JASRACは変わるべき?音楽市場で周回遅れ日本、経産省が「本気の報告書」で切り込むワケ
経産省が今年7月に公表した『音楽産業の新たな時代に即したビジネスモデルの在り方に関する報告書』が、日本の音楽ビジネスを詳細に分析し、YOASOBI、米津玄師、ボカロらのアーティストはもとより、アイドルや漫画、アニメなどのファンダムにも深く切り込んだ「本気すぎる報告書」として大きな注目を集めている。世界のコンテンツビジネスが大きな変化を続ける中、日本の音楽産業が拡大するためには何が必要なのか。全77ページにわたる本報告書から要点を読み解いていこう。 【詳細な図や写真】日本音楽業界の主要プレーヤーの位置関係(出典:経産省レポート)
まず知っておきたい、「原盤権」と「(音楽)出版権」
経産省が今年7月に公表した「音楽産業の新たな時代に即したビジネスモデルの在り方に関する報告書」が、日本の音楽ビジネスはもとより、アイドル・アーティスト・アニメ・漫画などのファンダムにも深く切り込んだ内容になっているとして、大きな注目を集めている。 同報告書は、CDが売れなくなったといわれて20年余りがたち、人口減少も続く中、音楽産業が拡大基調を取り戻すためにはより大きな市場、すなわち海外へ打って出るべきだと指摘している。 レポートを読み解く前に、音楽の市場がそもそもどのようなビジネスモデルで成り立っているのかを確認しよう。 CDやレコードといったモノを販売していた時代と変わり、現在の音楽は収益の源泉がどこにあるのか分かりにくいところがある。音楽をビジネスとして捉える上で重要な軸となるのは、「原盤権」と「(音楽)出版権」と呼ばれる2つの権利だ。原盤権は楽曲を制作した人(企業)が持つ権利であるのに対し、出版権は楽曲そのものに関する著作権にあたる。 アーティストが曲を作り、その歌唱・演奏を録音(レコーディング)するとする。編集作業などを経て完成した音源を「録音原盤」(マスターテープ)と呼ぶ。これを複製してCDなどとして販売されることになる。この録音原盤に発生する権利が「原盤権」だ。 通常、レコード会社やアーティストが所属する芸能事務所など、原盤制作の費用を負担した者が原盤権を持つ。他者がこの音源を無断で複製することを禁じる複製権や、無断でアップロードすることを禁じる送信可能化権などが含まれる。 一方、「(音楽)出版権」は、ざっくりといえば楽曲の著作権のことだ。作詞・作曲をした人が著作権を持つイメージがあるが、現実には、作詞者や作曲者など「著作者」がそのまま「著作権者」となるケースは多くない。一般的には、音楽出版社が著作者と著作権譲渡契約を結び、著作権者となる。音楽出版社は、曲をヒットさせるべくプロモーション(開発)したり、管理して作詞・作曲をした人の権利を守る役割を担っている。