表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Rainbow God Bless  作者: 色彩天宙
Chapter6:闘技大会篇
171/330

第171話『色彩武勇~vol.9~』

シリーズ第171話目です。どうぞお気軽にご覧くださいませ!

強きを尊ぶ蛮族の国ビンニー国でそれぞれの色彩を耀かせる彩りの義勇軍一行。強き勇気と深き叡知を以て一行を勝利へと導くルーシー班と相対した僧兵の一団を率いていた新橋色の彩りの戦士イトケが一行の輪に加わっていた。



「イトケさん、彩りの義勇軍へようこそ。これからは貴女もわたくし達の“仲間”ですわ!」


「おおお~、軍師としてこれほどの大軍勢を率いているとは…ルーシーさん、すっごいですね!」


「イトケ、これからこの軍の1人1人と絆を紡いでいってくださいね。私はモニカ・リオーネと申します。どうぞよろしく」


「は~い!よろしくです、モニカさん!よ~し、たくさんの絆、わたしも大切にしていくぞ~!」



イトケは無邪気に笑いながら彩りの義勇軍の輪に飛び込み、瞬く間に打ち解けていく。新たに加わった新橋色の彩りは屈託の無い真っ直ぐな心で溶け込んでいた。



「イトケもわたし達のお友達になったね!この闘技場でたくさん新しいお友達が増えてとっても嬉しいね、ゼータ!」


「ああ、良かったな、コレット。こうして1人また1人と仲間が増えていく…祝福の証の色彩はかくも美しいものだな」


「そうですね、ゼータさん。天よ、美しき出会いに感謝致します…さて、次は私達の番ですね。我らに天の御加護がありますように…」


「ネイシア、あんたは優しい娘だから戦いに送り出すのはちょいと気が引けるけど…ま、みんなと一緒なら大丈夫だろうね。ケイト、ペルシカ、バラキエル、ヒーザー!ネイシアをしっかり守っておくれよ!」



ビクトリアから甘桃(スイートピンク)のプリンセスの“護衛”を頼まれ、共に徒党を組む4人は闘志を携えながら頷いた。新橋色の彩りの僧兵イトケを加えた一行は次の戦いへと飛び込んでいく。続いて闘技の舞台に立つのはネイシア班の面々――先鋒ケイト、次鋒ペルシカ、中堅バラキエル、副将ヒーザー、大将ネイシア――共に歩む者を慈しむ愛と仇為す者と戦う意思を併せ持つ5人組は真摯な想いで戦いに臨もうとしていた。



「やっぱり戦いってドキドキしますね…みんなで力を1つに、勝ちましょう!」


「え、えっと…戦いはあまり得意ではないですけど…私も、頑張ります…!」


「この軍の勝利のため、私も精霊ウェネーヌの祝福を受けた毒の力を振るいましょう。共に勝利へと歩むのです!」


「ああ、任せとけ!テラコッタの騎士ヒーザー様がネイシア姫を守ってみせるぞ!」


「ありがとうございます。でも、私も志を同じくする者として、共に戦います!天の導きのもとに歩みましょう!」



ネイシア班の5人は勝利へ向けて想いを1つに束ね、戦いの舞台へと踏み出していく。聖なるピンクの紋様を耀かせるネイシア当人は勇んで目の前の戦いに挑まんとしているが、客席で見守る仲間からは心配の声がちらほら聞かれている。



「ネイシアが戦うって思うとやっぱりちょっと心配だな…出来るなら俺が側にいて守りたいけど、4人を信じるぜ!」


「そうね、リタ。私達はネイシアの戦う意思と聖なる精霊の力、5人の絆の力を信じて見守りましょう」


「うむ…それはもちろんじゃが、ワシらの女将さんであるネイシアを土俵に送り出すというのはやっぱりどうも忍びないのう…」


「そやなぁ、ステラ姉ちゃん…ネイシア姉ちゃんはウチらの可憐なお姫様やもんなぁ…ホンマ今からハラハラするわ~…」



皆が心優しい大将を案ずる中、ネイシア班の面々は戦いの火蓋が切られる時を前に敵軍のもとに挨拶を交わそうと歩み寄る。当然ながら皆がネイシアを彩りの戦士として認めてはいるものの、強い自己犠牲心を持ち無用な争いを好まない彼女の優しさを知っているからこその心配だ。それに加えてネイシア班を構成する5人のうち、薄紫の鎧を身に纏うテラコッタの冥騎士ヒーザー以外の4人は主に一行のサポートや衛生兵の役目を果たす面々であり、あまり前線に立つ機会は多くない。そんな仲間達の心配を尻目にネイシアは前へ前へと踏み出す。が――



挨拶を交わそうと敵軍のもとに歩み寄った刹那、ネイシアはハッと目を見開く。敵軍を率いるのは十字架が印された純白の鎧に身を包み、美しいピンク色の髪を長く伸ばした女性だった。赤紫の瞳には爛々と闘志を煌めかせ、十字架の刻印が彫られた大剣の刃はプラチナ色に凛と輝いている。敵将の白騎士はネイシアを視界に捉えるや否や、キリリとした表情を僅かに穏やかな色合いに緩めていた。



「あ、貴女は…聖騎士ヴァレンタイン様!?」


「あら、ネイシアじゃない!?これも天の巡り合わせかしら…それに素敵な仲間が一緒にいる…とても有意義な旅をしているのね」


「はい、そうですね。この旅で培った絆の力、ヴァレンタイン様にも全力でお見せ致します!」


「ええ、それなら嬉しいわ。ブラン教皇国聖騎士団の精鋭部隊が謹んでお相手するわよ!」



ブラン教皇国の白騎士は清々しくも高らかにネイシアに対し宣戦布告する。ブラン教皇国の平和を守る敵将の聖騎士ヴァレンタインの左手の甲には祝福の彩り――麗しいフローラルピンクの紋様が印されていた。



「祝福の証…そ、それにブラン教皇国聖騎士団…強そうです…!」


「心配すんなって、ペルシカ。このチームのみんなが一緒だし、いざっていうときはこのヒーザー様が――」


「Gランク勝ち抜き戦を開始します。両軍先鋒、前へ!」


「はいっ!さてと、頑張らなきゃ…ネイシアちゃん、行ってきますね!」


「ケイトさん、貴女に天の御加護がありますように…お気を付けて!」



ネイシア班の先鋒を務めるのはラベンダー色の彩りの戦士ケイト。ノスタルジックな懐かしい浪漫溢れるセピア国で一行に加わり、彩りの義勇軍の一員として一行の中核を担うモニカ達と共に長く旅路を歩んでいる古株のメンバーだ。モニカ達中核メンバーと共にたくさんの彩りの戦士を仲間として迎え入れ、持ち前の穏健さと人当たりの良い性格で数多の絆を繋いでいる。彩りの義勇軍の“絆”を体現するラベンダー色の戦士は甘桃(スイートピンク)のプリンセスを守る戦いに勇んで挑まんとしていた。



「セピア国より参りました、ケイト・ザッカーバーグと申します。よろしくお願いします!」


「これはこれはご丁寧に。ブラン教皇国より参りましたピーターです。互いに最善を尽くし、良い戦いにしましょう」


「はいっ!では、全力で参ります!」


「臨むところ…いざ!」



ケイトは表情を引き締めながら得物の薙刀を構え、敵軍先鋒の聖騎士ピーターに対峙する。ケイトは臆することなく薙刀を振るって毅然と立ち向かうが、対するピーターも長尺の槍で軽々と受け流し、聖騎士として培った武勇を堂々と見せつけていた。



「てやぁ!はああッ!!」


「とうっ!せいやぁッ!」


「聖騎士団さん、さすがの腕ですね…でも私は負けない…守るべき人のために負けられないんです!」


「な、なんだ!?この紫の光は…!?」



ケイトは涼やかなラベンダー色の紋様を煌めかせ、彩りの力を解き放った。ラベンダー色のドームがアリーナを覆い、ピーターの疾駆を瞬く間に鈍らせていく。



「タイムスロー!」


「うわっ!?か、体が…重い…上手く動けない…!」


「さあ、行きますよ!ソニックブーム!」


「グッ…こ、この力は…!」



ケイトはラベンダー色の彩りの力を受けて時を遅らされたピーターに対し立て続けに音速の刃を叩き付ける。普段の温厚な性格とは対照的なしたたかな波状攻撃は客席で見守る仲間達を熱気に包んだ。



「ケイト、素晴らしい攻撃です!戦う前は緊張していたのに落ち着いていますね」


「ああ、ケイトは意外と本番に強いタイプかもしれない。私もあいつには一泡吹かされたからな…」


「そやなぁ、ヴィオ姉ちゃんが敵として現れた時はケイト姉ちゃんがMVPやったもんな~。そう考えるとケイト姉ちゃんとウチらってけっこう長い付き合いやな!」


「そうだね、アミィ。それにケイトは新しく仲間になった人にもよく声をかけてくれるし、すごく気配り上手な人だよね♪」


「…はい!ケイトさんが私達の“絆の力”を支えてくれています!ケ、ケイトさん…頑張ってください!」



リデルが振り絞った小さな声援を皮切りに、仲間達は次々に声援を送る。ケイトは仲間達の声援を背に奮戦するが、対するピーターも黙ってはいない。勇猛に得物の槍を振るって荒々しくケイトの足下を薙ぎ払った。



「でやああぁぁッ!」


「クッ…つ、強い…!」


「我が力の味はいかがかな?我らブラン教皇国聖騎士団は天の御心にお応えすべく戦っている。我らの譲れない誇りなのだ!」


「フフッ、それならお互い様ですね。私にも譲れないものがある…共に歩む仲間達との“絆”です!」


「な、何っ!?また紫の光…!?これはいったい!?」



彩りの義勇軍の仲間達との“絆”を体現するラベンダー色の戦士が闘気を全身に纏い、薙刀を地に駆けさせてラベンダー色の魔方陣を描く。音よりも光よりも速く時を駆け抜ける刃の雨が容赦なく敵軍先鋒ピーターに襲い掛かった。



「時を駆ける刃、虚空を切り裂け!ソニックブーム・クロノチェイサー!!」


「うああああッ…!み、見事…!」


「そこまで!勝者、ケイト選手!」


『うおおおぉぉぉ~ッ!』



ラベンダー色の彩りの戦士ケイトが聖騎士ピーターを撃ち破り、赤々と燃える声援が闘技場を包む。当のケイトは少し気恥ずかしそうな表情を見せるものの、すぐに居直って薙刀を構えた。



「やったやった~!ゼータ、ケイトが勝ったよ~!」


「ああ、コレットの応援が効いたな。ケイト、その調子だ!そのまま一気に決めろ!」


「うん、本当にそうしてもらいたいよ。出来ればネイシアに回る前に終わらせてほしいね…」


「同感だぜ、エレン。頼む、ネイシアを守ってくれ…!」



リタの心からの願いに皆が真剣な表情のまま頷き、ケイトへと心の限りに声援を送る。紅き熱気を帯びて一層強くなった仲間達の声援を受けるケイトに対し、敵軍次鋒ゲオルグが杖を構え、静かに闘志を燃やしながら対峙する。果たして甘桃(スイートピンク)のプリンセスであるネイシア率いる彩りの一団は白き聖騎士達を打ち倒し、勝利を掴むことが出来るのだろうか?彩りの義勇軍の戦いはまだまだ続く!




To Be Continued…

ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいねで応援
受付停止中
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。
― 感想を書く ―

1項目の入力から送信できます。
感想を書く際の禁止事項についてはこちらの記事をご確認ください。

※誤字脱字の報告は誤字報告機能をご利用ください。
誤字報告機能は、本文、または後書き下にございます。
詳しくはこちらの記事をご確認ください。

名前:
▼良い点
▼気になる点
▼一言
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
作品の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。

↑ページトップへ