JASRACは変わるべき?音楽市場で周回遅れ日本、経産省が「本気の報告書」で切り込むワケ
新たなファンコミュニティの形、HYBE出資の「Weverse」
SNS上での拡散(バズ)で制作者や楽曲が大衆の注目を集める現在では、テレビCMやドラマのタイアップが重視されていた時代から、プロモーションの在り方も変化している。芸能事務所などが運営していたファンクラブが担っていたファンコミュニティの形も大きく変わった。 米国では「Discord」などクローズドなSNSでファンのコミュニティが形成され、韓国ではBTSが所属する大手芸能事務所HYBEなどが出資する「Weverse」などのいくつかのファンコミュニティプラットフォームが現れた。このWeverseでは、今年からYOASOBIも公式コミュニティを開設している。ちなみに、BTSのWeverseコミュニティ加入者数は、1000万人を超えるほどの賑わいだ。経産省のレポートは、こうしたトレンドを音楽の「民主化」と表現する。
突出して低い、日本市場における音楽の○○比率
ただ、2022年時点で、世界の録音原盤市場上位10カ国のデジタル比率(配信市場÷録音原盤市場全体)を見ると、日本以外の国はすべて50%を超えているのに対し、日本は37%にとどまる。中国は95%超、ブラジル、オーストラリアが約90%で、日本が突出して低いことが分かる。 音楽との親和性が高いTikTokなどのSNS利用率、Spotifyなどのストリーミング利用率が高いのは若年層だが、日本では少子高齢化が進んでいる。こうした状況を踏まえレポートは、音楽ビジネスの商業的な成功には、若い世代の割合が高い海外諸国での展開が不可欠だと強調している。
音楽消費のサブスクリプション化、海外に遅れる日本の課題
CDやダウンロードなど個別の楽曲(シングル)や楽曲集(アルバム)ごとにお金を出して買う「プロダクト販売(買い切り)モデル」から「サブスクリプションモデル」へと消費スタイルが変わったことで、過去の楽曲からもより継続的に収益を得られるようになった。 著作権者に新たな収益機会をもたらした点も大きいが、レポートでは「音楽著作権が投資対象として見られるようになった」との見方を示す。一方、ストリーミングにより楽曲の生み出す収益が可視化される中で、「国際的には音楽の著作権や著作隣接権等が投資や売買の対象になる事例が多く見られるものの、日本の楽曲を対象とした同様の事例はあまり見られない」とも指摘している。 2021年12月にはソニー・ミュージック・グループが、ブルース・スプリングスティーンの全楽曲の原盤権と音楽出版権を推定5億5,000万ドルで取得。このほかにも近年、スティングやボブ・ディランらスーパースターたちの楽曲に関する原盤権や出版権などを大手レコード会社が莫大(ばくだい)な費用で取得したと報じられ、注目が集まっている。 一方で、日本では権利売買の市場がほとんど形成されていない。海外では、原盤権や音楽出版権を債券として金融商品化し、アーティスト自身や投資会社が取得して、ビジネスチャンスにする例もある。経産省が有識者に行ったヒアリングでは、こうした権利を債券化する上での国内制度上のハードルがあったわけではなかったという。