彼女は援軍の巻物を読んだ   作:きりり

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三十六話 いつか愛せるように

 あの後、アルシェは父親と、提供された資金の取り扱いに関してじっくりと話し合い、一か月の取引限度額を設け、それ以上の取引を行うためにはエローナの許可が必要なことにした。

 エローナを父親にとっての金の生る木にしたくない、アルシェの苦肉の策である。

 父親としては金そのものには大して興味がなく、あくまで金を使う目的は、権勢を維持するという、貴族としてはごく当たり前の理由に過ぎない。

 金貨と財宝の山を見て喜んだのも、負い目である借金をすることなく消費が自由にできるようになったと理解したためで、決して金や財宝自体に喜んだわけではなかった。

 その証拠に、父親はアルシェの提案を承諾し、資金の管理の全てをアルシェに任せた。

 やり過ぎたらエローナから資金を没収され、消費が不可能になる恐れがあることを父親は理解している。

 また、父親は小城の調度品にも目を向けており、不要でありエローナが外に流出させても問題ないと判断したもので構わないからと、交渉を持ちかけ買い取ろうとしていた。

 小城の品物を持っていることを、他の貴族たちに自慢したいのだ。

 どうやったらエローナから譲歩を引き出せるかどうか、暇さえあればアルシェに相談してくる。

 無言でビンタしたアルシェに対し、父親は怒らなかった。

 ただ驚き、それほどまでに恨まれている自覚はなかったと白状して、今までのことを申し訳なさそうに深く謝罪してきた。

 腹を立てたアルシェが、もう一度反対側の頬を恨みを込めて力いっぱい叩き、加減を誤って殺してしまっても、父親はやはり怒らなかった。

 それどころか、すっ飛んできたエローナに蘇生されると、土下座してもう一度謝ったのだ。

 気持ちは分かるが、やり過ぎだとアルシェを叱ろうとするエローナを、父親は止めた。

 

(……意外だった)

 

 ちょっとうざいが、貴族に戻った父親は、そうでなかった頃よりも横暴ではなくなっていた。

 そもそも、貴族でなくなった者が借金してまで見栄を張ったところで、失笑されるだけだ。

 貴族だった父親がそれを知らないはずはない。

 きっと父親は、心に余裕ができたところにアルシェの怒りを叩きつけられ、自分がおかしくなっていたことにようやく気付けたのだろう。

 どうして借金してまで見栄を張り続けてしまったのだろうかと、自分の行いに後悔もしたかもしれない。

 もしかしたら当時の父親は貴族でなくなったことがショックで半分気が狂い、まともな判断ができない状態になっていて、貴族に返り咲いたことにより正気に戻ったのかもしれなかった。

 実際に、フォーサイトのことでアルシェもアインズやナザリックのことを憎み過ぎて、今思えば半分正気を失っていたとしか思えない時期があった気がする。

 元を正せば、ワーカーになったのだって、判断を間違えていた。

 冒険者でもアルシェの実力なら充分稼げるようになっただろうに、金が必要だからと両親の浪費を言い訳にした。

 自らリスクを増やして抱え込んでしまった。

 妹たちのことが大事だからこそ、もっとしっかり見極めるべきだった。

 

(無意識に、悪いのは全部両親で、私は悪くないと思って危険を軽視していたのかもしれない。堅実に稼ぐべきだった。結局、親子だからだろうか。追い詰められるとおかしくなるのは私も似ている。……血は争えない)

 

 腑に落ちてしまった。

 甚大な精神的負傷というものは、人を変えてしまうのだ。

 良くも悪くも。

 昔はアルシェも両親に愛し愛されていた時期があったから、その頃の両親が戻ってきてくれるなら、少し嬉しい。

 幸いといっていいのか分からないが、父親を一度殺したことで、アルシェは気が晴れた。

 手加減下手のせいでとうとう父親とはいえ死人を出してしまったので、やはり感情のままに動くのは良くないと反省した。

 というか、まだその時の動揺を引き摺っている。

 今は難しいが、アルシェだって父親を愛せるようになるなら愛したい。

 

(昔のことを反省してくれるなら、また、仲が良かった頃みたいに過ごしてもいいか)

 

 本当に、エローナは金貨や財宝の消費に困っているようだった。

 聖王国や王国など、必要な支援で可能な限り消費を促進し続けているが、間に合っていない。

 他にもダンジョンがある聖王国と王国には、税金をエローナは定期的に納めている。

 羽振りの良さを聞きつけてたまに小城にやってくる乞食にも、追い返したりせず金貨や食糧を恵んでいる。

 また、ラナーと協力して、王国の治安を悪化させている犯罪者のうち、八本指と関わりのない、あるいは薄い者について、足を洗うことを条件に雇い、王国の情勢を探る手足として使っている。

 当然増長して逆にエローナを脅迫しようとしたり、裏切って八本指に情報を流そうとしようとする者が出たが、問題ない。

 悪人の心を折って言うことを聞かせる手段など、エローナはいくらでも持っている。

 エローナは一歩も外に出ずに、ラナーと共に王国の暗部を浄化しつつ、ザナックにも恩を売るついでに、相場を壊さないようにしながら色々な名目で金貨や財宝を供給していた。

 貴族たちをコントロールしなければならないザナックにとっては、その資金になるものはいくらあっても困ることはないだろう。

 王国でのラナーの孤児院や、ブレインが孤児を引き取った話も覚えていて、エローナは全面的にどちらも援助した。

 どう考えても、エローナは金貨や財宝を処分したがっていた。

 これは以前聞いた話だが、アルシェの世界に初めてやってきた時、エローナは動こうとした瞬間に金貨ごと荷物をぶちまけ、小城の中で死亡しそうになったらしい。

 所持していた金貨が全て現実になって、発生したその重さに耐え切れずに。

 幸い防衛者というペットが傍にいたから大事には至らずに済んだようだが、ちょっとトラウマになっているらしく、その時のことを語るエローナの目は死んでいた。

 金貨と財宝の問題を解消するために、アルシェも色々試して協力してみた。

 少しでもスペースを作るために、エローナも各種貯金箱などを使っているようだが、どうやら故郷の頃に使っていた感覚のまま容量最大まで詰め込んでしまったようで、うっかり割ってしまうと小さな貯金箱の中に圧縮されて入っている金貨が一斉に凄まじい勢いで飛び散り周囲のものを吹き飛ばすため、それらの貯金箱は全て爆弾と化した。

 下手な場所で使うと小城が破壊されるし、人に当たったら最悪誰かが死ぬ。

 ならシェルターで割ればいいと思ってアルシェが拾おうとしたら、重過ぎて拾えなかった。

 エローナの反対を押し切ってシェルターの中に置いてもらい、シェルター内で叩き割ったら、頑丈なシェルターのせいで行き場を失った金貨に逃げ道を封鎖されて潰され、死ぬ羽目になった。

 その時のことを思い出し、アルシェは渋面になる。

 

(私は悪くない。あんなの誰も予想できない)

 

 幸いシェルターの外にいたエローナがすぐに復活の書を読んでくれたので事なきを得たが、シェルターの中に原型を留めなくなるほどみっちり詰まって一体化した、金貨とアルシェの死体と遺物の成れの果てが出来上がった。

 落とした遺物はなくなっても問題ないものばかりだったものの、アルシェは二度と貯金箱を割るまいと誓った。

 死なせてしまったことで自分に腹を立てたのか、その後エローナが気が狂ったかのように、大量の金貨を帝都にばらまきに持てるだけ持って小城から飛び出していこうとし、慌てて復活したばかりのアルシェは止めた。

 正気に戻ったエローナは、「発狂した金持ちの気持ちが分かった気がする……」などと訳の分からないことを言って深く反省していた。

 既にエローナの『四次元ポケット』の空間を貯金箱の山がかなり圧迫していて、ストレスになっているようだ。

 どうやら他のものを取り出すのが大変らしい。

 もしかしたら、そろそろ外に出るのを我慢して小城の中に居続けること自体にも限界が来ているのだろうか。

 そうだとしたら、カルカの世界での外出が気晴らしになってくれればいいのだが。

 でも何となくだが、原因は別にありそうな感じもする。

 

(うん。今のエローナはあまり余裕がなさそうだし、両親のことは私がしっかり見張ろう)

 

 自分の世界の両親だけなら、アルシェは許してもいい気がしていた。

 その代わり、他の世界の両親には全員野垂れ死んで欲しい。

 カルカの世界のクーデリカとウレイリカは、調べたら両親に売り払われていた。

 行方不明のまま見つかっていない。

 一応復活の書を読んでもリストに名前がなかったので、まだ生きてはいるようだ。

 心配だが、カルカの世界だからカルカのことを最優先するべきということで、アルシェは敢えてそのことを考えないようにしていた。

 そうしなければ、今抱えている全てを投げ出して、探しに行ってしまいそうだった。

 

(迎えに行きたいのは山々。でも、それはきっと間違っている)

 

 アルシェにとって大切なのは、あくまでアルシェの世界のクーデリカとウレイリカだ。

 もちろん他の世界線の妹たちだって大切だけれど、同列に考えてはいけない。

 一線を引くべきだ。

 そうしないと、あれもこれもと手を伸ばすことになって、それはアルシェの価値観を肥大化させていくことに繋がり、やがて破滅を運んでくるだろう。

 どんなに強くなっても、一度にできることには限界がある。

 せめてカルカたちの問題が全て片付くまで待つべきだ。

 どの道、あの世界のアルシェはもういない。

 本当の意味でカルカの世界のクーデリカとウレイリカが、姉と再会できる日は来ない。

 

(この怒りを、私の両親にぶつけるのは筋違い。別人なんだから)

 

 そもそも現代の価値観からすると異常に見えるかもしれないが、アルシェの両親の浪費は、貴族として貴族社会で生きていくならわりと大事なことでもある。

 あくまで名目は小城に飾るための美術品の蒐集依頼という形を取っているため、父親はエローナに住み込みで雇われている身であり、母親もそのついでだ。

 この分だと、エローナが払っている父親への給金は、そのうちダイレクトにイルヴァの品物に化けそうである。

 雇い続けるかどうか判断する権利をもらったので、問題を起こすのならいつでもアルシェが首を切れる。

 なので館を引き払うのは気が早すぎるのだが、指摘してやる義理もないため、アルシェはわざと黙っていた。

 というか、依頼そのものが、クーデリカとウレイリカの寂しさを解消させるための方便に過ぎない。少なくともアルシェにとっては。

 ふたりが親離れをする年齢になれば、お役御免ということで首を切るつもりだ。

 両親が金を貯めていなければ路頭に迷うだろうが、そこまではアルシェの知ったことではない。

 ……今の両親たちを見捨てるのはちょっと気が引けるため、様子は見ようと思うけれども。

 相場の下落に関しては、商人を大量に噛ませられるだけ噛ませているので、そこで調整が入って自然とコントロールされるだろう。

 あまりにも目に余るようなら、エローナやジルクニフも動く。

 ちなみにジルクニフはレイナースを通じて既にかなり前からエローナの相談を受けていたようで、冒険者組合や神殿と調整を行い、蘇生魔法に必要な黄金を確保するという名目で買取も行っている。

 地味にケラルトが、エローナのお陰で《死者復活(レイズデッド)》を使い放題になっていた。

 

 

 

 

 

 

 数日後の夜。

 人間牧場で臨月になってから既にしばらく経つレメディオスは、もういつ陣痛が始まってもおかしくない状態だった。

 身体も、赤子も、出産準備に入って大丈夫だ。

 レメディオスの出産は、カルカとケラルトも手伝うことにした。

 ふたりにとっては親友と姉であり、大切な人物だからこそ。

 準備ができたと呼びに来たエローナは、三人をシェルターの中に案内する。

 そこには、出産を介助するための道具や、赤子に使うための道具類、設備などが整っていた。

 中央のベッドにレメディオスを寝かせたエローナは、三人に見えるよう、台の上へポーションの瓶を置いた。

 カルカとケラルトへも向けて説明を始めた。

 

「これはノースティリスで製造されている媚薬よ。特定の人物へ好意を抱くと同時に、確率で乳と卵を生産する効果がある。元からの妊娠の有無は関係なくて、強制的にそうなるわ。出産後に生きていられる程度に子どもが育っていれば、卵と一緒に出産することになると思う。おそらく産むまで何本も飲むことになるわ。しかもこれらは所詮私の予測でしかないから、結果は出るまで分からない。本当に覚悟はできてる?」

「待ってください。乳はまだ分かりますが、卵とは……?」

「いやカルカ様。媚薬を飲んで乳が噴き出る時点で私は意味不明なのですが?」

 

 ツッコミをカルカに入れるケラルトが、媚薬をまじまじと見た。

 理解できない様子で目を白黒させていたレメディオスは、結論として媚薬を飲むことが己のするべきことだと判断したらしい。

 

「よく分からんが、それで産めるのだな? ならば構わん、やってくれ」

「じゃあ飲ませるから、抵抗しないでね」

 

 媚薬を手にしたエローナが、レメディオスの上半身を起こすと、ゆっくりと飲ませた。

 中身を嚥下し、とろんとした瞳になったレメディオスが、エローナの胸に身を預けた。

 

(なんだ……これは。身体が……熱い)

 

 朦朧とした意識の中で、レメディオスは助けを求めてエローナを見た。

 自らの視線が、肉欲を求める熱い眼差しに変貌するのを自覚する。

 瞬間、人間牧場で亜人と交わっていた魅了状態の自分の感情が、当時の生々しい情景を伴いフラッシュバックした。

 

「おえええええええ……!」

 

 口内に酸っぱいものがこみあげてきて、レメディオスは食べたばかりの朝食を、エローナの胸にぶちまけていた。

 エローナは表情を変えず、レメディオスのゲロゲロを受け入れた。

 

「手を握ってあげて。私なんかより、あなたたちがついていた方が、きっと嬉しいはずよ」

 

 一瞬でレメディオスのゲロゲロを回収したエローナに命じられ、カルカとケラルトは、レメディオスの手をそれぞれ握った。

 力加減など考えずに握り締められ、ケラルトの手がみしりと音を立てた。

 

「レメディオス、頑張って……!」

「姉様……耐えてください」

 

 泣き言など言っていられない。

 カルカが真剣な眼差しをしているし、一番苦しいのはレメディオス本人なのだ。

 ケラルトも骨ごと砕かれそうな手の痛みを堪え、元気づけようと励まし続ける。

 

「次、行くわよ」

 

 いやいやをするかのように顔を背けて飲むのを拒否しようとするレメディオスの顎を掴んで無理やり口を空けさせたエローナが、険しい表情でレメディオスに次の媚薬を強制的に飲ませた。

 レメディオスの視線が、吸い寄せられるようにエローナへ固定される。

 媚薬によるものだけではない、人間牧場にいた頃の魅了漬けの日々で刷り込まれた感情までが、蘇ってエローナへ向けられた。

 

(好き。違う。愛してる。違う。交尾したい。違う。交わりたい。違う。孕みたい。違う。皮剥ぎして欲しい。違う。違わない。私はずっと家畜だった)

 

 正気だったレメディオスの思考は、狂気に飲み込まれる。

 へらへら笑いながら、レメディオスはエローナに懇願した。

 

「皮を剥いでくれ……。もう新しい皮が張って随分時間が立っているぞ……。それに、最近全然亜人とまぐわっていないじゃないか。どの種族でもいいから、あてがってくれ。身体が空いている状態にしないでくれ……」

 

 無機質な視線のエローナが、壊れた笑みを浮かべるレメディオスを観察するように見下ろした。

 比喩でもなんでもなく怪物そのものであるかのような、感情が見えない冷えた眼差しだった。

 その瞳を美しいと、狂ったレメディオスは感じた。

 瞳だけではない。

 髪も、顔も、胸の形も、足の曲線も、腰の括れも、尻の形も、何もかもが美しい。

 今までの親しい友人よりも、レメディオスはもっと親しくなれそうに思った。

 だって、エローナはこんなにも美しいのだから。

 

「正気になれ」

 

 ユニコーンの角を突きつけられて、家畜に戻っていたレメディオスの心が返ってくる。

 

「ち、違う。今のは、私じゃない」

「分かってる。気を強く持ちなさい。三本目、行くわよ」

 

 レメディオスの意識が、また朦朧とする。

 三度目の熱い眼差しを向けた瞬間、レメディオスは歯と歯がぶつかる勢いでエローナに接吻をしようとした。

 本気で、舌まで絡ませ吸うつもりだった。

 しかし難なく手で防がれる。

 

「四本目」

 

 エローナの掌を陶然とした表情でべろべろ舐め、吸っていたレメディオスは、入れ替わりに差し出された媚薬の瓶の口に、躊躇いなく吸いついた。

 まるで母乳を吸う赤子のように飲む。

 喉の奥へ、媚薬の中身が滑り落ちていった。

 また、レメディオスはエローナから目を離せなくなった。

 恋の予感がした。

 

「五本目」

 

 恋の予感がした。

 

「六本目」

 

 恋の予感がした。

 

「七本目」

 

 恋の予感がした。

 愛の海に、心が沈んでいく。

 そこから先の本数を、レメディオスは覚えていない。

 朦朧となる意識の中、思う。

 

(……あ。何か、来る。胸と股間に、熱が集まって……溢れそうだ)

 

 必死に、エローナへ訴えた。

 

「今までと違う……! 助けてくれ! 怖い……!」

「やっと当たった。大丈夫よ、大丈夫。出すものを全部出したら楽になれるから。身体の力を抜いて」

 

 縋りついてくるレメディオスの自ら抱き寄せ、背中をとんとんと優しい手つきで叩きつつ、エローナはカルカとケラルトを呼んだ。

 

「カルカ。そこの甕を持ってこっちに来て、乳を受け止めて。たぶんすれすれいっぱいの量になるから、落とさないように。溢れるようだったら隣の予備を使って。ケラルトは卵に押し出されてくる子どもを取り上げて。卵は私が回収する」

「は、はい!」

「分かりました!」

 

 慌ててカルカとケラルトが動きはじめる中、完全にレメディオスは脱力し切ってエローナに身体を預けていた。

 まるで揺り籠に揺られているかのような安堵と幸福感に包まれ、そのまま昇天してしまいそうな心地良さだった。

 穏やかで大きな愛に包まれて微睡んでいるレメディオスは、夢現にエローナの声を聞いた。

 

「聞きなさい。あなたは今、私にかなりの親近感を覚えているはずよ。親友か、魂の友か。あるいは同性の壁を飛び越えて、愛情にまでその感情は到達しているかもしれない。でも、それは媚薬の効果によるもので、あなた自身の心の内から生じたものではない。惑わされないで。あなたの心と身体はあなただけのもの。他人に弄ばれていいはずがない。……だから私を許してはいけない。憎みなさい。恨みなさい。殺意を抱きなさい。その意識が、あなたを正気に繋ぎ止めてくれるから」

 

 レメディオスは、エローナに対して本当に申し訳なく思った。

 

(すまない。あなたを憎むなど、恨むなど。ましてや殺そうと思うなど。私にはできそうにない)

 

 だって、エローナはレメディオスに対して真摯過ぎたのだ。

 人間牧場での地獄の日々で、レメディオスにこれは愛情なのだと嘯いてくる女悪魔はたくさんいた。

 けれども今思えば、その扱いはどこからどう見ても結局皮剥ぎと交尾実験用の家畜に対するものでしかなくて。

 魅了によって歪まされた認識で、与えられる責め苦を全て、愛情だとレメディオスはずっと信じ、正気に戻される度裏切られ続けていた。

 だから、これほど優しくされたのは、始めてだったのだ。

 恋をした。

 自覚のある恋だった。

 歓喜と背徳感が、レメディオスの胸の内を駆け巡る。

 女同士だ。

 偽りの感情だ。

 もう別に、全部どうでもいい気がした。

 胸から乳が噴き出し、カルカが差し出した甕の中に溜まっていく光景を見た。

 痛みを感じて、それが陣痛だと自覚する前に、反射的にいきんでずるりと子どもが外に出た。

 陣痛から出産までの時間が早すぎるとか、そんな思考は考える前に赤子と一緒に出ていってしまった。

 赤子の鳴き声が聞こえる。

 ケラルトが取り上げてへその緒を処置し、急いで清め、おくるみに包んだ。

 遅れて出てきた卵を、宣言どおりエローナが回収する。

 

(終わった……のか)

 

 夢見心地のまま、レメディオスは己の腹に手を当てる。

 もう、膨らみはなかった。

 それが嬉しく、また悲しくもあった。

 

「……本来の効果とは逆に好感度を下げる媚薬も用意してある。それを使えば、また感情を操作することにはなるけれど、あなたの心を元に戻せるわ。自分の感情をコントロールできてないと思うから、今から使うわよ」

「……その前に、息子を抱かせてくれ」

「いいわよ。ケラルト。抱かせてあげて」

「分かりました。ほら、姉様。元気な赤ちゃんですよ」

 

 エローナに促され、ケラルトがおくるみごと赤子を手渡した。

 自然と、レメディオスは己の視線が優しくなり、口元が緩むのを自覚した。

 しわくちゃの顔で泣いている赤子は、獣身四足獣(ゾーオスティア)の血を色濃く引いていた。

 顔こそ辛うじて人間であるものの、首から下は完全に亜人で、赤子の時点で毛むくじゃらだ。

 下半身は肉食獣の四肢が生えていて、どうも種類は獅子のようだった。

 

「不細工なやつだな。だが、不思議と愛おしく感じる」

「姉様。おそらくそれは」

「分かっている。本来の私の感情ではないのだろう。これは、牧場にいた時と同じものだ。覚えがある。確かに私は、生まれる前のこの子を愛していた」

 

 レメディオスは別に、このままでもいいんじゃないかと思った。

 この子を、幸せにしたいと思ったのだ。

 亜人にしか見えない子でも、今なら愛せたのだ。

 

「頼む。私を、元に戻さないでくれ」

「聞けないわ。一度戻った後でもう一度その子を愛せるよう努力しなさい」

「無理だ。そんなのは。あなたも分かって言っているだろう。私は、亜人の子を愛せない」

「あなたの感情は関係ない。私は子のために言っている。……その子になったつもりで考えなさい。成長した後に、母親からの愛が偽物だと知らされる不幸を与えるつもり? 秘密にしても、絶対はないわ。どこかで必ず漏れる時が来る。あなたはこの子を愛せるように努力するしかないのよ。子の幸せを、母として心から願うのなら」

 

 その言葉は、すとんとレメディオスの胸に納まった。

 

「……そうか。そうだな。思えば私は、この子を愛していると口にしながら、自分のことしか考えていなかった。酷い母親だ」

「子を生んだばかりの母親初心者なんて皆そんなものよ。失敗を積み重ねながら、愛情の注ぎ方を覚えていくの」

「実感のありそうな言葉だな。経験談か?」

 

 舌打ちするエローナを見て、カルカが驚いた表情になる。

 口を挟もうとしたカルカは、空気を読んだケラルトに口を塞がれた。

 

「……喋り過ぎた。黙秘する。お喋りは終わり。元に戻すわよ」

 

 それ以降は有無を言わせず、エローナはレメディオスに飲ませた媚薬と同じ数だけ、呪われた媚薬を飲ませていった。

 抱いていた子への愛情が、平静に戻るにつれてエローナへの愛情と一緒に薄れていく。

 牧場にいた時の影響から脱して、代わりに湧き上がってくるのは、牧場での地獄の経験に起因した、我が子への強い嫌悪感。

 

(ああ。やはり、これが本来この子に抱く私の感情なのか)

 

 抱いている子がとても汚らわしいものに見えて、触れている自分の身体もそこから汚されていくように感じて、思わず放り捨てそうになった。

 いや、実際本気でレメディオスはそうしようとしていた。

 できなかったのは、エローナがそっとレメディオスの手を押さえたからだ。

 たおやかな繊手でありながら、その力は凄まじく、押さえられた腕はびくともしなかった。

 

「間違えるな。あなたの感情に関係なく、子は親からの愛情を求めるものよ。……その子を愛するのではなかったの?」

「そう、だな。確かに私は、この子を愛していた。記憶がある。生々しく。吐き気を催すほどに。愛する努力をするべきなのだな、今の私の、心で」

 

 気付けば、レメディオスは泣いていた。

 愛することのできない自分が、不甲斐なくて。

 どうしても我が子を好きになれない自分が、情けなくて。

 母親からの愛情を受けられない子が、あまりにも哀れで。

 

「すまない……今の私では、お前を愛してやれない」

 

 流れ落ちた雫が、赤子の頬を濡らした。

 

「大丈夫よ。そのうち愛せるようになるわ。だって、私たちがいるもの。ちょっと私にも抱かせてくださいね」

 

 カルカが、レメディオスから赤子を取り上げる。

 赤子の感触がなくなったことにほっとしたレメディオスは、まるで汚れを拭くかのように腕を擦った。

 その後名残惜し気に赤子へ視線を送り、そんな自分に気付かずにいる。

 

「名前はもう思いついた?」

 

 泣く赤子をあやすカルカから尋ねられ、レメディオスがきょとんとする。

 

「まさか名無しで育てるわけにもいかないでしょう。名前は母親が子に与えることのできる最初の愛の証ですよ。姉様が決めずに誰が決めるんですか」

 

 ケラルトが、呆けたレメディオスの脇腹を肘で小突く。

 

「そうか。名前か」

 

 今のレメディオスには、この子の母親として振る舞うことができない。

 でも、そんなレメディオスでも、与えられる愛の証があるのなら。

 与えてやりたい。

 そう思った。

 

「その子の名は──メディだ」

 

 告げられた名前は母親が子に贈る、最初の愛だった。

 

 

 

 

 

 

 遠くから聞こえてきた赤子の小さな泣き声で、アルシェはレメディオスの出産が成功したことを悟った。

 

「お姉さま?」

「どうしたの?」

 

 ベッドに横になったクーデリカとウレイリカに話しかけられ、アルシェは笑顔を浮かべる。

 ちなみにアルシェの両親の部屋は、この部屋とは別になった。

 父親とは確執があったから、正直エローナの気遣いは有難い。

 これ以上、両親には憎しみをぶつけるべきではないし、自分の感情を優先してクーデリカとウレイリカから両親と暮らす権利を奪うのも違うとアルシェは思うが、やはりすぐに歩み寄れるわけではない。

 時間が必要だった。

 心の痛みをアルシェは隠して、愛する自分の妹たちと接した。

 

「明日から、クーデとウレイの弟的な存在が小城に加わる。それが今、決まった」

 

 事情を良く知らなくても、それが喜ばしいことだとは伝わったようだ。

 ふたりで顔を見合わせた。

 

「そうなの? クーデリカお姉さまになるんだ」

「じゃあ、ウレイリカもお姉さまになる!」

 

 きゃっきゃと喜ぶと、今から何をしてあげようかな、好きな食べ物はなにかななど、ちょっと気の早いことをふたりで相談し始める。

 しかし子どもの興味は色々なものに移り変わっていくもの。

 姉ぶることに満足して、アルシェにおねだりを始めた。

 

「お姉さま、ご本読んで!」

「エローナさまが、本棚に新しい本を入れてくれたの!」

 

 ふたりは小城にいる間、エローナに色々構って貰っていたらしく、今ではすっかり敬称で呼んで慕うようになっていた。

 子どもに甘いエローナは、クーデリカとウレイリカが喜びそうなものを、アルシェも知らない間にどんどん部屋に増やしていく。

 ベッドの上でふたりが抱き締めているぬいぐるみもそうだし、ふたりが普段着ている子ども服も、寝る時に着ている夜着も、全てエローナが用意してくれたもの。

 ジャイムスたちフルト家の使用人も正式に雇ったし、ついにアルシェの両親まで小城に呼んで雇用してしまった。

 エローナ曰く、店主を雇って投資するようなものだと思えば、別に両親たちの散財は気にならないらしい。

 実際、エローナのために、父親は美術品や家具などを、母親は化粧品や服飾品などをさっそく帝国や他の国から取り寄せ始めている。

 少なくとももう父親は、ちょっとうざい以外は全くの無害になっていて、相当困らされていたアルシェとしては狐につままれたような気持ちになる。

 あと、母親がアルシェの服装を貴族らしく華美に飾り立てようとしてくるので地味に止めて欲しい。

 さすがに装備は死守したが、さっそく普段着にやたらと女っぽいフリルがひらひらした服が加えられた。

 どうやらワーカー時代に貧相な格好をしていたことを、密かに母親は気にしていて申し訳なく思っていたようだ。

 申し訳なく思っていたならせめて父親を止めて欲しかったとアルシェとしては思うのだが、まあ母親にはそれが難しいことだというのも分かる。

 事態を解決してくれたエローナには本当に頭が上がらない。

 

「どれどれ。じゃあ新しいのにしようか」

 

 本棚を物色したアルシェは適当に一冊選んで引っ張り出す。

 絵本だが文字の部分は魔法書と共通した言語で書かれているため、地味にアルシェにとっては勉強にもなるのだ。

 題名を読む。

 

『ノルンのガイド覚書(殺意)』

 

 変な絵本だなと思って作者の名前を見れば、エローナだった。

 どうやら手作りらしい。

 やたらと絵が上手いし文字も綺麗だし、装丁も凝っていて、プロの仕事にしか見えない。

 

(殺意ってどういうこと……?)

 

 不穏な題名に嫌な予感がしつつもクーデリカとウレイリカに見えるように広げ、読み始める。

 どうやらこの世界でいう、初心者冒険者への手引きのような内容が書かれているようだ。

 物を持つと重過ぎて行動し辛くなるよ的な、よく考えれば当たり前のことが、最初のページに書かれている。

 次のページには、魔法書を読む際の注意事項について書かれていた。

 魔法書を読むと予期しないアクシデントが起こるから注意しろ的なことが書かれている。

 

(これ、一番最初に私が読みたかった……)

 

 初めて魔法書を読んだ時に大体そのアクシデントをフルコースで味わったアルシェは、当時の苦労を思い返して遠い目になった。

 しかしとある一文を見て目が止まる。

 

『魔法書はできるだけ安全な家の中で読もう』

 

 二度見した。

 三度見した。

 殲滅し切る力がついてからなら間違っていないかもしれないが、初心者のうちにそんなことをしたら下手をすれば召喚されたモンスターに家を占拠されてしまう。

 シェルターで大乱闘になって死ぬところだった経験があるから断言できる。

 絶対に嘘だ。

 アルシェは確信した。

 途中でアルシェは絵本を読むのを止め、閉じた。

 

「別の絵本にする」

 

 よくよく考えたら、この本を読み聞かせるということは、クーデリカとウレイリカをエローナの故郷の冒険者になるように英才教育を施しているのと同然だという事実にも気付いた。

 絶対にやりたくない。

 エローナと同じような奇行を取り始めるクーデリカとウレイリカとか、想像するだけで嫌だ。

 

「ええー?」

「面白かったのに……」

 

 ほら、さっそくウレイリカが気に入ってしまっている。

 クーデリカも不満げだった。

 それでも新しい絵本が広げられると、あっという間にそちらへ興味が移っていくのは、ある意味子どもらしくて有難い。

 今度は子どもに悪影響が出なさそうな絵本を読み聞かせつつ、アルシェはくすりと笑った。

 カルカの部屋では、今頃どんな会話が繰り広げられているのだろうか。

 ちょっと気になるものの、せっかく再会できた、三人の水入らずの会話を邪魔するというのも野暮だろう。

 

(エローナもカルカもケラルトも、レメディオスも、皆お疲れ様。お父さまもお母さまも来たし、小城が騒がしくなりそう。明日からまた気を引き締めて頑張らないと)

 

 まだまだカルカの世界への日帰り時間旅行は始まったばかりなのだ。

 これから何が起きるか分からない。

 デミウルゴスを倒してしまったから、カルカの世界のナザリックと関係が悪化するのは避けられないだろう。

 見知った顔と本気の殺し合いにもなるかもしれない。

 でもあまり罪悪感が湧かず、むしろサクッとやれそうだと考えてしまうのは、やはりアルシェがワーカーで荒事になれていて、その辺の心の整理はとっくの昔についているからだろうか。

 それとも、聖王国と王国の惨状を、知ってしまったからだろうか。

 

(不思議。私の世界のアインズと敵対するのは、できるだけ避けたいと思ってきているのに。カルカの世界のアインズに対しては、むしろ当然だと考えてしまう。やっぱりこれも、いけないこと?)

 

 もしエローナに諭されたとしても、アルシェはそう簡単には頷けない気がする。

 自分に言えた義理ではないかもしれないことは、分かっているけれど。

 やはり奪った命に見合った報いはあってしかるべきだと思うのだ。

 ……アルシェが、再起不能になったヘッケラン、イミーナ、ロバーデイクを抱えているように。

 

(難しい。他人の罪を勝手に推し量って罰を与えるのが傲慢だというのも分かるし、相手をちゃんと理解しないままそれを行ったところで独りよがりにしかならないのも分かる。……逆説的に言えば、どういう人ならいいんだろう。その人のことを良く知っていて、その人のために心も砕いてきて、同じ罪を背負っている人とか? でも、アインズにそんな人いた?)

 

 絵本をクーデリカとウレイリカに読み聞かせながら考える。

 候補に当て嵌まりそうなのはナザリックにしかいなさそうな気がするが、ナザリックの者たちにアインズを断罪できる人などいるのだろうか?

 むしろ擁護しそうな人しかいない気がする。

 つらつら考え事をしていると、寝息がふたり分聞こえてきた。

 どうやらクーデリカとウレイリカが眠ったようだ。

 

(私も寝よう)

 

 絵本を本棚に戻し、アルシェも自分のベッドに潜り込み、明かりを消す。

 やがてふたり分の寝息は三人分に増え、静かに夜が更けていった。

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