経産相、「女性トイレ制限」見直し明言せず トランス女性の職員巡り
経済産業省がトランスジェンダー女性の50代職員に対し、勤務階から2階以上離れた女性トイレを使わせたのは「違法」と判断した最高裁判決後も、この制限を続けている問題で、斎藤健経済産業相は24日の閣議後会見で、制限を是正するかどうか答えなかった。
最高裁は、経産省の対応に問題はないとした2015年の人事院の判定を取り消し、トイレ制限は遅くとも判定の時点で「違法」だったと判断した。斎藤氏は「人事院が判定の見直しについて検討を進めている。LGBTに関する理解醸成の取り組みを継続しつつ、人事院の検討状況を踏まえ、適切に対応していく」と語った。
林芳正官房長官も同日の会見で、是正措置をとるかどうか答えず、「現在、解決に向けて人事院と経産省で対応している」と述べた。そのうえで、「LGBT理解増進法に基づく取り組みを含め、多様性が尊重され、性的マイノリティーもマジョリティーも全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けて取り組んでいきたい」とした。
専門家「直ちに制限を是正すべきだ」
日本大学の鈴木秀洋教授(行政法)は、判決後も制限を続ける国側の対応について、「法の支配に基づく行政の原理からして許されない。理解醸成を図ることは重要だが、対応を放置する理由にはならない。直ちに制限を是正すべきだ」と批判する。
当事者団体Tネットの野宮亜紀共同代表は、職員が14年前から女性として勤務している点に触れ、「女性として長年暮らすトランスジェンダーに対し、職場で使える女性トイレを限定することは、他の女性たちとの差異をあえてつくり、『特殊な存在』という烙印(らくいん)を押し続ける行為に等しい。こうした差別的な取り扱いによって、性別移行したことを知らない同僚へのアウティング(暴露)につながる恐れもある」と指摘する。
超党派のLGBT議員連盟事務局長を務める公明党の谷合正明参院幹事長は取材に、「最高裁判決後も、いまだに運用が変わっていないのは問題だ。経産省と人事院に説明を求めたい」と語った。(二階堂友紀)
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- 二階堂友紀
- 東京社会部
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