「保険証廃止」一体誰がどう決めたのか 「記録はない」と判明…首相報告や閣僚間のやりとり 経緯は闇の中へ
2024年9月25日 06時00分
【一問一答】
なぜ健康保険証の廃止に至る大臣間での協議や首相への報告が記録として残っていないのか、厚労省とデジタル庁に尋ねた。だが「記録はない」以上の説明はなかった。
▼厚労省▼
◆文書ではなく、口頭ベースで
ー現行の保険証を廃止する時期について協議した議事録はありませんか。
「それはもう大臣間だというふうに認識しておりまして」
ー公文書では残ってないということですか。
「残ってないということですね」
「残ってないということですね」
ーでは、協議のやり取りをどのように省内で共有するんですか。大臣会見まで情報が入ってこないということですか。
「その場に厚労省の職員がいたら、現場の方には入ってきます」
「その場に厚労省の職員がいたら、現場の方には入ってきます」
ーでは、その情報を伝えるための文書とかメールを作るということですか。
「いや、口頭ベースで」
「いや、口頭ベースで」
ー口頭なんですか。だから残ってないということですか。
「そうですね」
「そうですね」
◆意見は「なし」だけど「取りまとめた」?
ー関係省庁連絡会議の議事録だと、河野大臣以外の発言はなくて、他府省庁からの意見は「なし」と書かれていました。この会議の以外の場で関係省庁の意見を聞いてるということなんですか。
「特に確認はできないですね」
ーでは、河野大臣が13日におっしゃっている「関係省庁に検討いただいた結果を取りまとめて」というのは河野大臣しかしゃべっていない連絡会議のことを指してると。
「それも指してるんだとは思います」
「それも指してるんだとは思います」
ー他の場もあるということですか。
「それは聞き及んではいないですけど。例えば大臣間で普通に話してる内容とかまでは、その場に我々がいない限りは、記録には残りません」
「それは聞き及んではいないですけど。例えば大臣間で普通に話してる内容とかまでは、その場に我々がいない限りは、記録には残りません」
ー河野大臣は意見を取りまとめて首相に報告したと言われているので、どこかでは絶対にやり取りがあると思うんですが、情報開示では出てきませんでした。協議自体はあったのですか。
「大臣間で協議だったり、報告だったり、確認の作業はしていると思いますけども、我々が保有しているものとしては、あの開示請求で示した通りのものしかないというところでございます」
「大臣間で協議だったり、報告だったり、確認の作業はしていると思いますけども、我々が保有しているものとしては、あの開示請求で示した通りのものしかないというところでございます」
◆ほんとに記録しないものか
ー大臣間でのやり取りはあるけど、文書にはなってないというのはどうしてですか。
「我々が参加していないとか、様々な理由かなというふうに思います」
「我々が参加していないとか、様々な理由かなというふうに思います」
ー参加していないということ以外にも、文書が作られない理由はありますか。
「そこはいないのでちょっと、何とも分からないところでありますけど」
「そこはいないのでちょっと、何とも分からないところでありますけど」
ー連絡会議以外は協議の場はないということですか。
「それ以外はそうですね。今回開示請求で示した通りになります」
「それ以外はそうですね。今回開示請求で示した通りになります」
ー大臣が個別に他省庁の大臣と折衝した場合、そこに国の職員の方がいらっしゃらなかったら、大臣は担当部局に内容を報告しますよね。
「ものによっては当然されると思います」
「ものによっては当然されると思います」
ーそれを省内で共有する文書も残ってないということですか。
「はい」
「はい」
ー関係大臣の意向も踏まえて業務を進められると思うんですが、共有されてなくていいものなんですか。
「はい、お答えしてる通りになります」
「はい、お答えしてる通りになります」
◆情報公開法では「適当」でも…
ー公文書管理法は後から検証できるようにという趣旨ですが、開示していただいた記録だけで、検証するのに十分なのでしょうか。
「はい。情報公開請求していただいて、それに対応する文書というもので開示させていただいていますので、それ以上というものはございません」
「はい。情報公開請求していただいて、それに対応する文書というもので開示させていただいていますので、それ以上というものはございません」
ー公文書管理法に照らしてどうかをお伺いしたいです。
「申請されている情報公開請求の内容からして、対象としては適当だということです」
「申請されている情報公開請求の内容からして、対象としては適当だということです」
ー情報公開に対する開示文書と、記録として残っているものは違うんですか。
「いえいえ」
「いえいえ」
ーでは、その記録は検証する際の材料として十分かどうかというところをお尋ねしたいんですけれども。
「はい。情報公開法の趣旨にのっとって対応させていただいています」
「はい。情報公開法の趣旨にのっとって対応させていただいています」
▼デジタル庁▼
◆協議も報告も「記録はない」
ー廃止方針を決めるまでの関係閣僚間での協議の記録はありますか。公文書管理法に照らして、記録がないことは問題ではありませんか。
「開示させていただいた会議資料をはじめ、関係法令に基づき、関係省庁で適切に管理しているところです。なお、ご質問の、関係閣僚間の協議については、厚生労働大臣を含めた関係大臣と河野大臣の間の協議ですが、大臣間で直接、適時・適切に行われているものですので、記録はありません」
ー2022年10月13日の河野大臣の首相報告時の記録はありますか。
「総理へのご報告は、関係省庁連絡会議の資料を基に関係閣僚から会議の報告をしたものであり、特段の記録はとっておりません」
「総理へのご報告は、関係省庁連絡会議の資料を基に関係閣僚から会議の報告をしたものであり、特段の記録はとっておりません」
◆「わかりやすい説明に努めている」
ー国民に対して説明責任を果たせているとお考えですか。
「マイナンバーカードと保険証の一体化については、医療を受ける国民、医療を提供する医療機関関係などの理解が得られるよう、丁寧に取り組んでいく必要があります。このため、マイナンバーカードと保険証利用の一体化に関する検討会を開催するとともに、必要な法改正案を先の通常国会に提出し、慎重ご審議の上、可決・成立いただいたところです。このほか、様々な広報手段を用いて、国民に対して丁寧にわかりやすい説明に努めているところです。引き続き、国民に対し、丁寧な説明をしっかりと行ってまいります」
ー12月の廃止に関してまだ不安の声も聞こますが、なぜここまで一本化を急ぐのですか。
「マイナ保険証は医療の質の向上につながるもので、その効果の早期発現のため、現行の健康保険証の発行を12月2日に終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行します。マイナ保険証への移行に際しては、デジタルとアナログの併用期間をしっかり設けて、全ての方に安心して確実に保険診療を受けていただける環境を整えるとともに、引き続き利用勧奨に努めてまいります」
「マイナンバーカードと保険証の一体化については、医療を受ける国民、医療を提供する医療機関関係などの理解が得られるよう、丁寧に取り組んでいく必要があります。このため、マイナンバーカードと保険証利用の一体化に関する検討会を開催するとともに、必要な法改正案を先の通常国会に提出し、慎重ご審議の上、可決・成立いただいたところです。このほか、様々な広報手段を用いて、国民に対して丁寧にわかりやすい説明に努めているところです。引き続き、国民に対し、丁寧な説明をしっかりと行ってまいります」
ー12月の廃止に関してまだ不安の声も聞こますが、なぜここまで一本化を急ぐのですか。
「マイナ保険証は医療の質の向上につながるもので、その効果の早期発現のため、現行の健康保険証の発行を12月2日に終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行します。マイナ保険証への移行に際しては、デジタルとアナログの併用期間をしっかり設けて、全ての方に安心して確実に保険診療を受けていただける環境を整えるとともに、引き続き利用勧奨に努めてまいります」
◇
<シリーズ「検証マイナ保険証」>
現行の健康保険証の廃止には、いまだに不安や疑問の声が聞こえます。本紙は「検証マイナ保険証」と題して、マイナ保険証一本化への課題や利用者の声を伝えていきます。
マイナ保険証に関するご意見や情報をお寄せください。メールはtdigital@chunichi.co.jp、郵便は〒100 8505(住所不要)東京新聞デジタル編集部「マイナ保険証取材班」へ。
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