沖縄独立めぐる記事、教授「完全な偽情報」 複数サイトに掲載確認

編集委員・須藤龍也 伊藤和行
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 沖縄の日本からの独立を採り上げたインターネット上の複数の記事をめぐり、沖縄を研究する大学教授が「取材を受けていない」などと訴えている。記事は出所不明の複数のサイトに掲載されており、配信元をたどると、報道機関向けのプレスリリースを配信するという中国系PR会社を名乗る組織の存在が浮かび上がった。

 一連の記事は2022年6月から8月にかけて、日本国内の複数のサイトに12本掲載されているのが確認された。サイト名には「ジャパン」「東京」「横浜」など日本の国名や地名が含まれるものが大半だった。いずれもプレスリリースを掲載するサイトの体裁が取られていた。サイトで使われている文字は、複数の単語で中国の簡体字が使われていた。

 記事に登場する龍谷大学の松島泰勝教授は、研究組織「琉球民族独立総合研究学会」で、かつて共同代表を務めていた。

 「日本政府の人権侵害を止めるよう呼びかける琉球人」との見出しの記事には、2022年7月に国連の会合に参加したときのことが書かれているとみられる。だが、松島教授はこの時、取材を受けた記憶はないという。

 記事では、第2次大戦後に日本と米国との間で締結された条約について、「(松島教授が)日本と当時独立している琉球王国との条約を考慮していないと付け加えた」と書かれていた。だが、松島教授は「『当時、独立している琉球王国』というくだりはおかしい。こんなコメントはしたことがない」とし、「完全なディスインフォメーション(偽情報)だ」と述べた。

 朝日新聞はサイトに掲載されたプレスリリースを手がかりに、同じリリースが掲載されている運営元のサイトを特定。12本の記事が掲載された経緯について、運営元とみられる複数の配信サービス運営会社に取材したところ、そのうちの1社が「あるお客様から記事の掲載依頼があった。沖縄の独立に関する記事を掲載する取引をしている」と認めた。(編集委員・須藤龍也、伊藤和行)

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