校名合意至らず終了 大船渡・末崎中学校統合推進協 統合自体も一転「白紙」に

▲ 校名などの議論打ち切りで合意に至った協議会

 第14回大船渡・末崎地区学校統合推進協議会(会長・新沼眞作末崎地区公民館長、委員24人)は21日夜、市役所で行われた。前回に続き、大船渡中と末崎中を統合して新設する新中学校の校名を協議。末崎側からの「校名でお互いに歩み寄れず、〝握手〟は難しい」との考えをもとに意見を交わし、協議会として「統合は白紙」との結論に達した。市教委側では令和4年4月の統合実現に向けて協力を求めてきたが、一転して不透明な情勢となった。
 同協議会は、両地区の学校、公民館関係者らで構成し、新任期の委員では今月4日以来7回目の開催。委員21人に加え、学校関係者や市議によるオブザーバー、市教委職員らも出席した。
 新沼会長は、末崎側の意向を説明。これまでの考え方として「校名は『末崎』でも『大船渡』でもない新しい校名で、校歌、校章も『新しいもの』が望ましいとしてきた。しかし、すべて新しいものは難しく、校名を新しいものにしてもらえるならば、校歌、校章は大船渡中のものを使ってもいい」と語った。
 大船渡側が「大船渡」とする意向にも言及。そのうえで「ともに校名については、学校の顔ということで、譲歩は難しい状況。今後については、なかなか〝握手する〟ことは困難な状況にある考えに至った。苦渋の決断」と述べた。
 これに対し、小松伸也教育長は「突然の話で驚いている」と戸惑いをあらわにしながら発言。「他のPTAや生徒たちは、再来年4月の統合へ話を進めていると思っているのでは。ここで話し合いは中断となれば、いつ統合を行うのか。再考しては」などと問いかけ、状況によっては教委側からの統合協議に関する提案も示唆した。
 その後、委員一人一人が発言。大船渡側の出席者からは、校名は「大船渡」で、校章は末崎中のデザインを引き継ぎ、校歌は生徒らの意見や両校の歌詞を生かした楽曲を望む意見が続いた。

 末崎側では「(統合は)今ではないのでは」「どこまでいっても折り合いがつかないのでは。実は、保護者の中に末崎の中だけで『まだやれる』という声もある」などの声が寄せられた。
 一方、両地区の出席者から「統合はするものと思っていたので残念」「子どもたちのためにも統合はさせてあげたい」との思いも。

 さらに「話し合いに児童・生徒、保護者、教職員のことや一緒になった時の学校の様子、通学のことなどがあまり出ず、おかしいと思っていた」「(市教委の)学校統合推進室も、市内外の成功例などをふまえ、アドバイスしてほしかった」との指摘もあった。
 最後に、議長役を務める新沼会長が「学校統合については白紙とする」と進行し、異論は出ずに協議が終了。次回会議の予定も立てず、統合時期についても「(統合の)機運が出た時に、再び話し合う」となり、不透明な状況となった。
 大船渡、末崎両中学校の統合は、平成29年に市教育委員会が策定した市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画で提案。来年度までを期間とする前期での検討・実施を描いていた。
 以降、地域住民らが協議を重ね、現在の大船渡中、末崎中を閉校し、新たな学校を新設する「新設統合」で合意。校舎は大船渡中を活用する計画となっていた。同協議会は昨年6月に設けられ、主に校名のあり方などについて議論を交わしてきた。