逆転!! 戦艦ヤマトいまだ沈まず!!
第21章 ライナ星域会戦決着
ボラー連邦の主要軍需生産拠点であるライナ星系を破壊するべく開始されたクラック・アウト作戦は佳境を迎えつつあった
6つあるライナ星系の惑星のうちバムストーク、アルクリム、ゲムフロブスク、ジュラーウリクを破壊し残るはあと2つ
そのひとつ、第3惑星ベムグラードでは暗黒星団きっての智将とうたわれるミヨーズ大佐とボラー連邦軍総参謀長ゴルサコフの激しい戦いが繰り広げられていた
「司令、敵艦隊は壁面陣形を崩しません、また我々の挑発や陽動にもまったく乗る様子がありません」
「……気に入らんな、あくまで星を守ることだけを貫く気らしいがここまでかたくなだと面白くない」
暗黒星団帝国第1前衛艦隊司令ミヨーズ大佐は旗艦戦艦ガリアデスの艦橋でいらだたそうにつぶやいた。
現在ミヨーズ率いる第1艦隊は敵の第3惑星の防衛艦隊とわたりあっていたが敵の強固な陣形をいまだ崩せずにいた。
「敵艦隊いぜん動きません」
ミヨーズ大佐は艦隊を率いてこれまで様々な戦場、当然ボラー連邦とも何度も戦火を交えていたが今度の敵はこれまでとは違った。
これまでのボラーの艦隊ならばある程度誘いをかけてやれば突出してきて思うように操ってやることもできたが今度の敵はまったく誘いに乗らない。
ミヨーズは戦略を転換する必要があることを認めた。
「ボラーにもできる男がいたということか、仕方ない、こちらも頭を切り替えるか。全部隊急速後進、砲撃しつつ離脱せよ」
「えっ、それでは追撃を受ける危険性が」
「奴らは追ってはこんよ、来たとしたらそれはそれで考えはある。それよりもさっさと命令を遂行しろ」
「は、はっ!」
「ふん、まったく使えん部下だ」
ミヨーズは座席に深く腰を下ろすとやれやれとため息をついた。
一方、ボラー連邦ベムグラード防衛艦隊ではこの艦隊行動を見てゴルサコフ参謀長がいぶかしんでいた。
「あきらめたか……いや、ここまできた敵の執念からしてそれはない、ということは誘っているな……全艦そのまま待機、命令あるまで動くな」
「ゴルサコフ参謀長、各艦の艦長より追撃すべしとの意見具申がありますが」
「却下だ、我々がここを離れたすきに敵にベムグラードを攻撃されたらどうする。我々の使命はあくまでもベムグラードの死守である」
ゴルサコフは敵の一斉後退をなんらかの罠と読んでいた。
そうしているあいだにも暗黒星団の艦隊はどんどん後退していくが彼には追う気はまったく無かった。
そして約数十分後、ミヨーズの艦隊はベムグラードから大きく離れ、敵艦隊のレーダー範囲からも離脱していた。
「司令、第4殲滅艦隊司令ギルバート提督が出ました」
ガリアデスのメインスクリーンにミヨーズよりやや若めの面長の青年将校の姿が浮かび上がった。
「ギルバート、貴様に働いてもらうときが来た。準備はできているな?」
〔はっ、第4艦隊α砲搭載戦艦、旗艦ノーレラス以下50隻いつでも出発可能です。しかし敵艦隊を殲滅後が我らの仕事のはずではありませんでしたか?〕
「状況が変わった。敵も相当な頑固者でな、いくら釣りえさをたらしてやっても見向きもせん。いっそさおをかけたまま昼寝でもしてやろうかと思ったがさすがにそこまで時間がないのでな。釣り方を変えてみることにした、そこで貴官の出番というわけだ」
〔なるほど、喰い付いて来るのを待つのではなく直接糸と針を引っ掛けて引き上げようというのですか、先輩もギャング釣りとはまた荒っぽいことをなさる〕
このギルバート大佐は士官学校でのミヨーズの一期下でミヨーズが才覚を認めた数少ない男のひとりであった。
用兵の特徴としては特徴がないのが特徴というような可もなく不可もない、また欠点らしいものもない、何事においても隙のない敵にまわすと面倒な男だった。
「ギルバート、公の場でそう呼ぶなと何度も言ってあるだろう。貴様は俺にまだ一年坊主と呼ばれていたいか?」
ギルバートに欠点があるとしたらこの一言多い点だろう、それゆえ彼の友人はミヨーズをはじめ自然毒舌家ばかりであった。
ミヨーズは出来の悪い後輩に皮肉をつけると冷ややかな視線を送りつけた。
〔はは、勘弁してもらいましょう。以後気をつけますゆえ、それで私にどうせよと?〕
「うむ、それでは作戦を説明する」
〔…………〕
ギルバートはミヨーズの作戦の容量を一言一句聞き逃さずに素早く理解した。
その間わずか3分足らず。
〔了解いたしました。第4艦隊行動開始します〕
スクリーンからギルバートの姿が消えるとミヨーズも自身の艦隊に陣形の再編を命じた。
そしてそれから数分後、卓越した錬度で素早く命令された陣形を整えた第1第4艦隊は再びベムグラードへと進軍を開始した。
その姿はやがてゴルサコフの艦隊にも捉えられベムグラード防衛艦隊に再び緊張が走った。
「ゴルサコフ参謀長、先の敵艦隊の反応が再び出現しました。速度25宇宙ノット、しかし先ほどより艦数が50隻ほど増えています」
「別の艦隊と合流してきたようだな、しかし時間をおいたのは貴様らにとって有益なことばかりではなかったことを思い知らせてくれる。第16機動部隊へ連絡、敵艦隊と我が艦隊が交戦を始めたら敵艦隊の側面より奇襲をかけろとな」
ゴルサコフはミヨーズの艦隊が離れているあいだに呼び寄せておいた艦隊へ指令した。
この艦隊は先に第2第5艦隊、そして第8艦隊と交戦した空母艦隊で連続した戦闘で航空戦力はかなり疲弊していたがそれでもなお戦局を左右するのに充分な威力を有していた。
「全艦砲撃戦用意、敵艦隊が横合いから崩された瞬間に一斉攻撃をかけてこの戦いを終わらせるぞ!」
ゴルサコフの命で格納されていたボラー戦艦の収納式主砲が再びせり出してくる。
「敵艦隊、射程距離まであと0.25宇宙秒です」
「砲撃用意」
ボラー全戦艦の砲手がいっせいに身構える。
だが。
「これは……敵艦隊射程距離寸前で停止、止まりました」
「なに!? 奴らめ何を考えている」
ゴルサコフは敵将の意図を図りかねて叫んだ。
暗黒星団帝国の艦隊はボラー艦隊の射程距離寸前で停止してそれ以上向かってこない。
しかしそのとき。
「なんだ……参謀長、敵艦隊より高エネルギー反応、エネルギー砲のチャージかと思われます」
「なに!? いかん、全艦散開せよ。密集していたら全滅する!」
ゴルサコフはとっさに陣形を乱すのを覚悟で散開命令を下し、結果的にこれが彼の生命を救うこととなった。
「敵艦隊より超収束エネルギー反応、計5つ、来ます!!」
そのとき暗黒星団艦隊のほうより5つの真っ赤なエネルギー弾が放たれた。
射線上にいたボラー艦はなんとか逃れようとしたが間に合わなかった艦が十数隻飲み込まれた。
「な、なんだ今の兵器は?」
これこそ第4艦隊の切り札、暗黒星団帝国製の高粒子破壊砲α砲搭載型戦艦の威力であった。
ゴルサコフは戦いに大きな転機が来たことを悟った。
「おのれ、あれが敵の切り札か……作戦変更だ、第16機動部隊へ打電、ただちに全力攻撃を開始させよ。全艦前進、敵の砲艦を撃滅せよ!!」
「しかしそれではあの敵の超兵器の正面に突入することになります」
「いや、あれほどの威力の砲をそう連射はできまい。それに敵の砲にそれほどの威力があるなら最初から使っているはずだ、おそらく戦線が硬直したのにしびれを切らして投入したのだろう。ならば砲を搭載している艦そのものはさして強力ではないはずだ」
「り、了解、全艦全速前進!」
ボラー艦隊はそれまでの防御陣形を無視して最大戦速で暗黒星団艦隊へと突撃をかけた。
「ミヨーズ司令、ボラー艦隊が動き出しました。真っ直ぐにこちらへ向かってきます」
「ふん、ボラーの司令官もなかなか決断がはやいな……第1艦隊全艦をもってα砲搭載艦を防護せよ。第4艦隊は次発発射を急げ!」
ミヨーズはガリアデスを率いて艦隊の前面に躍り出た。
α砲搭載型戦艦はゴルサコフの読んだとおり必殺兵器たるα砲を搭載してはいるものの他の武装は貧弱で防御力もほとんどないという非常にもろい艦船だった。
これも通常艦船並の大きさにゴルバ級の主砲であるα砲を搭載しようとした無理からきたアンバランスではあったが、まともな戦闘力こみでα砲を搭載しようとすると通常艦船をはるかに越えた大型艦になってしまいコストパフォーマンスが非常に悪い艦になってしまうという難点からきたやむを得ない妥協案であった。
「敵艦接近!」
「全艦砲撃開始、撃ちまくれ!!」
暗黒星団艦隊はガリアデスから護衛艦にいたるまで全力砲撃を開始した。
「戦艦アーケロン大破、巡洋艦ルルド轟沈!!」
先ほどまでの相手を誘う二の足を踏んだ戦いとは違い壮烈な艦と艦とのつぶしあいが繰り広げられた。
「司令、左舷より敵の新たな艦隊が出現! 戦艦4、空母20、護衛艦多数!」
「ちっ、こんなときに、艦隊全艦は残りの艦載機を射出してなんとしてでも時間を稼げ!!」
円盤型戦闘機とイモ虫型戦闘機がスクランブル発進していく。
「司令、α砲第2波発射準備整ったそうです」
「よし、射線上の艦は退避せよ」
だがその動きはゴルサコフに見切られていた。
「敵艦が動いた、第2射が来るぞ、全艦散開、敵弾が過ぎた後に後方の砲艦を狙え!」
ボラー艦隊はいっせいに散り散りになって艦の間隔を広く取った。
「エネルギー極大化、来ます!!」
暗黒星団艦隊から真っ赤な閃光がボラー艦隊に向かって放たれた。
しかし今度は間隔をとっていたためにボラー艦隊の損害は数隻にとどまった。
「α砲失敗!!」
ミヨーズは即座にα砲の特性を見抜いて対策をとってきた敵将の能力に舌を巻いた。
「敵弾、砲艦に集中しています!」
「ちっ、α砲艦を後方に戻せ!」
「だめです間に合いません……α砲搭載艦ルバルカ撃沈されました」
たった5隻しかいないα砲搭載艦がやられたのは痛い、残るは4隻、もしこれを失えば第1第4艦隊に作戦遂行能力は無くなってしまう。
しかし敵が防御陣形を解いて接近してきたのは都合がよかった。
「全艦敵に前面を向けたまま右舷方向へ転進、敵の側面へ回りこめ」
暗黒星団帝国の艦艇は大小問わず円盤形式をしており小回りが利き、横滑りなどがしやすいという利点を持っている。
よって暗黒星団艦隊は現在の陣形をほぼ保ったまま、高速でボラー艦隊の左側面へと回りこんでいった。
「敵の左翼に一斉砲撃!」
対してボラー連邦の艦船はずんぐりとした葉巻型の船体に前方集中固定型の砲を持っているものが多数である。
これは多数で敵に砲火を集中して撃滅する戦術思想から出た方式であったがこれが今回はもろに裏目に出た。
前方に砲火を集中できるということは逆に言えばほかの方向に対して無防備となるということである。
しかもボラー艦はさして機動性は高くないため簡単に敵に前面を向けなおすこともできなかった。
「集中砲撃で切り崩せ」
必死で艦首を暗黒星団艦隊に向けようとしていたボラー戦艦が側面を撃ちぬかれて次々沈んでいく。
このまま撃ち続ければ敵の左翼はほぼ壊滅できるかと思われたが、戦艦の陰からやや小型のボラー艦にしてはややスマートな艦が現れた。
「これは!? 司令、敵艦隊より小型の熱源多数接近。ミサイルです!」
「ちっ、やはりスペースロック搭載艦を温存していたか、護衛艦を前進させろ、弾幕を張って迎撃するのだ」
スペースロックはボラーの小型自立誘導ミサイルで速射性が強く、ミサイルランチャーからそれこそ雨あられと飛び出してくる。
小回りの利かないことが弱点だったボラーがこれを解消するために近年投入し始めた兵器で油断すればそれこそ蜂の巣にされてしまう。
戦艦や巡洋艦はまだしもα砲艦がやられては一大事と護衛艦隊は敵の砲火にさらされるのを覚悟で前面に躍り出た。
そしてこの一時の混乱はゴルサコフに艦隊を立て直す貴重な時間を稼がせた。
「ゴルサコフ参謀長、敵艦隊混乱している模様です」
「今のうちに隊列を整えろ、機動部隊はなにをしている、艦載機が無くなったのなら空母ごと敵に突っ込めと言え、この後に及んで尻込みするような奴はかまわんから主砲を叩き込んでやれ!」
ゴルサコフの激が効いたのかボラー艦隊はどうにか致命的な損害を受ける前に回頭を終了した。
それに応じて艦載機が尽きて攻撃を渋っていた第16機動艦隊も前進を開始した。
こんどは暗黒星団艦隊がボラーの2艦隊によって押される形となった。
「ミヨーズ司令、敵の別働隊が急接近してきます!」
「まったく……艦載機を失ったのだからおとなしくしておればいいものを、護衛艦を除く全艦は横列陣形を組め、護衛艦部隊はα砲艦を守りつつ少しでも敵惑星に接近せよ」
どのみちこの戦いは仮に艦隊が全滅しようと戦略目標である敵惑星を破壊できれば勝ちだ。
しかしそのときレーダー手が驚くべき報告をしてきた。
「あっこれは!? 司令、敵艦隊後方に新たな艦隊反応、艦載機反応多数、空母艦隊と思われます!」
「なにっ!? 敵にはまだ余力があったのか、まずい、ここで後方のα砲艦を狙われたら守りきれん」
ミヨーズは歯軋りしたが今の戦力ではボラーの正面攻撃を受け止めているのだけで精一杯でとてもほかのアクションを起こす余裕などなかった。
最悪のビジョンが誰の頭にも浮かんだとき、通信席の受信ランプが突然輝いた。
「はっ……こちら第1艦隊旗艦ガリアデス……えっ、あっはい! 司令!」
「どうした!?」
「ええ……うん……メインに回します、とにかく聞いてください!」
そして雑音が収まった後から聞こえてきたのはこれまた驚くべき内容だった。
〔こちら地球防衛軍第5艦隊、これより貴艦隊を援護します〕
なんと後方に現れたのは敵ではなく友軍であった。
これは先に第2惑星アルクリムを攻撃していた大久保隼人大佐率いる第5艦隊の残存戦力が第1第4艦隊の不利を知って駆けつけてきたのだ。
「地球軍だと!?」
まさかこんな場面で地球軍が援軍に来るとは予測していなかったミヨーズはさすがに驚いた。
第5艦隊は敵の後列に攻撃を開始し、敵の隊列が乱れ始めている。
そしてさらにその後方からルーギス大佐の第2艦隊が加勢に現れるにいたって挟撃態勢に置かれることになったボラー艦隊の命運は完全に定まった。
その数時間後、補給要塞基地に帰頭したミヨーズは撤退のためのワープ準備に追われていた。
戦闘はあの後援軍の登場によって圧倒的優位に立った暗黒星団軍の勝利というかたちで一応集結した。
ボラーは必死になってα砲艦をつぶそうと犠牲を省みない突撃を慣行して結果α砲艦は旗艦ノーレラス以外の全艦が撃沈されることとなった。
そのときの両艦隊の零距離砲撃戦や地球軍の加藤、坂本ら撃墜王の活躍は見るものが見ればこの上ないショーであっただろうがその分艦隊は6割という大損害を許容させることとなっていた。
しかしその代償に放たれたα砲は第3惑星ベムグラードを宇宙から抹殺した。
それからは単純なものでそれぞれ戦略目標を喪失と達成という違いこそあれ失った両軍はまるで示し合わせたように軍を引いていった。
ミヨーズとしてはここまで自分を苦しめた敵の旗艦を討ち取れなかったのは残念ではあったが無為にとどまって寿命を縮める気まではまったくなかった。
「閣下、損傷艦艇の基地への収容終わりました。あと5分でワープ可能です」
部下の報告にミヨーズは軽くうなづいた。
「サーグラス准将閣下の艦隊は?」
「はっ、ボラーの大艦隊と依然交戦中、グロデーズ級2隻を失うも敵艦船およそ100隻を撃沈破したそうです」
「さすがはサーグラス准将というべきか、しかしそろそろ限界だろう。我々が消えねばさらに准将に負担をかける結果になってしまう」
すでに要塞基地には任務を果たした艦隊が随時戻ってきている。
全滅した第6艦隊はともかく他の部隊は燦燦たるありさまになってもよろめきながら戻ってきた。
第6惑星ベルローシを攻撃しに向かっていた第9艦隊は任務達成後サーグラス准将の援護に向かって別方向よりボラー艦隊を攻撃中である。
すでに戦略目標を達成した以上このライナ星系に用は無い、補給要塞基地は準備ができしだいワープして消え、他の艦隊もそれに続いた。
この戦いの詳細はその翌日帰還した艦隊によって暗黒星団帝国母星デザリアムに伝えられた。
「聖総統閣下、クラック・アウト作戦はほぼ成功、ライナ星系の惑星はすべて破壊しました」
「ほう、それはなによりの朗報」
「ですが、我が帝国の艦隊もほぼ壊滅状態です」
この戦いでは暗黒星団帝国は地球との連合艦隊を合わせて850隻の戦闘艦を投入、最終的な損害は以下のとおりである。
第1前衛艦隊、残存105隻
第2前衛艦隊、同23隻
第3前衛艦隊、同38隻
第4殲滅艦隊、同20隻
第5殲滅艦隊、同22隻
第6殲滅艦隊、全隻未帰還
第7蹂躙艦隊、ゴルバ型要塞1基喪失、残存要塞2基、艦艇10隻
第8蹂躙艦隊、残存3隻
第9蹂躙艦隊、同18隻
残ったのは合わせて241隻、作戦開始時の850隻のわずかに28%にしかならない。
しかもこれはあくまで撃沈されたものであり、大破、中小破、要修理を有するものまで加えたら実働数は1割を切る。
人員の損害も無視できない。
全艦隊の乗組員9万人のうち生存者は約1万5千名。当然負傷者を含んでである。
指揮官は第6艦隊司令桂大佐が戦死確定、第3艦隊のクーギス大佐も帰還後に戦傷がもとで翌日死亡した。
対してボラー連邦側は各惑星の守備艦隊こそ壊滅したもののまだ本国の主力艦隊と各星系の駐留艦隊は健在。
資源補給や生産設備もかなりの打撃を受けたとはいえまだ他の星系にも存在していた。
クラック・アウト作戦はその作戦目標を達成したものの帝国にも一朝一夕には消えない傷を刻み込んだ。
その後、帝国と地球はボラーの激烈な報復攻撃を予想したが、幸か不幸かその予測はこの1月後に裏切られることとなった。
第21章 完