子どもの「体験格差」、将来にも影響? 専門家、大切なのは「質」

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山本知佳 聞き手・山本知佳
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 音楽やスポーツ、美術鑑賞などの体験活動に参加していない子どもの保護者もまた、幼少期にそうした経験が少なかったことが、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(CFC、東京)の調査で分かった。世代間で「体験格差」が連鎖している実態が浮かび上がった。(山本知佳)

保護者の経験で子どもに差

 CFCは7月、世帯年収や親の経験によって、子どもの体験活動に差が生じているとする報告書を発表した。

 調査は昨年10月、インターネット上で行い、小学1~6年の子どもがいる世帯から2097件の回答を得た。スポーツやピアノなどの定期的な習い事や、キャンプやボランティア、観劇といった単発での体験などをまとめて、学校以外の時間に行う「体験活動」と定義した。

 世帯年収で比べると、年収300万円未満の家庭の子どもは、3人に1人が直近1年で体験活動を何もしていなかった。年収600万円以上の世帯で体験活動がなかった子どもは約10人に1人だった。

 低所得世帯の中でも、「親の経験の有無」で大きな差があった。世帯年収300万円未満で、保護者が小学生の頃に体験活動に参加していなかった家庭では、直近1年以内に体験活動がなかった子どもの割合は58・1%にのぼった。保護者に体験活動の経験があった家庭では、17・4%にとどまった。

 世帯年収と保護者の幼少期の体験活動についても調べた。小学生の頃に体験活動をしていない保護者の割合は、年収が高くなるほど少なかった。

 また、大卒とそれ以外で分けた場合では、大卒ではないグループで、体験活動の経験がない保護者の割合が多かった。

子どもの体験、なぜ大切?

 体験活動は、子どもの成長にどう影響しているのか。国学院大学人間開発学部の青木康太朗准教授に聞いた。

 ――体験活動をすることで、子どもにどんな影響があるのでしょうか。

 自分の良さや強み、才能に気…

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