イスラエル軍 ヒズボラ攻撃 イラン「戦争望まず」

イスラエル軍は23日もレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対し、大規模な空爆を行い、女性と子ども93人を含む合わせて492人が死亡しました。レバノン情勢への対応についてヒズボラの後ろ盾となっているイランのペゼシュキアン大統領は「イランは戦争は望んでいない。仕掛けているのはイスラエルだ」と述べていて、イラン側の出方が注目されます。

イスラエル軍は23日、レバノン南部などでヒズボラの標的およそ1600か所を空爆し、ヒズボラが保有する長い射程のミサイルやロケット弾、それに無人機を破壊したと発表し、これらの兵器は民家に隠され、イスラエルに向けて発射されるものだったと主張しています。

ネタニヤフ首相はレバノン市民に向けたビデオ声明を出し、「戦闘の相手はあなたたちではなく、ヒズボラだ。ヒズボラは『人間の盾』としてあなたたちを使ってきた」と述べ、ヒズボラの兵器が身近にある場合は避難するよう呼びかけました。

イスラエル軍による23日の空爆でレバノン保健省によりますと、女性58人と子ども35人を含む合わせて492人が死亡しました。

これに対し、ヒズボラは23日、イスラエル北部などにあるイスラエル軍や軍需産業の施設を攻撃したと発表し、イスラエルメディアによりますと、およそ180発のロケット弾が発射されましたが、大けがをした人などの情報は伝えられていません。

緊迫するレバノン情勢への対応について、イランのペゼシュキアン大統領は訪問先のニューヨークで記者会見し、「イランは中東の不安定要因になるつもりはなく、戦争は望んでいない。全面的な紛争を仕掛けているのはイスラエルだ」と述べました。

イランはヒズボラの後ろ盾となっていて出方が注目されます。

一方、アメリカは、さらなる地域紛争へと発展するおそれがあるとして、緊張緩和に向けて外交的な働きかけを続けるとしています。

米 国務省高官「深刻に受け止める必要」

アメリカ国務省の高官は23日、記者団に対し「われわれはここ数日、ヒズボラとイスラエルの間の攻撃のペースと激しさ、規模が拡大していることに伴い、外交的解決を見いだそうと懸命に取り組んでいる」と述べました。

また、イスラエル軍が地上作戦を行う可能性があるか問われると、「イスラエルの準備を誰もが深刻に受け止める必要がある。レバノンへの地上作戦が地域の緊張を緩め、暴力の連鎖を止めるものになるとは思わない」と述べ、イスラエルに対し、自制を求めました。

そのうえで国務省の高官は「非常に困難で複雑な状況だが、われわれには具体的なアイデアがあり、今週、同盟国などと協議することにしている」と述べ、国連総会でニューヨークを訪れている各国の外相などとブリンケン国務長官が協議する見通しを示しました。

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