母はワクチン接種後に死去 NHKがすり替えた本当の「遺族の声」は
NHKの「ニュースウオッチ9」が、新型コロナウイルスのワクチン接種後に家族を亡くした3人の遺族を、コロナ感染で亡くした遺族かのように報道した問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会(小町谷育子委員長)が「放送倫理違反」との意見書を公表した。この3人の遺族のうち、大阪市在住の佐藤かおりさん(47)が朝日新聞の取材に応じ、BPOに対して「双方の意見を聞いて、まとめて公表して終わり、と見える」、直接の謝罪を求めているというNHKには「誰のために謝りたいのでしょうか」と現在の心境を語った。
5月15日の「ニュースウオッチ9」のエンディングでは、コロナの感染症法上の分類が5類に引き下げられて1週間が経ったことに合わせて「戻りつつある日常 それぞれの思い」のテロップを映し、コロナを巡る人々の思いを紹介するVTRが流れた。ワクチン接種後に死亡した人の遺族の団体「繫(つな)ぐ会」から男女3人が出演し、まず女性と男性が一人ずつ「一体コロナってなんやったんやろって思いますね」「5類になった途端にその……コロナが消えるわけじゃないじゃないですか。それは風化させることはしたくないなあと」と語った。
この発言に続いて取り上げられたのが、佐藤さん。「遺族の人たちの声を、実際に届けて頂きたいと思います」。
しかし、VTRではこの3人がワクチン接種後に死去した家族の遺族だとの紹介は一切なく、それぞれ「夫を亡くした」女性、「父を亡くした」男性、そして「母を亡くした佐藤かおりさん」とのテロップがつけられた。コロナワクチン接種後の死ではなく、コロナ感染症の死による遺族にしか受け取れない構成だった。
今月5日、BPOが意見書を公表した。取材担当者や上司が「(遺族3人を)広い意味でコロナ禍で亡くなった人の遺族に変わりない」と判断したこと、取材担当者が取材経験に乏しかったこと、取材担当者は佐藤さんらのインタビュー時までにはワクチン問題を取り上げないと決めていたこと、インタビュー収録時に「5類移行後もコロナ禍を忘れないようにという企画」「ワクチン問題は扱わない」と説明したと主張していること、その主張は取材を受けた3人ら「繫ぐ会」の関係者らとは大きく認識が食い違っていることなどが明らかになった。
本音は「はぁ?何言ってんの?アホちゃう?」
BPOの意見公表があった日…
- 後藤洋平
- 編集委員|ファッション・メディア・文化担当
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