序に上に積み重ねられる街で全てが重ねられ埋もれていく中で、愛の物語は決して埋もれないというような話になっていて、聞いた物語を全て暗唱できる渉猟子という特殊な能力を持った女性が、この『殻都市の夢』の中で描かれた愛の物語を紡いでいくという構成になっている。

 

その中で、愛の物語の目撃者となった主人公と思しき二人の男女のうちの一人の女性と、語り部になった少女についての愛の物語が描かれていないから、描かれるならそこかな?と思う所はあって、ただそのようなことは根拠のない推論で、実際にどのような物語が追加で描かれるかは定かではない。

 

ちなみに、その渉猟子という、聞いた物語を全て暗記できる存在についてなのだけれど、どうも元は小説か映画なのかもしれないという話がある。

 

鬼頭先生はデビュー作?として『ヴァンデミエールの翼』という作品を描いていて、その材料に、レイ・ブラッドベリという小説家の『何かが道をやってくる』という作品の一部を用いているらしい。

 

僕は読んでないし、映画の方も見ていないから確かな事は言えないけれども、この小説の登場人物の名前がそのまま、『ヴァンデミエールの翼』の登場人物の名前に採用されていると僕は聞いている。

 

まぁそういう話を抜きにしても、鬼頭先生自身がインタビューで『ヴァンデミエールの翼』の材料にこの作品を使っていると普通に言っている。

 

「Q.「ヴァンデミエール」ができた経緯      

・お題が「アンドロイド」の創作アンソロジー同人誌を作ると友人が言い出し、その際にお前も描けと言われて考えたのが「ヴァンデミエール」。

言い出しっぺの友人は腰が重く自分は描かなかったのでアフタヌーンの投稿用に回した。

 「だから、その本が出来てたら今の自分はなかったっていう話ですね(笑)。怠慢のおかげで助けられたっていう人生、よく分かりませんけどね。」

・ヴァンデミエールはその時に他にも色んな話を考えたうちの一つ。

 ベースはブラッドベリの「何かが道をやってくる」(町に奇術団がやってきて、町の人たちの時間を切り取って行っちゃうというような話) と、昔あった「サントリーロイヤル」かなんかのCFが強烈に残っていて、その二つを引っ張ってきた。

 今まで他からネタを引っ張ってきて物語を構成するのはやった事がなかった。同人誌だからいいだろうと思った。

 この一本は自分としては珍しい作り方だった。

(http://sasasa.s206.xrea.com/narutaru/interview.html)」

 

こういう風に鬼頭先生は語っているのだから、鬼頭先生はブラッドベリの作品に間違いなく触れている。

 

そのブラッドベリの作品の中で、『殻都市の夢』の渉猟子のような存在が描かれているものがあるらしい。

 
ブラッドベリの作品の中に『華氏451』というそれがあって、この作品は本が全て禁止されたディストピアが舞台の小説で、それが故に本は存在していなくて、けれども、その禁じられた本の内容を暗唱して語り継いでいる人々が登場していると僕は聞いている。

この『華氏451』では本を持つということ自体が禁止されていて、本を持っているだけで逮捕されるという設定になっている。

 

『殻都市の夢』に出てくる少女は禁じられた本の内容を暗唱していて、『華氏451』についても禁じられた本を暗唱していて、そこまで類似していて、且つ、鬼頭先生はブラッドベリの他の作品を材料にして『ヴァンデミエールの翼』を描いているのだから、『殻都市の夢』の渉猟子に関しても、ブラッドベリの『華氏451』から来ているという可能性がある。
 
まぁ…本を何冊も暗唱していて、その事は一部の人にしか出来なくて、その事によって物語が失われないように紡いでいて、そしてその知識によって生命の危機に瀕しているという時点で、元は『華氏451』なのだろうとは思うのだけれど。
 
(鬼頭莫宏『殻都市の夢』 pp.160-162)
 

そうと言えども、僕は『華氏451』を読んだことも見たこともないので、詳しいことは分からない。

 

実際の所、同じブラッドベリの『何かが道をやってくる』についてもそうなのだけれど、『華氏451』に関しても、これらの作品は原作の小説と映画版とがあって、鬼頭先生が小説と映画版のどちらの作品に触れたのかとかもちょっと良く分からない。

 

 

 

その辺りは小説と映画を実際に確かめてみればもしかしたら分かったりするのかもとは思う反面、僕の方にそれを確かめようという気持ちが存在していない。

 

…こういう漫画の解説などの記事を書いていて、作業的に一番辛いときがどんな時かと言えば、それは一つの記事を作るのに6時間とか7時間とか、点検を含めて9時間以上とかの地道な作業を強いられる場面ではなくて、その漫画の解説に必要不可欠だからという理由で、興味のない本や作品を検証する時間で、耐えがたい苦痛がそこにある。

 

漫画の解説に必要だからとアリストテレスの『霊魂論』を読んだ時の苦痛とか、今思い出しただけで、うめき声が出そうな思いが込み上げてくる。

 

古代インドの日本語で書かれてても何言ってるか分からない『ブリハッド・アーラニヤカ・ウパニシャッド』を読んだ時よりふっつーに苦痛が大きかったんだよなぁ…。

 

当然、ブラッドベリの『何かが道をやってくる』や『華氏451』についても僕には微塵の興味も秋毫ほどの関心も無いのだから、その検証作業は耐えがたい苦痛で、しかもそれをしたところで僕に何か得があるかと言えば一切ない。

 

それをしたいという気持ちが僕にはないし、その事をして金になるわけでもないわけで、それをしても賞賛が得られるわけでもなく、そもそも賞賛なんて求めていない。

 

だから当然、検証なんてしないのだけれど、この記事で書いた内容については、この地球上で鬼頭先生と担当編集の人がもしかしたら知っている可能性がある程度の話であって、僕がこの記事を作らない限り、おそらくは誰も知らないことであっただろうから、僕はそれを一つの記事にまとめただけ…というか、『完全版 殻都市の夢』が出版されるから、そのアナウンスの記事を一つ作るとして、そういえば、『殻都市の夢』と『華氏451』の関係性の話については何処にも書いたことも、誰にも話したこともないということを思い出して、その事をついでに書いたという以上の話はない。

 

『完全版 殻都市の夢』が発売されなければ僕が死ぬまでその情報は何処にも出ずに、結局誰にも見出されずに埋もれて行ったはずだということを考えると、そのこと自体が『殻都市の夢』を思い起こさせる出来事になって、なかなか抒情的ではある。

 

けれども、『完全版 殻都市の夢』が発売されることになって、僕が数年前に気付いていた先の情報をその事がきっかけに思い出したことによって、その事は埋もれずに、アメブロが死ぬまでネット上に残り続けることになったという話になる。

 

この記事自体は鬼頭先生とかがX上で『完全版 殻都市の夢』の発売を告知したその日に書いていて、準備期間0日だからそういう話です。

 

…僕はX上で画像投稿用アカウントでも本アカでも、鬼頭先生も鬼頭先生の担当編集者の人も、鬼頭先生作品関係のアカウントも一切フォローしてないから知らなかったのだけれど、『完全版 殻都市の夢』の出版が告知される前に、このような投稿がされていたらしい。

 

僕は今日、この投稿の存在のことを知ったから、この見切れたイラストが何なのかを思案する"いとま"とかはなかったわけだけれど、右のスカートは普通に見れば『殻都市の夢』の1話に出てくる少女だと分かるようなデザインになる。

 

(鬼頭莫宏『殻都市の夢』p.3)

 

(同上『殻都市の夢』表紙)

 

(https://twitter.com/boku_koemusi/status/1776200983321911459)

 

今日このイラストを見た瞬間にあの少女だとすぐに分かったわけだから、ありとあらゆる情報が秘匿された状態でこのイラストを見た時に、もしかしたら僕はこれが『殻都市の夢』のイラストだと分かったかもしれないなと思う一方で、そんなことは全て過ぎた後でのことで、全ての結果が明らかになった今になってあれこれ言っても、所詮は事後孔明(参考)に過ぎない話でしかないよなと思う。

 

最後に、鬼頭先生は『完全版 殻都市の夢』の出版に際して描き下ろし漫画を描いていたことに関連して、このような投稿をしていたりもする。

 

鬼頭先生はこのように、別作品についての何らかの作業をしているらしい。

 

語り口的にかつて描いた作品について、『殻都市の夢』と同じように何らか新たな描き下ろし漫画を構想しているのだろうという推論がある。

 

この条件に当てはまる鬼頭先生の作品は『辰柰1905〜トミコローツ戰記』と『終わりと始まりのマイルス』のどちらかくらいしかないのではないかと思う。

 

『なにかも違ってますか』も『のりりん』も打ち切り…いや、『のりりんは』打ち切りって公言してる一方で「なにもち」は実際打ち切りかどうかは知らないんだけど、そのような打ち切り作品の完全版はあるのか微妙で、それより後の作品は新装版や完全版にはまだ早いと思う。

 

一番可能性が高そうなのは雑誌が休刊したために今のところ全1巻で、単行本未収録分がある『終わりと始まりのマイルス』の話なのかな?と思う一方で、この作品の場合、鬼頭先生が語るようにネームに難航するとも個人的に思えなくて、一番ネームに難航しそうなのは「トミコローツ戦記」で、そう言った意味では「トミコローツ戦記」の完全版かな?とも思ったりもする。

 

 

「トミコローツ戦記」は入手がそれなりに難しいような作品で、今現在Amazonには中古で3冊しか存在しないらしい。

 

ただ、商業的な話だと一番売れそうなのは『のりりん』にはなって、その三つが可能性が高そうだとは思うとはいえ、予想が外れたらただ恥をかくだけなので、そのどれであるとも予想は立てないでおく。

 

そんな感じの『完全版 殻都市の夢』について。

 

この記事を書いたところで実際売り上げが上がるのかとかは知らないけれど、1人でも買えば、書かないよりは良かったという結果にはなるだろうと思う。

 

そんな感じです。

 

では。

 

 

 

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