小川前法相、首相に指揮権発動相談 虚偽報告書問題で
小川敏夫前法相は4日の退任記者会見で、陸山会事件を担当していた検事が虚偽内容を記載した捜査報告書を作成した問題を巡り、検事総長に対する指揮権発動を野田佳彦首相に相談していたことを明らかにした。野田首相は了承しなかったといい、前法相は指揮権を発動しなかった。
指揮権の内容は明言しなかったが、虚偽記載した検事の起訴に向けて捜査をやり直すよう促すことを念頭に置いていたとみられる。
小川前法相は今年5月に首相官邸を訪れた際に相談したと説明。当時、検察当局は虚偽報告書を作成した元東京地検特捜部の田代政弘検事(45)=現・法務総合研究所総務企画部付兼教官=らを不起訴処分とする方針を固めていた。
前法相は首相への詳しい相談内容は明かさなかったが「検察内部の案件について検察が消極的な場合、積極的ならしめるのは法務大臣の本来の姿。(報告書問題は)指揮権を発動する典型的なケースだと思う」と述べ、「いい加減な形で幕引きしたと国民に受け止められれば、検察の信頼回復が遠のく」と強調した。
田代検事が虚偽記載の理由を「以前の取り調べ内容と記憶が混同した」と説明していることについては、「客観的証拠を見れば、記憶違いじゃないと誰しも思う」と指摘した。
小川前法相は裁判官、検事を務めた経歴を持ち、現在は弁護士。
問題の報告書は、小沢一郎・民主党元代表(70)に対し検察審査会が1回目の審査で「起訴相当」と議決した後の2010年5月、元代表の元秘書、石川知裕衆院議員(38)を再聴取して作成。実際にはなかったやり取りを記載していた。