本日、大阪地方裁判所で開かれたHPVワクチン訴訟は原告本人尋問の第一クール最終日。前回、傍聴取材した東京地裁での本人尋問における反対尋問と同様に原告のカルテに衝撃的な内容が多々ありました。傍聴レポートから閉廷後の会見まで順を追って記述していきます #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟

Sep 19, 2024 · 1:48 PM UTC

午前9時、大阪地方裁判所正面入り口には原告の支援者が集結し、裁判所へ入る原告団を拍手で見送る。大法廷脇の廊下には60席の傍聴券を求めて約100人が並んだ。 私は当選し傍聴できることに。この日は10時から17時まで休憩をはさみ原告の女性3人の本人尋問(主尋問&反対尋問)が行われた。 #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟
原告20番の本人尋問 まずは原告代理人による主尋問。原告代理人と原告のやり取りから ・身体を動かすのが好き、小学生の時にバトミントン実業団ジュニアでプロを目指していた ・バリ島旅行で貧困層を見て将来助けたいと思う ・小6で右目が見えづらくなり、視界の一部がキラキラ、片頭痛。中学ではバスケ部に ・中1の8月から2月にかけてガーダシルを3回接種。3回目接種後の中1に2月、頭をハンマーで殴られるような頭痛、生理痛、筋肉痛、腰痛、腹痛、生理不順が発症し、高校で記憶障害や睡眠障害 ・中2の春に右足ふくらはぎ筋肉の痛み、引き剥がされるような痛み ・中2の秋に尾てい骨痛 ・中3、屋外で光がまぶしく(羞明)、腹痛 ・高1の11月に父親がテレビ報道を観て時期と症状が一致するとして子宮頸がんの副反応と発言 ・伊勢赤十字病院の問診フォームに「高2で成績下がり下位クラスへ」「新クラスに馴染めず独りで弁当」身体の不調からクラス女子と馴染めず ・高2でセブ島へ短期留学時は常備薬を持参 ・呼吸困難で入院、病室で勉強。家族が心配。原告「母の泣く声を漏れ聴いて、こんな症状のせいで申し訳ない」 #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟
つづいてMSD代理人による反対尋問、原告の医療記録(カルテ)から指摘や質問を重ねていく ~接種前~ ・小6時のカルテに『睡眠中に頭痛で転げまわった』 ・救命病院のカルテに『目の焦点が合わない。ぼやける。物が二重に見えることがある。白っぽく見える。歩けないほどの頭痛』 ~接種後~ ・中2時のカルテに『小さい頃から腰痛』『1か月前から尾てい骨が痛い』 →MSD代理人は「ふくらはぎの痛みを訴えていない」と指摘 ・中3時のカルテに『体育ランニングで腰痛』 →MSD代理人は「ふくらはぎ痛の記述がない」と指摘 ・中3の5月、沖縄に修学旅行 ・高1の11月、伊勢赤十字病院のリュウマチ膠原病科の大西医師が初診でワクチンの副反応と診断。MSD代理人からどう感じたかと訊かれた原告「思いもしなかったので驚いた。問診フォームを見てそうだと思った、やっと治療を受けられるとホッとした」 ・伊勢赤十字病院に検査入院、神経内科で『片頭痛を基礎にした機能性障害』『器質性疾患とは言い難い』と診断。診断内容に訊かれた原告「覚えていない」 ・後日、同病院の消化器内科のカルテに『症状に変化が強く器質性疾患より機能性疾患の方が高い』 この説明に記憶があるか訊かれた原告「覚えていない」 ・行っていたアルバイトの仕事内容を訊かれ「おしぼりの仕事」MSD代理人は「基本、立ち仕事ですね」と指摘。 #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟
午後は原告25番の本人尋問から 原告代理人による主尋問 原告代理人と原告とのやり取りから ・小学校では活発、健康、病院に行くのは風邪の時くらい ・中3の8月と9月、高1の4月にサーバリックス接種 ・1回目接種後に腕の痛みと腫れ、腹痛、激しい足の痛み ・2回目接種後に足首の痛みと腫れ(杖 松葉杖)、ハンマーで殴られたような酷い頭痛、極度の疲労感、意識喪失、生理不順 ・3回目接種後に視覚味覚聴覚障害、立ち眩み、倦怠感、疲労感の悪化、睡眠障害、文字の認識ができなくなる認知障害。認知機能低下により成績急落 ・大学入学後、歩行障害、脱毛、認知症状。退学 ・胆嚢炎の発作 ・3回目のサーバリックス接種後、教室の壁が霞んで見えた。認知機能低下によって成績下がったが両親には信じてもらえないと思い、話せなかった ・通信制高校に進学。まぶしくてサングラス、音がうるさく感じた。大学でも理解力が低下し退学。胆嚢摘出手術後も下腹部の痛み治らず ――原告代理人「カルテには学校友人関係の悩みが書かれていますが」 原告「たいしたことなかった」 ・原告代理人からカルテに『ストレスが原因』と記載があることを訊かれた原告「医者から訊かれたから。人間関係から悪化ない」 ・家族仲や家族との関係について訊かれた原告「家族みんなでショッピングモールへ」「USJやディズニーランド、父方の祖父母にところに遊びに」「家族は仲良い方」 ※原告代理人が原告のカルテの内容に言及する場面は、これまでの本人尋問の主尋問の中ではなかったと思う #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟
・GSK代理人による原告25番の女性への反対尋問 ※前回、傍聴取材を行った東京地裁での3番目の原告の反対尋問の内容は衝撃的だったが、この日の25番原告女性への反対尋問で示された内容にはそれ以上の衝撃を受けた GSK代理人が原告の医療記録(カルテ)などから家庭や学校での原告が置かれた状況を指摘していく ~接種前~ ・小3(8歳)時のカルテに『腹痛、白色便』『小1から意識消失』との記載、GSK代理人から記憶があるか訊かれた原告は「ありません」と返答。脳波検査のカルテには『学校ランドセル重く低身長」『たちくらみ』『激し『腹痛』と記載 ・小4時のカルテに『めまい、立ち眩み、耳鳴り』『学校生活に疲れた』等の記述があることを訊かれた原告は「気にしていなかった」「母が心配性」と返答 ・小4時のカルテに『頭痛』『ふらつき』『浮遊感』耳鼻科のカルテに『心因性要素が大きい』との記述。原告は「記憶ない」と返答 ・カルテに母の言葉『小4は体調悪くあまり学校に行けなかった』 ・小5時のカルテに『腹痛と吐き気』『側頭部と後頭部頭痛』『家にいる時、胸の痛み』『過呼吸の症状』の記述 ・カルテに家庭環境について『母に離婚勧めていた』『夫婦仲』『父が母に暴力』『回し蹴り』との記述。GSK代理人から覚えているか訊かれた原告は「曖昧な感じ」と返答 ・父親から手を上げられた記憶について訊かれた原告は「覚えない、関心ない」と返答 ※この「関心ない」との返答には、かなりの違和感を覚えた。 ・カルテに『夫婦仲が悪い』『父親が消費者金融から借金』『浮気』との記述があることについて訊かれた原告は「覚えてない」「借金は知らない」と返答 ・小5時に、原告の父親が脳腫瘍に罹患したことを指摘するGSK代理人。原告は「生まれる前」と否定 ・カルテに『母親が幼少期に過酷な虐待を受けていた、子どもにしてしまわないか心配していた』との記述。原告は「聞いたことある」と認める ・カルテに母親についての記述が『感情的に怒ってしまう』『カステラを包丁でバン!バン!と切って(娘の)目が点に』『子ども虐待』『弟、可愛いと思えず』『子どもが死んだらと考える』とあり、母親の『精神的不安定』について訊かれた原告は「感じることがなかった」「隠していたと思う」と否定 ・カルテに『学校崩壊』についての記述があることを指摘したGSK代理人が原告自身にイジメの被害があったかを確認。原告は「それはなかった」と否定。GSK代理人はカルテに『(原告の)名札が窓から捨てられていた』との記述があったことを指摘 ・母親が娘についての学校アンケートに『死にたいと思っていた』と答えていたことを指摘するGSK代理人に、原告は「自殺を決行したいのではなく、現実逃避の時期、勉強、塾、感覚で『死にたい』と言った」と返答 ・カルテに『怖い夢を見る』とあり『母が斧で~』との記述もあることが指摘されたが原告は「覚えていない」と否定 ・小6時の大阪母子センターのカルテに『クラス、学級崩壊していた』『級友のことでしんどかった』との記述があることについて原告は「覚えていない」 ・小6時のカルテに『身体化しやすさあり』『身体化症状、ストレス』との記述あり ・進学した公立中学校も荒れていたことが指摘された。中1の6月の大阪母子医療センターのカルテに『友人とのトラブル』『蕁麻疹』『頭痛』と記述があることについて、原告は「トラブルとは話していない。母親は心配性。イジメと心配して受信時に喋ってしまう」と説明。カルテには母親の言葉として『2学期から勉強しなくなった』 ・GSK代理人から、中1時のカルテに『物忘れ訴えていた』との記述があるにもかかわらず原告側が提出した陳述書にはその旨の記述がないことを指摘された原告は「物忘れがあったわけではない」と返答。なぜカルテにそのような記述があったのか、その理由を訊かれた原告は「医師の質問に答えるのが面倒、話を合わせただけ」と説明。「症状を病院が誤解したまま診療される不安はなかったのか」との質問に原告は「なかった」と即答 ・中1時の母子医療センター心理検査報告書に『対人緊張』『物忘れ』『被害妄想』との記述 ※ここで原告代理人から、「カルテを示さず質問するのは誤導」「カルテを示して質問してほしい」「誤導がある」と指摘が入る。その際なぜか原告代理人からこんな発言があった。 「傍聴席に被告代理人の質問をそのままアピールする人もおられるので」 これは誰のことを言っているのだろうか。もし仮に前回の傍聴取材時のレポートや記事を書いた私のことを指し示しているのだとすると、失当である。私は自分の見解や感想も適宜挟んではいるが、事実や客観性に基づいて法廷や会見で見聞きしたことを書いており、このような指摘が仮に私に対してなされたとすると、残念でならない。 反対尋問が再開される。 ・医師へ嘘を吐いた理由を訊かれた原告は「母の思い込みなのに面倒くさくて嘘を吐いて話した」と返答 ・中2時のカルテに『嫌な生徒と変な生徒がいた』『後ろから蹴り』との記述。『両親に再び離婚の話が出た』と指摘された原告は「思い出せない」と返答。カルテには22年7月の母親の発言『今は離婚の話をしているところ』も記述 ・中2の7月に父親が交通事故に遭い全身打撲 ・中3時のカルテに『腹痛続く』との記述。7月12日のカルテに『唇荒れ』19日のカルテに『身体ふらつき』『昼と夜は食べられるが朝は食べられない』 ~接種後~ ・カルテに『倦怠感』『午前中調子悪い』との記述。8月31日に『起立性調節障害』の診断を受けていたことをGSK代理人から「覚えていますか?」と訊かれた原告は「事実です」と回答 原告代理人から異議が入るが裁判長は棄却。 ・GSK代理人は原告の弟が同じように診断されていたことを指摘。原告は「今日知った」と返答。原告の弟は学校や家庭でのストレスによって『起立性調節障害』と診断され、6歳から11歳の間に投薬治療を受けていたことが示された ・中3時のカルテの記述『なりたくなかった人と同じクラスに』『同じクラスの子、好きではない』について原告は『一部いただけ』と説明 ・高1の5月のカルテに『父に怒られ』と記述があることを指摘したGSK代理人は「殴られたのですか?」と確認。原告は「殴られていない」と否定。だが、カルテには母親の言葉として『父親が娘を数十分に渡って追い回し殴ったり蹴ったり』と記述されていることが指摘された。原告は「父とは仲が良い。暴力は一切受けたことない」と頑なに否定。だがカルテにはその後、母親が目撃した娘の異変が記述されていることが示された。『自宅の壁に「お前が悪い。出ていけ。お前がいるから」』カルテに母親の言葉『ついに限界が来た』 ・高1の8月のカルテに『英語科の研修旅行』『大勢の人の前でスピーチ』『周囲の視線』との記述の他『「できないならやめておけばいいのに」』と言われたとの記述もあることから、GSK代理人が確認すると原告は「言われた覚えない」と否定 ・精神科のカルテに記載された母親の言葉『こういうことになった原因』『目の前が真っ白に』『人が怖いと言うように』について原告は「事実と違うことが書かれている」「認識は違う」「私は言ってない」と否定 ・8月30日のカルテに『教室にいると気分悪く過呼吸に』『後ろから物投げられる』『教室に入るのしんどい』との記述があることについてGSK代理人が「研修旅行前から?」と訊くと原告は「接種後」と否定 ・原告は9月に高校へ退学届けを出し、10月に退学した ・10月9日の心療内科精神科のカルテに『不安障害』『身体症状』『鬱』『不安障害』『EMDR』との記述 ※:EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する心理療法 ・GSK代理人が陳述書に『高校と大学の退学理由は対人緊張が強く退学』『人と接するのがストレス、人と会うのが苦痛』との記述があることを指摘 ・2015年 1月27日のカルテに『適応障害』との記述 ・GSK代理人は大学1年の時に原告が向精神薬を処方されていたことを指摘 ・GSK代理人は『(原告の)父親が不倫し相手から訴えられていた』『父親が母親の首を絞め原告が警察を呼んだ』と指摘、原告に確認した。原告は「胸倉つかんでいた。警察を呼ぶよう母に言われ、収まらないから」と返答 ・2017年4月に母親から父親に家庭裁判所で離婚調停を申し立てていたことが示された ・原告が何年も医療機関に行っていないことを指摘するGSK代理人 ――最後は? 原告「何年も前」 ――行かなくなった理由は? 原告「あまり先生が症状に積極的ではないと思った」「これといった治療法がない」 再主尋問で原告代理人は、反対尋問で指摘のあった斜視について確認。原告は「学校の休み時間に野球のボールが当たり斜視になった」と説明 ※この原告女性に関しては、反対尋問で示された内容が痛々し過ぎた。敢えて私見を挟むが、彼女に必要なケアはこんな裁判ではない筈だ。彼女の不調をもたらした原因は家庭内や学校などにあるにもかかわらず、それを「HPVワクチンによる薬害」に転嫁している印象を持った。薬害を主張している限り、原因は家庭の中にあるのではなく、HPVワクチンという外部からもたらされたものになるからだ #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟 #子宮頸がんワクチン
続いて原告9番の女性の尋問 原告代理人の主尋問で示された内容は以下 ・小学生の時から明るく活発 ・中学1年で弓道部に入り県の大会で5位入賞 中1の9月、12月、3月にサーバリックス接種。 1回目接種後、左腕の腫れ、腕が上がらない状態が1週間続く。痺れ残る。顎の痛み 2回目の接種後、同様症状、頭痛吐き気、顎の痛みで食事困難。腕の痛み「打ちたくない」 3回目の接種後、左右差が判るほどの腕の腫れと痛み、腕が上がらない状態が1か月以上続く。頭痛、微熱、吐き気 ・中2時、だるさ、微熱、吐き気、酷い頭痛で弓道部退部。保健室で過ごすこと増えた。集中力・記憶力低下で成績下がる。味覚障害も。「朝起きれず」「味覚異常」「授業判らず」 ・中3「身体重だるく」「朝起きれない」「眼にも光がまぶしくなった。靄がかかった状態」羞明/視覚障害、右半身の脱力感・違和感から階段で躓く。激しい腹痛、右足裏の激痛、右手の振戦。「ワクチン打つ前の頭痛とは違う。目の奥がえぐられるような痛み」 ・愛媛大学病院で医師から「演技をするんじゃない」「子離れできない」と言われる ・高校進学後に記憶力低下「硬膜外気体注入療法」「バッティングセンター行けた」「やめたのは脊髄に注射が怖く」 ・高2時、歩行困難、脱力発作、易疲労感、下肢痛、頭痛、微熱。通信制高校へ転校 ・推薦で大学進学。身体のだるさ、記憶障害「少し楽に」「休みがち」4年で卒業、卒業後し結婚し九州へ。就活しなかった。 ・2022年4月妊娠、流産。産婦人科検診で中等度異形成から高度異形成、経過観察中。妊娠、9月女児出産。夫のサポートが不十分で離婚。四国で親と生活。帝京大溝ノ口病院の平井医師の下に通う「副反応診断してもらえないので」 ・PMDAの医療費・医療手当支給が決定されている GSK代理人の反対尋問 ・まずGSK代理人は、原告が結婚後に受診しているのは帝京大溝ノ口病院の平井医師のみだが、この2年間は平井医師の診察も受けていないことを確認 ~接種前~ ・小3時の眼科のカルテに『筋力低下』『ヒステリー』『心因性視力障害』との診断歴があることを訊かれた原告は「覚えていない」「言われたことない」「母では?」と返答 ・小5時の脳外科のカルテに『よく頭痛訴える』『内服しても頭痛』『ここ数日、頭痛が続く』との記述があることについて原告は「覚えていない」 ~接種後~ ・サーバリックスの1回目接種後に「左腕上がらなかった」こと、2枚目接種には「さらに痛みとしびれ」があり、2回目から3回目の間に「左腕が痛くて上がらない」との症状があったことを確認するGSK代理人。その上で、中学1年生の時に弓道部の大会で5位に入賞した時期について大会自体が「出初式」だったことから中学1年の1月に入賞したのではと指摘した ――大会で入賞したのはワクチン接種の前か後か? 原告「覚えていない」 ――2回目と3回目の接種の間の大会で入賞したのでは? 原告「覚えていない」 ・中2の6月のカルテに『押されて机の角で頭を打った』との記述があり、『6月14日から19日まで頭部打撲で5日間入院』していたことをGSK代理人から訊かれた原告は「覚えていない」 ・GSK代理人は原告が中学2年の10月にアメリカへホームステイしていたことを指摘 ・準備書面に『認知機能障害』とあることについて原告は「家庭教師が言ってくれた」 ――大きな病院を受診した? 原告「覚えていない」 ・中3の11月のカルテに『腹痛』『我慢の限界』と記載 ・GSK代理人は原告が高校に提出した健康管理表や千葉の診療所のカルテに『池田先生から紹介』との記述がることを指摘 ――池田利恵氏(日野市議/全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会事務局長)のこと? 原告「分からない」 ――全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会への連絡は? 原告「私がしているわけではない」「中3の頃、私がいろいろ調べたところ気付いた」 ・『血液浄化』『ステロイド点滴治療』について訊かれた原告は「受けていない」と否定 ・GSK代理人は原告が四国から東京周辺の医療機関に通う際、飛行機で上京し、一泊して最終便の飛行機で四国へ戻っていたことを指摘 ・2016年1月のカルテに『バッティングセンターで200球打った』と記述されていることについて訊かれた原告は「治療で軽くなっていた」と説明 ・カルテに『1月2日にコンサート行った』との記述があることを訊かれた原告は「ジャニーズ、関ジャニ8の福岡公演」に行ったが「コンサート中、体調悪く」なったと説明 ・高2の冬に原告が『ボーリングできた』ことについて訊かれが原告は「その日はボーリングできる体調だった」と説明 ・2015年 O²ルーム酸素カプセル ・GSK代理人は原告が高3の夏に沖縄へ3泊4日の旅行へ行けたことも指摘 ・高3の時に運転免許を取得していたことについて訊かれた原告は「10月に4回受けた」と返答 ・GSK代理人は原告が大学進学後にマンションで独り暮らしをしており、車を運転して大学に通っていたことを確認。原告が大学1年の時に「スケボーサークルを作った」とこについて質問すると原告は「友人が作った」と返答 ・GSK代理人は原告が従事したアルバイトについて質問。原告は「接客業とか」「下着屋」と返答、飲食業は?との質問に「焼き鳥屋」と返答 ・GSK代理人は原告の中学の時の保健室利用資料が中1だけないことを指摘、中2と中3の保健室利用資料の指導要領の『成長に関わる報告』に「人間関係のストレス、精神的に不安定」との記述があることを指摘した 裁判官からは原告が中学2年生の時の入院歴の原告の記憶についての質問があった ――友だちに押されて頭を打って入院したことについて、全く記憶自体が残っていないのか 原告「覚えていません」 ――忘れたのか病的理由で忘れているのか 「その後いろんな病院に行ったので覚えていない」 ――病的に覚えていないわけではない? 「はい」 #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟 #子宮頸がんワクチン
閉廷後、大阪地裁内の司法記者クラブの会見室において原告代理人、GSK代理人、MSD代理人の順番で会見が行われた。 最初に原告弁護団と原告20番の女性が会見 会見場の記者席には司法記者クラブの記者が7人、原告を支援する立場から取材を続ける元朝日新聞の高波淳氏、そして私の9人。 原告20番女性の代理人 ・高校に入っても新しい症状が出てきた ・テレビ番組を父親が見て同じ症状ではないかと 原告20番の女性本人「緊張したが症状辛かったが夢を諦めることになったことを自分の言葉で伝えられた」 原告25番女性の代理人 ・接種前は各種習い事したり外で元気に遊ぶ子 ・接種後は各種症状、認知機能の障害が大きく ・反対尋問では心因性で腹痛の症状が出たのではと訊かれた。小学生から腹痛はあったが心因性ではないかということで医師からいろいろ訊かれたことでカルテに書かれてしまったが、その後の検査で心因性ではなくはっきり胆嚢の○○が画像で映っており心因性ではなかったと判った。被告からいろいろと言われているが、結局そういうことではないと。高校に進学した後とか精神的な症状も出たんじゃないかということも言われていたが、それもすべてサーバリックスを接種した後に起きたこと。 ・そのものの症状として出ていることもあるし認知機能の障害で出ているものも ・カルテに書かれていることにとらわれずに病態をしっかり見ていただければ 原告9番女性の代理人 ・何事にも積極的。中1の2学期からサーバリックス。最初は症状は軽かったが、免疫性の疾患であればアレルギーもそうだが1回目より2回目、2回目より3回目という形でパッと症状が出て症状が重くなる特徴が出ていると感じている ・中度異形成から高度異形成については経過観察中。感染しているウイルスのタイプは3つ。2つはシルガード9(9価ワクチン)のカバー範囲だが、3つのうちひとつはシルガードから漏れている。予防する難しさがあると感じている 弁護団の共同代表は、製薬企業や国に対し改善や誠意ある対応を求め、原告がHPVワクチン接種後に悪化したことは共通していると言及 ~質疑応答~ 幹事社からの製薬会社の反対尋問の内容とそれに対する原告側の見解を問う質問への原告弁護団の共同代表の回答 「被告の反対尋問の主な内容は、それぞれ3名に対して、ワクチン以外の原因が多いのではないか、それは主に家庭内や学校でのストレス、受験のストレスではないかとカルテ等で記載されている内容から、あなたには接種前からこんなストレスがあったのではないですかと、言うたら羅列ですね、まあ誰でもある話なので、原因が判らなかったら、医師というのは原因をそういうストレス的なものに求めるから根掘り葉掘り、本人が思ってなくても聞き込んでいってカルテに記載されていくという構図がある。そのカルテそのものが正しいか正しくないかという問題よりも、そういう問題があるということを前提にしながら、そんな誰にでも起こる、ワクチンの接種に関わりなく起こるような心因性の問題で片づけられる問題ではない。それで治るものではない 、彼女たちは思春期を過ごして10年経っているが全然改善されていない。そういうことをきっちり振り返ってほしいと個々の原告がそれぞれの立場から伝えている」 私からは以下の質問を行った・ ――カルテについて。本人尋問の主尋問において「カルテにこう記載がありますが、これはこうですよね」と先んじて触れるのは今日、初めて聴いた。原告のカルテの内容について主尋問で触れることはこれまであったのか これまでもそういうことはあったのか? 原告弁護団共同代表「今回が初めてではなくて東京も含めて必要な時には主尋問の中でもカルテを示して訊くこともあると思う。(主尋問の)30分枠で収めるために主尋問でカルテの記載内容ばかり訊いて主尋問が終わったら何のための主尋問か分からないので、それはどうぞ反対尋問でやってくださいと、それに対して必要があれば再主尋問で返しますよというのが基本的にはそういうルールでやっている」 #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟 #子宮頸がんワクチン
続いてGSK代理人弁護士4人が会見。 会見に参加したのは司法記者クラブの記者3人と私のみ。 池田弁護士が本人尋問のポイントを説明。 「個々の原告の症状とワクチンとの因果関係はなく、そもそもHPVワクチンが原告が主張する症状との間に関連性がないという総論を裁判所に提出しているが、その総論のまとめ書面を会見で配布した。我々はHPVワクチン承認前からよく知られている疾患、転換性障害や機能性身体症状などと主張している。今日の原告本人尋問では総論を個々の原告が転換性障害や機能性身体症状であることを裁判所に理解していただく上で尋問した」 原告25番の女性への反対尋問を行った山田弁護士 ・ポイントとして原告側はワクチン接種前は元気だったが接種後はいろんな症状が出たと主張している ・だが、カルテを見ると4歳ごろから病院通い、腹痛やめまいなど ・心理社会的因子、家庭や学校でのストレスがあったことがカルテに記載があった ・『本人が撃退対象に』『学校に馴染めない』『身体表現性障害』『人が怖い』『近くに人がいるのが恐怖』家庭的な背景が赤裸々に。プライバシーに配慮しつつ訊いた。『離婚調停』『暴力』『父親が娘を数十分に渡って追い回し殴ったり蹴ったり』家庭におけるそういったストレスから症状が出ている。症例として不安障害、向精神薬が処方される疾患。カルテに記載はあるが、原告本人は「覚えてない」と答える。主尋問ではよく覚えているのに。これは「解離性健忘」と呼ばれるもので、防衛本能、記憶に蓋をしてトラウマを思い出さないとうにしているのではないか 原告9番の女性の反対尋問を行った秋田弁護士 ・接種前から、腕が痺れて動かなく。カルテに『身体痛くてやめたわけではない』とあり人間関係のストレスがあった。カルテからは学校でのトラブルがあったと示せたと思う ・本人は症状が重いと言うが中2で留学しバッティングセンターで200球打ったり、ボウリングできたり、ジャニーズのコンサートへ行けたり、楽しいことやりたいことができていたことが伺える。本人が主尋問で説明していたほどの重い症状ではなかったのではないか、あったとしても気持ちによってやりたいこともできるような状態だったのではないかと伺えた。四国から東京に2015年以降、受診し宿泊を伴い宿泊翌日に最終便で四国へ帰っていた。尋問では訊かなかったが最終便で帰るというのも体に負担あるし、どういう理由で最終便まで東京近郊で過ごしていたのか引っ掛かるところではある。 ・彼女が訴えている症状がカルテや診療の経過からして、あまり辻褄が合わないところが、彼女の説明とカルテではあるという印象。今も通院してない。訴えている症状と実際のカルテから浮かび上がる体調が乖離している。整合しないところが特徴的。25番の原告と同じく「覚えていない」ことが多く、質問がどこまで伝わったか。 中2の6月に机で頭打ち弓道部を辞めたころの話だが、入院したことも覚えていない。裁判官からも補充質問があった。入院の記憶が抜けている。重ねて裁判官が質問したが覚えてない。乖離、忘れたいような体験から人格を守るために記憶から無くしてしまっている可能性もある ~質疑応答~ 私からの質問 ――原告9番の女性が高1の冬に受診した千葉の医療機関の問診表に「池田先生からの紹介」とあったというが、「池田先生」は「池田利恵氏か池田修一氏、どちらか 「信州大を受診した記録がないのでおそらく池田利恵さん」 ――これまで主尋問で原告代理人が先回りしてカルテの内容に言及したことはこれまではなかったと思うが、これまでそのような展開はあったのか? 池田弁護士「GSKもMSDも一連の本人尋問で『カルテにこういう記載がありますが、記憶はありますか』と訊いていく。原告は『覚えていない』『記憶にない』『こんなことは言っていない』と答える。ということは医師があなたが言ってもいないことを書いたということですかという質問が続いていたので、原告側はそういう質問が我々から来るだろうと思って先回りをして、主尋問の中で何か問題がなかったのかなかったのかとしつこく(医師から)訊かれたからこんなことを話しましたという一つの防御の戦略を立てられたのかと」 ――それは今日から? 「今日から始まった話」 ――原告代理人は先ほどの会見でこれまでも必要があればカルテの内容を訊いてきたと言っていたが 「カルテのことに触れたことはあったが、原告が否定したい内容のカルテの記載についてどうしてこれが書かれているのかという説明でのポイントでの質問は今日が始めてだったと思う。だから『おっ』と思った」 ――先ほど山田弁護士が配慮して質問したと仰っていたが、どういうことか 「原告の母が親から虐待を受けていた。その内容が生々しくカルテに残っていたので、配慮した」 #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟 #子宮頸がんワクチン
最後にMSDの代理人弁護士2人が会見 会見場には司法記者クラブの幹事社の記者が1人と私の計二人のみ ~質疑応答~ 原告20番の反対尋問の中での伊勢赤十字病院の各診療科と担当医師の診断について確認した。 「検査入院で採血したが『異常』という結果は出てないなかった。リューマチ膠原病科の大西医師が『HPVワクチン接種後関連免疫異常症候群』と最初の初診日に診断した。神経内科の別の医師が退院日に診察し、医療記録上は『片頭痛を起訴にした一連の機能性障害』と診断しており、大西医師との診断とは番う診断をしている。放射線科の医師がスペクトの検査に関して評価しており、『病的変化か年齢による生理的変化か判断が困難』とカルテに記載している。尋問では直接触れていないが大西医師は放射線科の医師がそう評価しているにもかかわらずスペクト所見に独自の解説をしてHPVワクチンの副反応だと言っている。もう一人、伊勢病院では別の時期に消化器内科の医師が彼女を診断して、『症状に変化が強く器質性疾患より機能性疾患の方が高いか』とカルテに記載している。『診断』との発言に『誤誘導』との指摘も(原告代理人から)あったが『疑い』も『診断』であることには違いない。不正確と言われることは心外ではある」 大阪地裁での次回の期日は12月23日、被告側専門家証人として慶応大病院の鴇田夏子医師が尋問予定。 「小児精神の専門家の立場から原告らが訴えている各種の症状はHPVワクチンの接種がなくても発生するものでありHPVワクチンと結びつけなければ説明できないという原稿らの主張が誤りだと証言される予定」 #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟 #子宮頸がんワクチン
すべての会見が終了したのは19時前。 尋問の期日は先週木曜(9/19)、傍聴レポートを書くのが遅くなりました。 ここからは飽くまで私見。 改めて考えさせられたのは、原告の女性たちにとって本当に必要な支援は何なのかということ。彼女たちが辛い思いをしてきたのは事実。 その辛い状況や置かれた環境から縋った先が「ワクチン接種被害者」「薬害被害者」という誰からも同情してもらえる立ち位置だったのではないか。 家族・親にしてみても、娘の不調の原因が家庭内にあったことにはしたくないという思いが意識下であったのでは。 「ワクチンのせい」「国や製薬会社が悪い」「家庭の問題ではなくワクチンが原因」そんな逃げ道がHPVワクチンを巡る一連の騒動の背景にあったのではないかと感じた。機能不全的な家族であってもワクチン被害という共通項においては一丸となることができる。問題が家庭の中にあることにはならず、問題を家庭の外側に置けるからである。 確かに前回、そして今回取り上げた原告の事例は原告団の中でも突出しているケースかもしれない。何の問題もなかった家庭や平穏な学校で過ごしていた原告に症状が出た事例もあるだろう。だが、思春期にはそんな女性にも一定の数、症状が出ることが判っている。 その辺りは今後の被告側の専門家証人の尋問で科学的・医学的・疫学的な視点から主張がなされていくだろう。 今後も取材を続けていきます。 次回は10/7午後、福岡地裁から被告側専門家証人の尋問が始まります。私も傍聴取材へ行く予定をしています #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟 #子宮頸がんワクチン